〈サク呑み酒場〉

今夜どう? 軽〜く、一杯。もう一杯。

イマドキの酒場事情がオモシロイ。居酒屋を現代解釈したネオ居酒屋にはじまり、進化系カフェに日本酒バー。どこも気の利いたツマミに、こだわりのドリンクが揃うのが共通点だ。ふらっと寄れるアフター5のパラダイスを、食べログマガジン編集部が厳選してお届け!

「香記豚記 瘋狂愛您」とお出迎え!

扉には「香記豚記 瘋狂愛您」と記されており、客は「いったい、どういう意味?」と好奇心をかき立てられる。

2019年に「FUJI COMMUNICATION」、2021年に「also」と、“台湾ストリートフード”の魅力を伝える店を、次々にオープンした合同会社alsoが、新しいストリートフードのカルチャーを発信すべく開いたのが香港料理を売りにした「香記豚記」である。親しみやすい漢字が4文字並んでいるが、いったい何と読むのか?

そんな分かりそうで、ちょっと分かりにくいところが、また何ともアジアチック。店名は「香記豚記」と書いて、「ホンキートンキー」と読む。そして入口の扉には大きく「香記豚記 瘋狂愛您」と記されている。「香記豚記」は店名だと分かるが、その横の「瘋狂愛您」って、何? 客はそんな疑問を抱きながら、店内に足を踏み入れることになる。

香港の“日常”を、普段づかいで楽しめる店

客席は直径46cmと60cmの大小2種のテーブル席で構成される。

香港は外食の習慣が根づいており、レストラン、屋台、テイクアウトの店などが、街中にあふれている。そんな香港の“日常”を普段づかいで楽しませてくれるのが同店。グランドメニューはすべて1,000円以下なので、サク呑みにもピッタリだ。

難しく考えることなく、フィーリングで選んでもらう

ボトルワインや缶ビールは、ショーケースから客が自分で選ぶスタイル。

同店のアルコールは既存店同様、ボトルの自然派ワイン、缶と瓶のビールをショーケースから客が自分で選ぶスタイルを導入している。それは「料理との相性も大切だが、変に構えることなく、まず商品のデザインを見てフィーリングで選んでほしい」という、店側の願いが込められたもの。そう。何より、触れて、飲んで、身近なものとして感じることが大切なのである。

香港式チャーシューとバーボンウイスキーの組み合わせを提案

豚バラ肉使用の「港式蜜汁叉焼 五花肉」550円は、バーボンウイスキーとよく合う。

カジュアルに楽しめる“香港ストリートフード”が約30種と充実する中、同店が一押しするのがチャーシューである。チャーシューというと、日本ではついラーメンの具材に用いられる“煮豚”を思い浮かべがちだが、香港では焼いて仕上げるタイプのもので、酒のつまみやごはんのおかずに重宝する、オールラウンドな一品料理として広く親しまれている。

豚のバラ肉を使用した「港式蜜汁叉焼 五花肉」(豚バラ肉のハニーローストチャーシュー)550円と、肩ロース肉使用の「港式蜜汁叉焼 梅花肉」(豚肩ロースのハニーローストチャーシュー)550円が人気で、ともに醤油ベースの深みのある味のタレに1~2日漬け込み、毎日、オーブンで焼き上げて、表面にハチミツを塗って仕上げた香港式のもの。それを気軽に味わえるのだから、これを食べないなんてもったいない。

せっかくなら、チャーシューのおいしさを引き出すアルコールと一緒に楽しみたいもの。同店では、バニラの香りがするとも表現される、香りのよいバーボンウイスキーを、チャーシューと相性のよい酒としておすすめしている。この組み合わせはなかなかクセになるので、同店を訪れた際はぜひとも押さえておきたいものだ。

「蜜汁叉焼飯」は、食事利用にも飲酒利用にも外せない

チャーシュー飯の「蜜汁叉焼飯」850円は、食事利用に最適。茹でた小松菜は、暖かい季節はキュウリのスライスになる。

バーボンウイスキーは10種ほど揃えており、好みの味のものを探しながらチャーシューとの相思相愛の関係を堪能するひと時は、実に格別なものがある。ここからサク呑みを展開していくのもよいが、もっと軽めにすませたい場合は、「蜜汁叉焼飯」(ハニーローストチャーシュー飯)850円がオススメ。

これは、豚のバラ肉と肩ロース肉の2種のチャーシューとジャスミンライスを盛り合わせたもので、揚げピーナッツと茹でた小松菜が添えられている。食事メニューとして楽しむもよし、軽く1杯アルコールをたしなむもよしと、何かと使い勝手のよい一品だ。

香ばしくて、プルンッとして、サクサク

「酥炸排骨 咖哩粉」660円は、スパイスカレー味のスペアリブの唐揚げ。自然派ワインとの相性も抜群。

チャーシューの肉々しさでエンジンがかかったなら、同じく肉メニューのスペアリブの唐揚げも押さえておきたい。同店では、スパイスカレー味の「酥炸排骨 咖哩粉」(スペアリブの唐揚げ カレー粉)660円と、チリソース味の「酥炸排骨 辣椒醬」(スペアリブの唐揚げ ヤンニョム)660円の2種を揃えている。

このスペアリブの唐揚げは、豚のアバラ肉をニンニクと生姜で1日以上マリネし、片栗粉をまぶして揚げたもの。香ばしいのにプルンッとしており、「酥炸排骨 咖哩粉」はさらにそこにスパイスカレーのサクサク感も加わる。これはもう食感の波状攻撃だ。自然派ワインとの相性もよく、ロゼワインを合わせてみるのも一興である。