【第3週のカレーとスパイス】実は韓国料理だけじゃない! 新大久保エリアの使い勝手◎なネパール料理店「窯焼き料理 Rato Mato」

新大久保というと韓国料理や韓国コスメなどのお店が多く、K-POPファンが集まる街として知られています。一方でカレーマニア的にはネパール料理の激戦区としても有名ですね。

今回ご紹介する「窯焼き料理 Rato Mato」はネパール料理店ですが、お店の雰囲気が他のネパール料理店とはまるで違い、若者達にも是非食べに行ってほしいお店なのです。そう思って今回は若者達を引き連れて行ってきました。

入り口こそわかりにくく、まさかこのビルの上に飲食店があるの?という雰囲気なのですが、恐れずにエレベーターで昇ってください。扉を開けばそこにはおしゃれなカフェのような空間が存在します。さらには新宿を一望できるナイスビュー。昼は太陽光が差し込んで明るく癒やされる雰囲気であり、夜は新宿の夜景を望めるムーディーな雰囲気と変わります。

器にもこだわっていて統一感があり、店内の各所に素焼きの器を使ったオブジェが飾られ、天井の造作もこだわりを感じ、細部に至るまでおしゃれ。連れて行った若者達も「おしゃれ!」「かわいい!」と口々につぶやいていたので今時の子達のセンスにも合うようです。これは是非お店に行って確認してほしいですね。

雰囲気のみならず料理も素晴らしいです。まずは定番の「ダルバート」。ご飯と豆のスープを中心に様々なおかずがのるネパール定番の定食です。大久保界隈にはワンコインでダルバートをいただけるお店もありますが、こちらのダルバートは高級路線。と言っても大久保が安すぎるだけで全国的に見れば内容に見合った価格。

「ラトマトダルバトセット」

「ラトマトダルバトセット」1,300円はダル(豆スープ)とバート(ご飯)に加え、選べる2種類のカレー、サグ(青菜炒め)、タルカリ(野菜のスパイス炒め)、グンドゥルックサデコ(ネパールの発酵青菜の和え物)、さらには無糖のヨーグルトやギー(バターオイル)などもついた豪華版。

カレーはポークとマトンをチョイス。どちらも素材の味がスパイスで引き立てられたもの。ネパール料理らしく堅実で滋味深いおいしさです。辛いものが苦手な若者もいたのですが、そんな子達には「ヨーグルトやギーを混ぜて食べてみて」と伝えると、最初は「ヨーグルト!?」と戸惑っていましたが、やってみると「何これおいしい! 辛いけど食べられる!」と驚いておりました。

パクチーが苦手という子もいたのですが「カレーにしっかりと混ぜて食べてみて」と伝えると、やはり「パクチー感じない! いや、感じるんだけど、なんだかおいしい!」と。

そうなんですよね。辛いとかパクチーが苦手とかでカレーを避ける方もいますが、食べ方次第ではそれを感じなかったり、あるいは感じてもおいしいと理解できたりするのです。そうやって嫌いなものが減った方が食人生が豊かになりますから。

「ミックスチャタマリ」

続いて「ミックスチャタマリ」600円。米粉で作ったネパールのお好み焼き的な料理です。もっちりとしながらもクリスピーな部分もあって食感が良く、肉も野菜ものってヘルシー。シンプルな味わいですが、ゴルベラコアチャール(ネパールのトマトソース)をつけながら食べると、グッと味に派手さが出てきます。

「スチームモモ」

「スチームモモ」660円はネパールの小籠包的な料理。「スクティチョウミン」750円はネパールの焼きそば的な料理の具材にスクティというネパールのジャーキーのようなものが加わった一皿。

「スクティチョウミン」

それぞれ一般的な日本人にも馴染みのある中華料理的な雰囲気を感じさせますが、それもそのはず。ネパールは地理的にもインドの北、中国の南に位置し、それぞれの国の中間地点だからこそ食文化のグラデーションを感じさせるものが多いのです。

「ラトマトカジャセット」

「ラトマトカジャセット」1,200円はネパールのおつまみ盛り合わせ。チウラというライスフレークの周りにアルボディタマ(筍、じゃがいも、豆を使った酸味のあるスープカレー)、マトンチョエラ(肉を焼いたものをスパイスでマリネした料理)など、様々なネパール料理を味わえます。こちらも想像以上に若者ウケが良く、中にはチウラを非常に気に入って買って帰りたいという子もいました。

ネパール料理、まだ一般的にはそれほど知られていませんが、知ってみればおいしいし、楽しいんだということを今回再確認しました。

今回ご紹介した料理を見てもわかるように、ランチにも軽食にも使えますし夜は飲み利用も良いという全面的に使いやすいお店であり、入れ替わりが激しい大久保エリアのネパール料理店の中でも僕の最近のお気に入り店でもあります。

最初の扉を開くのは少しの勇気が必要かもしれませんが、是非その扉を開けてみてください。そこには楽園が広がっていますから!

