とにかく、地鶏の肉そのもののおいしさを味わってほしい

鶏のさまざまなうまみが溶け合った、滋味深い「コンソメ」

コンソメは、季節によってアレンジを加える。取材時には、香り高いキヌガサタケを具材に
 

森脇さん

コンソメは、鶏のうまみが凝縮した味わいです。

大量の天草大王と飛来幸地鶏の鶏ガラやモミジ、内臓に、タマネギやニンジン、セロリなどの野菜とスパイスを加え、鍋で丸2日じっくり煮込む。仕上がった飴色のとろっとした食感のスープは、地鶏のうまみが詰まった優しい味わいだ。

コースでは、いつも一番初めに提供するというこのコンソメ。まずは胃を温めつつ、これから味わえる料理への期待を膨らませるのに、うってつけの一杯だ。

しっかりとした肉のうまみと弾力が感じられる、天草大王の「ささみ」

古伊万里や有田焼など、器も九州の陶磁器が多く使われている
塩気に丸みのあるフランス産ゲランドの塩とワサビでいただく
 

森脇さん

柔らかく淡白な仕上がりながら、ささみにしては地鶏ならではのうまみが濃いです。

天草大王は国内最大級の大きさで、その肉は赤身のおいしさや弾力ある歯ごたえ、コクのある味わいに定評がある。ささみは焼くとパサつきやすい部位だが、120日間じっくりと育てられた天草大王は脂がたっぷり。内側をレアで焼き上げることで、かみ締める度に口の中にしっかりとしたうまみがあふれてくる。

大きめにカットしてジューシーに焼き上げた、飛来幸地鶏の「胸肉」

すだちを搾ることで、肉の脂を流しスッキリした後味に
 

森脇さん

大きめの塊で焼き上げているからこその、パサつきのないしっとりとした肉質。ジューシーな味わいです。

パリッと焼き上げられた香ばしい皮と、ジューシーな身の味わいがたまらない

飛来幸地鶏は、宮崎県小林市で育てられた「純血名古屋コーチン」。長めの飼育日数をかけることで、肉はうまみが強く部位ごとの味の違いをはっきりと感じられる。胸肉は串を打たずに大きめにカットして焼くことで、脂を逃がさずしっかりした弾力も感じられる味わいに。パリッとした皮にふんわりした身と、焼き加減も絶妙だ。

まるで肉のような食べ応えの、天草大王の「ハツ」

備長炭で、外はカリッと中はふんわり食感に香ばしく焼き上げる
 

森脇さん

ほぼ塩焼きで、シンプルに仕上げているところがいいですね。カブやアスパラガスなど、旬の野菜焼きもおいしい。

こちらもシンプルに、ゲランドの塩を合わせて

天草大王のハツは内臓という部位にもかかわらず、肉々しい食感で弾力がすごい。大きめにカットして焼き上げているので、食べ応えはたっぷり。内臓特有の臭みは全く無く、まるで生肉を食べているような深いうまみが感じられる。

こだわりの地鶏肉と厳選フランス産ワインに酔いしれる

こちらはなかなか手に入らない、RM(レコルタン・マニピュラン。シャンパーニュ地方でブドウ栽培から醸造まで自社で一貫して行う栽培醸造家)メゾンが手がけるシャンパン

「自分が行きたいと思う店を作った」と、冨田さん。その言葉通りにこちらで味わえるのは、自分の出身地・九州のブランド地鶏である天草大王や飛来幸地鶏、農家の野菜などを使った料理や、自分がおいしいと感じたフランス産ワイン。置いてあるお酒は、もちろんどれも和食や肉の味を邪魔しないものがそろう。

うまみたっぷりの地鶏肉のコース料理を味わいに、豊富にそろうフランス産ワインを楽しみに、とシーンに合わせてさまざまな使い方ができるこちらのお店。もちろん、ハードル高めの店が多い麻布十番でどこに行くか迷っているという方にも、ワイン貯蔵庫のような雰囲気でゆったり過ごせる「麻布さとり」はおすすめだ。

※価格は税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:伊藤晴世

文:西尾悠希(フリート)