教えてくれる人
大木淳夫
「東京最高のレストラン」編集長
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2023」が12月20日発売決定。
シチリアの有名リストランテが丸の内に登場!
横綱級は11月24日、丸の内にオープンしたイタリアン「byebyeblues TOKYO(バイバイブルース トウキョウ)」でしょう。
運営はかのサローネグループ(有限会社ジュン・アンド・タン)。傑作コミック『バンビーノ!』横浜編のモデルだったり、弓削啓太シェフがパスタ世界一になったり、BSフジの「リモートシェフ」で死闘を繰り広げたりと、常に話題を呼ぶイタリアンの雄です。
「バイバイブルース」はシチリア島で10年間星を取り続けた名リストランテ。サローネグループとは20年以上の交流があり、親日家であるパトリツィア ディ ベネデットシェフの熱望も受けての開店です。
コンセプトは「イタリアと時差のないリストランテ」。シェフが愛する魚介を使った料理は印象深く、主菜である、黒オリーブをまとわせ、オーブンで焼いたマグロは、新たなおいしさとの出会いに驚くばかりでした。温度帯と塩を精緻に調整することによって、穏やかに盛り上がっていく一皿一皿。まさにコースの楽しさを教えてくれます。
カリスマの独立と巨大団地のグルメバーガー
独立店も話題です。まずは日本酒界の超有名人、恵比寿「GEM by moto」の店長だった千葉麻里絵さんが独立。11月1日、西麻布に日本酒バー「EUREKA!」をオープンさせました。カウンター12席にプラスして、6名くらいの立ち飲みスペースがあります。立ち飲みは予約不要と、ふらっと飲みたい呑兵衛の心理を分かっている、うれしいシステム。
代名詞である、料理とお酒の驚きのマリアージュは健在です。前店からの名物である「ブルーチーズのハムカツ」をはじめ、メニューは極めて魅力的で美味。薦められるままにお酒を合わせていただけば、永遠に席を立つ気になれないことでしょう。お気を付けください。
ちなみに奥の壁には「STRAWBERRY MEETING」という、印象深い発光サインがかけられています。ある四文字熟語の英訳ですが、さてなんでしょうか?
そしてハンバーガー界からは11月7日、東陽町にオープンした「Louis Hamburger Restaurant」です。こちらはグルメバーガー御三家の一つ、「ブラザーズ」日本橋店の元店長・小塚研介さんの独立店。約2,700戸という、巨大な都営団地「南砂住宅」の一角に素敵な平屋のアメリカンダイナーが誕生しました。日曜にうかがいましたが、ハンバーガーは1,500円台からと決して安くない値段ながら、オープンするや満席に。テイクアウトの注文もひっきりなしで早くも大人気です。
お店一押しのベーコンチーズバーガーにエッグトッピングをオーダーしましたが、それぞれの具材が主張しながらもハーモニーを奏でていて、ハンバーガーの真髄はここにあり、と感じ入る味わい。サイドメニューも充実で、きっと夜も楽しいことでしょう。
“学大”に新スタイルの韓国料理、シモキタには有名カレー店の新提案
夜においしくお酒と料理をいただけるお店といえばこちらの2店。11月4日、学芸大学にオープンした「韓国スタンド@」は、立ち飲みスタイルで韓国家庭料理を楽しめます。
大阪の人気店「韓味一 朴邸」の姉妹店で、店長とシェフは同系列の恵比寿「韓国食堂 入ル 坂上ル」のスタッフ。この2人と若いサービス担当という、女性3人のチームがとても優秀で気持ちがいいんです。
料理は380円の自家製ナムルやキムチ、韓国海苔の佃煮といった小皿料理から、ポッサムや上ハラミ、名物の参鶏湯まで充実。お酒もサッポロの赤星、飲食店でしか飲めない虎マッコリ、ナチュラルワインに各種サワーとオールニーズに対応。毎日通いたいくらいです。
下北沢には11月15日、 ナチュラルワインと小皿料理の「ベルプリ」がオープンしました。オーナーは、千歳船橋で輝くカレー料理店「カルパシ」の黒澤功一さん。2店目である「カリースパイス ジェラテリア カルパシ」と同じビルですが、こちらは“ユーラシア料理”がテーマ。中国、イタリア、フランスなどの気の利いた料理が並びます。ちなみに南インドの有名なスパイシー唐揚げ「チキン65」は、黒澤シェフ直伝。
アルコールはナチュラルワイン一択という、実は珍しい形態です。テーブル、カウンター、立ち飲み席があり、こちらもスタッフのホスピタリティが高く、いいお客さんがつけば将来が楽しみです。