【第4週のカレーとスパイス】昼はカレー、夜はスパイスバル。人気カレー店が移転して更にパワーアップ!「インド富士子」

かつて東小金井にあった「インド富士」。その姉妹店として高円寺で生まれた「インド富士子」。どちらも南インド系のカレーが絶品で、夜はおつまみとともにお酒も飲めるというスタイルでした。特にインド富士は今でこそ増えたスパイスバルやカレーバーという業態をかなり早くから展開していたオリジネイターのひとつと言える存在です。そんな両店が今は水道橋に移転し、昼は「インド富士子」、夜は「ムンド不二」の名で営業しています。

なぜ移転したのかというと、元々インド富士の名付け親が「アンチヘブリンガン」というお店の店主で、インド富士のマスターご自身も開業前から通っていたのですが、そのアンチヘブリンガンが閉店することになり、大切な場所を再び楽しい店にしたいと思い、その場所を引き継ぐように移転したそうです。ドラマチックですね。

昼はカレー。ある日のカレーはポークビンダルー、チキン、フィッシュ、そして野菜のカレーの4種。そこからポーク、チキン、フィッシュの「3種盛り」1,200円をいただきました。

「3種盛り」

ビシッと辛味が立った横に酸味が寄り添うようなポークビンダルー、ほのかな苦味がおいしさにつながっているチキンカレー、ココナッツの甘みが心地よく絶妙なバランスのフィッシュカレー。どれも素晴らしくおいしいです。副菜も手抜きなく丁寧に作られており、一皿のバランス感や満足度がとんでもなく高いのです。

今でこそ日本人が作る南インドカレーのお店は増えていますが、それがまだまだ少なかった頃から東小金井で人気店となった先達の貫禄を感じます。

これはきっと夜も凄いぞと確信し、間髪を容れず週に2度目の訪問。まずは「インド富士サワー」500円から。

「インド富士サワー」

生姜やターメリック、タマリンドなどを感じるスパイスサワー。これが実においしい。置いておくと底にスパイスが沈殿していく程のスパイス量でありながら、それがしつこくなくて癖になります。

「おつまみ3種盛り」

選べる「おつまみ3種盛り」900円はタブレサラダ(中東料理でクスクスのサラダ)、ブロッコリーふきのとうタプナード和え(南フランス・プロヴァンス発祥のオリーブなどを使ったペースト)、うるいとあまどころマヨソースをチョイス。それぞれ野菜のおいしさをしっかりと感じ、それを活かす強すぎない味付けが良いです。

他にも「チャホフビリ」(ジョージアの牛肉ワイン煮)も。こちらは大小サイズあるということで小(700円)をいただきました。

「チャホフビリ」(小)

トマトやスパイスを使用したビーフシチューのようなテイスト。スパイス料理を食べ慣れていない人にも食べやすい奥深いおいしさです。一緒についてくるパンも軽くトーストされていて香ばしく、チャホフビリと好相性。

「ポークビンダルー」

〆にはカレーもあります。小さめサイズですが〆には十分。「ポークビンダルー」800円をいただきました。やはりここのポークビンダルーは一味違う! 酸味はそこまで強くなく、辛さが主役なのですが、ただ辛いだけではなく、この辛さだからこそ豚肉のおいしさが引き立っていると感じます。添えられたアチャールと一緒に食べると酸味も増して、酸味が好きでビンダルーが好きという方にもおすすめです。

マスターは元々カレー好きでカレーのお店やインドネシア、タイ、ベトナム、ネパール、インド料理店など、様々なお店で働いていく中でインド料理の世界に没入していったそうです。様々な国の料理がお店でいただけるのも、幅広い飲食店での経験が下地にあるからこそかもしれません。

カレー好きなら誰もが知る名店でありながら、移転したのが昨年の10月ということでご時世的になかなか広まりにくい時期だったこともあり、意外と移転したことに気づいていない方も少なくないのではないでしょうか。

お店への問い合わせはSNSのDMで承っているとのこと。夜のメニューも内容は時期によって変わるのですがSNSを見ればわかりますし、そのメニューを見るだけでもワクワクしてくるような内容です。

ランチにカレーのみでも、夜に様々な料理を楽しみながらお酒を飲むのも、どちらも最高のお店ですよ!

