〈サク呑み酒場〉

今夜どう? 軽〜く、一杯。もう一杯。

イマドキの酒場事情がオモシロイ。居酒屋を現代解釈したネオ居酒屋にはじまり、進化系カフェに日本酒バー。どこも気の利いたツマミに、こだわりのドリンクが揃うのが共通点だ。ふらっと寄れるアフター5のパラダイスを、食べログマガジン編集部が厳選してお届け!

いまという時代の台湾を表現

多くの外国人が抱きがちな、昔ながらの“日本の風景”というものがある。例えば、東京の浅草などはその代表例だが、そこだけを切り取って「日本とはこんな感じの国」と連想されても、それは事実ではない。同様に、多くの日本人が抱きがちな“海外の風景”というものもある。台湾で言えば、屋台が密集したエネルギッシュな夜市の光景などが、まさにそう。

実際、日本の台湾料理店はこうした雰囲気の店が多いが、これもまた事実の一部でしかない。そんな、多くの人が抱きがちな紋切り型の“台湾の風景” ではなく、いまという時代の台湾の世界観を表現した人気の店が、東京・白山の「also」だ。

日本らしい住宅街で圧倒的な存在感を発揮。看板の「鶯嶁莊」は「also」の当て字で、あえて漢字にして台湾らしい雰囲気に。

外観と店内の巧みなアンバランスさ

同店は住宅街の中に突如現れる、圧倒的インパクトのある店づくりが特徴。台湾の古民家をイメージした外観ながら、中は一転、現代的なカフェ風の内装に仕上げている。現在の台湾では古民家をリノベーションし、ゲストハウスやカフェに仕上げる落差のあるデザインが1つの潮流としてある。同店の店づくりは、こうした流れをインスパイアしたものだ。

店舗は2階建てで、1階はカウンター席、テーブル席ともハイテーブルを採用。

外観はエイジング加工で、歴史を感じさせる古ぼけた雰囲気に仕上げ、さらに台湾らしさを出すために、鉄格子を特注して窓に取りつけているのが、こだわりの部分。一方、店内は白と木目でシンプルにまとめ、現代の台湾人の感覚でお洒落な飲食店をつくるとこんな感じになる。そんな視点から、いまという時代の台湾の世界観を表現している。

2階のテーブル席。白壁に飾った2m×1mの虎のじゅうたんは、絶好のSNS映えスポット。
卓上のQRコードを読み取ると、客のスマホが注文用の端末に早変わり。

売りのクラフトビールとワンタンで視覚に訴える

売りのワンタンとクラフトビールだが、それがハッキリ客に伝わるよう、壁の一角にクラフトビールのサーバーを5タップ取り付け、客の視覚に訴える。さらにその前では、スタッフが絶えずワンタンの具を皮に包んでおり、見ているだけで楽しく、期待感も高まっていく。
クラフトビールは「本日のクラフト」として、内容が随時入れ替わっていくのもうれしい。

ワンタンは皮から手作りする。 具は肉をたっぷり用いたジューシーさが特徴で、豚挽き肉もウデ、モモ、バラ、肩といろんな部位を混ぜ、深みのある味に。ほんのり生姜の味をきかせて風味よく仕上げ、粉末の昆布と椎茸で安心感を覚えるうまみをプラスしている。 何もつけなくてもおいしく、ガブリと肉々しいワンタンを楽しもう。

クラフトビールのサーバーの前で、スタッフが絶えずワンタン作りに励む。

缶ビールやボトルワインはセルフサービス

ドリンクは2階フロアに冷蔵ケースがいくつも並び、中にはバラエティ豊かな品揃えの缶と瓶のビール。そして、ボトルの自然派ワインが並ぶ。 これらを客自身が自分で取ってくる、セルフサービススタイルを採用。こうした売り方は台湾でも割に多く、日本にいながらにして本場の雰囲気を楽しむことができる。1号店の「FUJI COMMUNICATION」同様、自然派ワインが充実しているのもポイントだ。

缶と瓶のビールやボトルワインはセルフサービスで。

ワンタンとの相性も抜群のクラフトビール

看板商品の「台湾ワンタン」は、豚肉、旬野菜、旬きのこ、帆立の4種のバリエーションがある。これに合わせるのは、やはり店おすすめのクラフトビールだろう。なかでも「本日のクラフト」に「スタウト 文京区カンパイ!」1,200円があったら、ぜひとも体験したい。このビール、東京都文京区にあるブルワリーの「カンパイ!ブルーイング」が、同じ文京区内にある同店の開店を記念して手がけたもの。ビールを造る際にワンタンの皮を加えており、口当たりもなめらかでおいしい。

「スタウト文京区カンパイ!」1,200円。「台湾ワンタン 」との相性も抜群だ。