人気店で腕を磨いたパティシエが紡ぐ、新たな “物語”

白壁に小さなロゴプレートをさりげなく掲げたミニマルモダンな佇まい

井の頭線・東松原駅から徒歩約3分。小さな商店が軒を連ねるのどかな商店街の一角に、昨年12月にオープンした洋菓子店「パティスリーショコラトリー レシィ」。こちらは、行列店として知られる吉祥寺「アテスウェイ」や遠方からもファンが集まる白金高輪「ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ・白金店」、「食べログ スイーツ TOKYO 百名店」の三軒茶屋「パティスリー プレジール」など、名だたる人気パティスリーで修行を積んだ気鋭のパティシエ、寺﨑貴視さんが独立してオープンした店。噂を聞きつけたスイーツ好きだけでなく、高感度な地元住民も続々と訪れ、早くも評判となっている。

ロゴマークは七つの円(縁、球)の連なりで、人と人との繋がりを表現。一部繋がっていない円には、これから縁を繋いでいく、まだ成長していくというストーリーが込められている

店名の「Recit(レシィ)」とは、フランス語で「物語」という意味。オーナーパティシエの寺﨑さんが学生時代に小説家を志していたことや、現在のスイーツ作りの信条に由来している。

オーナーパティシエの寺﨑貴視さん

「食材を作っている生産者、それを受け取り加工する私たち、お店にいらっしゃるお客様、それぞれの人生やそこに至るプロセスなどを物語に見立てて、味やデザインに落とし込む。そんな一つ一つストーリー性のあるスイーツを作り、お届けする店でありたいと思っています」と寺﨑さん。

白を基調とした店内はさながらスイーツの美術館

白を基調とした無機質な空間に、グリーンが持つ生命の力強さを融合

店内は白を基調に、天井まで届くほどの大ぶりなグリーンを中央に据えた、洗練された空間。過剰な装飾がない分、什器やショーケースに並ぶスイーツがアート作品のように美しく際立ち、美術館のような雰囲気も感じられる。無機物の中に、有機物=グリーンを融合させた空間演出は、寺﨑さんが趣味で撮影している廃墟がイメージソースになっているそう。

“物語”を象徴するアンティーク洋書のディスプレイ。よく見ると「不思議の国のアリス」や「ピーターパン」など、お馴染みのタイトル

店内奥に進むと目に留まるのが、古い洋書のディスプレイ。こちらは寺﨑さんのコレクションで、なんと100年以上前のアンティークだそう。インテリアにも随所に寺﨑さんのこだわりやセンスが感じられ、自ずとスイーツへの期待も高まる。