【第5週のカレーとスパイス】仙台にカレーのお店急増中! マニアも注目する、バングラデシュの現地料理を気軽に楽しめるカフェレストラン「ハラール・ハブ カフェ&レストラン」

仕事で仙台へ行ってきました。個人的に3年ぶりの仙台だったのですが、この3年の間でかなりカレーのお店が増えたことを感じました。街を歩いていてもカレーの文字をよく見かけましたし、カレーのお店の方との会話の中でも「最近仙台はカレーのお店が増えている」という話をよく聞きました。

仙台には古き良きお店も色々とあるのですが、今回はこの数年でできた新店の中から、特に面白いと感じたお店をご紹介しましょう。仙台市青葉区にある「ハラールハブ カフェ&レストラン」です。

こちらのお店、一見今どき感のあるおしゃれなカフェ風。内装も同様なのですが、漂ってくるのはスパイスの香り。こちらのお店の料理は、バングラデシュの現地料理なのです。バングラデシュ料理と言えば東京では錦糸町が聖地となっており、様々なお店がありますがその多くは飾らない素朴な盛り付けであり、いかにも現地料理のお店といった風で店員さんも海外の方ばかりだったりと、慣れていない方には少し入りにくいような雰囲気なのですが、こちらは先述したようにカフェに見えることもあり、誰にでも入りやすい雰囲気です。

それでいて食べてみるとこれが確実に現地の味。オーナーがバングラデシュ出身のマムンさんという方で、だからこその本物のおいしさだというわけです。

「3種類のカレーセット」

「3種類のカレーセット」1,580円はバングラデシュのチキンカレー、マトンカレー、豆カレーに、バングラデシュらしいマスタードオイルを使用したシンプルなサラダ、バスマティライス、チャパティ、豆スープがついた豪華なターリ。一見ネパールのダルバートのようにも見えますが、食べてみれば素朴で滋味深いバングラデシュの味であり、飽きの来ないしみじみとおいしい料理なのです。

「1800年代のコロマカレー」

「1800年代のコロマカレー」1,680円という興味深いメニューもあります。こちらはスパイスカレー的な盛り付けで、コルマとも呼ばれる牛乳や生クリームで作る料理の昔ながらのスタイルの味を楽しむことができるというもの。優しくミルキーな味わいのグレイビー。それを吸い込んだじゃがいもがたっぷり。現代インド料理のコルマと共通する部分はありつつも、もっと軽やかで優しい味。辛いものが苦手な方におすすめです。

「チョムチャム」

食後には「チョムチャム」590円をデザートに、「スパイシーレモンジンジャーチャイ」400円を合わせました。チョムチョムとも呼ばれるバングラデシュのデザートはわかりやすく言えばココナッツをまぶした非常に甘いドーナツ的なもの。インド亜大陸のデザートは本当に甘すぎるくらいに甘いのですが、これをカフェ的なお店で体験できるという楽しさもあります。

「スパイシーレモンジンジャーチャイ」

スパイシーレモンジンジャーチャイは生姜やカルダモンが入った紅茶にレモン汁が加わった、マサラレモンティー的なもの。こちらは非常にさっぱりとして、チョムチャムの甘さをスッと和らげてくれました。

マムンさんは英会話教室を手がけたりYouTubeをやっていたりと非常に活動的な方であり、だからこそバングラデシュ料理の魅力をマニア以外の人にも届けたいということでこのようなスタイルのお店を作り上げたのでしょう。

東京で例えるなら見た目は下北沢的で味は錦糸町。最近は見た目重視でカレーを選び、食べ歩いている方も増えてきました。そんな方はどうしても素朴な現地料理にたどり着くことが少ないのですが、こちらは見た目重視でカレーを食べている方にも現地料理の魅力に気づかせてくれる存在となり得るお店です。

2020年に開店ということでまだ歴史は古くないのですが、これからの仙台カレーを引っ張っていく存在のひとつになりそうですね。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/