海鮮のおいしさがガツンとくる焼売
香港料理を食べるなら、やはり点心も外せない。日本人が慣れ親しんだ点心といえば、その筆頭に上がるのが焼売ではないだろうか。同店も豚五目と海鮮の2種の焼売を扱っている。海鮮焼売の「鮮蝦貝燒賣 4箇」(海鮮シュウマイ)830円は、海老、貝柱、イカの旨みが詰まっており、海鮮のおいしさがこれでもかとガツンとくる。さらに、クワイも入っているので、シャリシャリした食感が心地よい。
日本では珍しい芥藍を使用
肉、魚介とくれば、次は「野菜が食べたい!」と、自然と体が欲してくる。香港でポピュラーな野菜料理といえば「油菜」(青菜の茹で オイスターソース)880円だ。日本人的には「あぶらな」と読んでしまいそうになるが、これで「ヤウチョイ」と読む。茹で青菜のオイスターソースがけの料理で、シンプルにして酒のつまみに最適な一品と言える。
青菜もいろいろあるが、同店ではアブラナ科の芥藍(カイラン)を使用。香港では一般的だが、日本ではあまり出まわっていない野菜で、だからこそぜひとも同店で本場の味を堪能しておきたい。芥藍は塩と油を加えて茹でており、芯の部分はコリコリしてかなり歯応えがある。噛むほどに口の中でオイスターソースの味と一体となり、強く記憶に残るおいしさとなる。
細麺なのにプリプリ、プッツン!
飲んで、食べて、楽しんだら、日本人なら最後はラーメンで締めたいところ。メニューに、海老ワンタンと刻んだ黄ニラが入った「蝦雲呑湯麵」(エビワンタン麵)1,000円を見つけたので、これを注文しようと思ったものの、そこは呑兵衛の性。やはり、酒のつまみになる麺料理の方に惹かれてしまう。そうとなれば迷わず、香港焼そばの「豉油皇炒麵」(香港式 オイスター醤油 焼そば)1,000円を頼もう。
この焼そば。黄ニラともやしが入ったのみの質素な見た目だが、実はもの凄く手間がかかっている。卵麺を蒸して、茹でて、ピーナッツ油とからめ、注文ごとに炒めながらオイスターソースとブレンド醤油で味つけし、ようやく完成となる。細麺なのにプリプリ、プッツンとした弾力のある歯応えが、とてもクセになる。
ホンキートンキー クレイジー アイラブユー
香港ストリートフードのカルチャーを体験し、心地よく帰路に就こうとすると、「そういえば、『香記豚記 瘋狂愛您』って、どういう意味だったんだろう?」と、ふと入店前の疑問が湧き上がってくる。この扉に書かれた文字。実はこれで「ホンキートンキー クレイジー アイラブユー」と読むとのこと。
何でも、いまから37年前に日本の有名なロックバンドが世に送り出した歌の一節から取ったものだという。また「ホンキートンク」といえば、かつてアメリカで安酒場のことを指した言葉でもある。香港料理の陰に様々な要素が隠されており、何とも興味深い。耳をすませば、香港の街の喧騒が聞こえてくるかのような、そんな気分を味わえる魅力的な店だ。
【本日のお会計】
■食事
・港式蜜汁叉焼 五花肉 550円
・蜜汁叉焼飯 850円
・酥炸排骨 咖哩粉 660円
・鮮蝦貝燒賣 4箇 830円
・油菜 880円
・豉油皇炒麵 1,000円
■ドリンク
・ブレット バーボン(ソーダ割り) 530円+50円
・グラスワイン ロゼ 770円
合計 6,120円
※価格はすべて税込。