【肉、最前線!】

数多のメディアで、肉を主戦場に執筆している“肉食フードライター”小寺慶子さん。「人生最後の日に食べたいのはもちろん肉」と豪語する彼女が、食べ方や調理法、酒との相性など、肉の新たな可能性を肉愛たっぷりに探っていく。奥深きNEW MEAT WORLDへ、いざ行かん!

 

連載10回目に登場するのは、最新のアメリカンステーキハウス! ニューヨーク・マンハッタンでオープンしてからずっと人気であり続ける名店の日本初上陸に注目だ。

Vol.10 最上部位を同時にパクリ!肉とアメリカ編

熟成肉の台頭に赤身肉の流行、焼肉店の進化など、日本の肉食ブームを後押しした要因は多々あるが、アメリカ生まれのステーキハウスの上陸が続いたのも、肉の人気に拍車をかけた大きな理由といえる。

 

アメリカンビーフの輸入規制緩和に伴い、六本木に『ウルフギャング・ステーキハウス』の日本一号店がオープンしたのは2014年のこと。アメリカ農務省(USDA)が最上級ランクと認定したプライムグレードの牛肉を提供するステーキハウスとして大きな話題を呼んだ。

 

T字の骨を中心にサーロインとフィレを同時に堪能できるTボーンステーキは、見た目の豪快さもさることながら、長期熟成によって引き出された濃厚な旨みが凝縮。日本の肉好きを虜にしたのは言うまでもない。

写真:エンパイア ステーキ ハウス

 

それから毎年のようにアメリカ発のステーキハウスが上陸し、注目を集めているが、今もっとも旬と言われているのが、この10月、六本木にオープンした『エンパイア ステーキ ハウス』だ。

写真:エンパイア ステーキ ハウス

 

多くの有名ステーキハウスが軒を連ねるマンハッタンに2010年に誕生。オープン翌年から6年連続で『ザガット・サーベイ』に掲載され、その人気はうなぎのぼり。アメリカを代表する老舗ステーキハウス『ピーター・ルーガー』で働き、ノウハウを学んだというオーナー兄弟が営む店とあって、その実力は推して知るべしといったところだが、この店の魅力は、看板メニューでもあるエンペラーステーキに集約されている。

エンペラーステーキ(2~3名用)24,000円

 

プライムグレードのアンガスビーフを店内の熟成庫で21日~30日間熟成。一気に高温のオーブンで焼き上げるスタイルはNYステーキの王道だが、エンペラーステーキは牛肉の最上部位として知られるシャトーブリアンとサーロインを同時に味わうことができるキング・オブ・ステーキ。

 

よく使われる言葉ではあるが「外側はカリッと香ばしく、中はジューシィ」という表現をはるかに超越した焼き上がり、ほどよい熟成香をまとったマイルドな風味に、たちまち心と胃袋を掴まれる。

シーフードプラッター3,800円

 

ステーキのほかにも鮮度抜群のシーフードプラッターやクリームスピナッチ、マッシュポテトといったサイドディッシュも充実。

クリームスピナッチ1,500円

 

さらに、日本限定のメニューとして月替わりのシャンパーニュの飲み放題付きランチコースを提供しており、こちらは前菜、サラダ、メイン、サイドディッシュ、シャンパーニュのフリーフロー込みで9,800円と驚異のコストパフォーマンスの高さだ。

 

アメリカで愛されるステーキハウスの味を日本でも。その“恩恵”にあやかれることにただただ感謝したい。

 

写真:富澤 元

取材・執筆:小寺慶子