佐藤 太一氏のおすすめ3軒
佐藤氏に行きつけの店を挙げていただいた。スタッフとのミーティングや友人などとの会食でよく訪れる店、自身も打つそばの店の行きつけなど、料理人としての日々に密着した名店を紹介する。
ディナーのおすすめ①52(ゴニ)
「ちゃんとした手作りの料理をリーズナブルに味わえて、どれも抜群に味がいいんです」と佐藤氏が絶賛するのは、自店からも程近い六本木の中華料理店「52」。深夜まで営業する隠れ家的な店で、この界隈で仕事を終えた料理人たちがよく食べに来ることでも知られている。

利用シーンは2、3カ月に1度行っているスタッフミーティングが多いそう。「自店を出て場所を変え、お酒を飲みながらおいしい中華を囲むことで皆が話しやすい雰囲気になるので、よく利用させていただいています」

よく注文するのは「シンプルでさっぱりいただけて、ちゃんとおいしい、何度食べても飽きのこない味です」と惚れ込む「モヤシ炒め」。ご飯が進む「麻婆豆腐」、〆にもってこいの裏メニュー「ネギラーメン」などもお気に入りという。

店は雑居ビルの2階にあり、シンプルすぎる入口が実に隠れ家的。店内の照明は落とし気味、バーのような雰囲気も洒落ている。しかも良心的な価格でどの料理も外れなしとなれば、予約が取りにくい店なのもうなずける。
・モヤシ炒め、麻婆豆腐、ネギラーメン、酒類 予算~10,000円以下
ディナーのおすすめ②ヤウメイ(YAUMAY)
ディナーの2軒目に挙げてくれたのは、世界的に有名なレストランプロデューサー、アラン・ヤウ氏が手がける点心レストラン「ヤウメイ」だ。スタイリッシュなコロニアル風の空間で、大勢の料理人とスタッフがキビキビと働くさまは、本場の香港・中環あたりの店を彷彿とさせる。

「まず丸の内という場所ときれいな空間がいいですね。アラカルトで食べたいものを選んで楽しめるので初めての方にもいいですし、雰囲気もかしこまりすぎずフランクで、友人やお客様との会食によく利用します」

佐藤氏が「これがここのシグネチャー」と紹介し同行者に喜ばれているのが「揚げ湯葉と海老の腸粉(チョンファン)」だ。「外側の皮のモチモチ、海老のプリプリ、中の揚げ湯葉のパリパリがたまりません。この料理が気に入って自分抜きでリピートしてくれる方もいて、紹介した身としてもうれしいです」

鶏肉とモツ系の具材のみで仕上げた「鶏肉とトリッパのスープ」も佐藤氏のお気に入り。「胡椒がよく利いていて、濃厚ですがくどくない。モツ系を上手においしいスープに仕上げています」
・揚げ湯葉と海老の腸粉、鶏肉とトリッパのスープ、酒類 予算:10,000~30,000円
ランチのおすすめ 蕎麦 たじま
土曜日のランチによく行くと教えてくれたのは西麻布の「蕎麦 たじま」。人気店で並ぶので、オープンと同時に入店することが多いそう。

「キリッとしただしに、細麺がよく合います」と話す佐藤氏が暑い季節によく注文するのは、冷やしたぬきそば。「冷やしたぬきというと、濃いめのつゆをかけた“ぶっかけスタイル”が一般的ですが、こちらでは珍しい冷やかけで提供。これが食べやすくて実においしいんです」

「おつまみなど一品料理が充実しているのも魅力ですね」と話すように、刺身や炊き合わせ、揚げ物など、旬の魚や趣向を凝らした野菜料理を味わえるのも、この店の大きな楽しみだ。

どっしりとした木のテーブルと椅子が並ぶ和モダンな店内には、直線的なデザインが多く見られるが、これはそばの切り口をイメージしているそう。その意匠とは対照的に接客は温かく、多くの常連客に愛されている。
・冷やしたぬきそば、一品料理など 予算:~2,000円
※価格はすべて税込です。
取材・文:池田実香(フリート)
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