質良しボリューム満点! 上にぎり3,500円〜

大トロ、活き車海老付きの「特上にぎり(9貫)」4,500円

まずは刺身やアラ炊きなどの料理をアテに飲むのもいいし、寿司だけをサクッと食べて帰ってもよし。
おきまりは「上にぎり(8貫)」3,500円、「特上にぎり(9貫)」4,500円という良心価格。“金額が変わるとネタの質は落ちるのか?”と思いきや、同店ではそれがありません。「上」のマグロは赤身で、「特上」になると赤身が大トロに替わり、活き車海老が追加に。違いは貫数とマグロの部位だけという点も良心的です。

壱岐対馬産の生本マグロ。爽やかな香りが広がる赤身、脂の甘みがとろける大トロも格別

福岡県福津市の津屋崎で水揚げされる天然鯛や、壱岐対馬産の生本マグロ、しっとり煮上げた車海老や対馬産の穴子など、ショーケースには輝くネタがズラリ。ネタは毎日“博多の台所”として知られる「柳橋連合市場」で仕入れています。

細かく包丁を入れた玄界灘産のミズイカ、鮮やかな煮車海老

店から市場までは、徒歩3分! 取り引きしている市場内の高級鮮魚店「天龍」とは、もう40年以上の付き合いになるそう。高級魚や良質な魚介を扱う「天龍」は、福岡の高級店・有名店御用達の老舗です。そんな店から良いネタを優先的に仕入れられるのは、深い信頼関係があるからこそですね。

ネタのデカさは大将の心意気!

左上から時計回りに、ミズイカ、大トロ、車海老、活き車海老と頭の素揚げ

軽快に握り、一貫ずつゲタの上に提供される寿司は、シャリをすっかり包み込んでしまうほどにネタが大ぶりです。みずみずしい天然鯛、コリッとした歯ざわりとねっとりした甘みが広がる肉厚なミズイカ、とろける大トロに香り良い車海老……。活き車海老に至っては、まだ尻尾がビシバシと動いているほどに新鮮! ブリンッと弾ける力強い食感、甘みがたまりません。

毎日一本一本丁寧に煮上げる穴子は同店の名物。程よい硬さでほどける白シャリもよく合う

極めつきの穴子は、何と丸ごと1本登場! ほの温かく、口へ運べばフワッホクッとほどけて消え、穴子の旨みと甘いツメの余韻が心地よく漂います。穴子は大きすぎると骨が当たるので、あえて小ぶりなものを厳選しているそう。一匹一匹しっかりとぬめりを取り、静かに炊き上げ。穴子の旨みが凝縮された自家製のツメにも、丁寧な仕事が光ります。

「変にケチったら貧乏くさかろ?」と笑う長尾さん

通常ならこの1本で2貫の寿司が握れそうなのに、何という太っ腹! そう驚いていると、長尾さんはカラッと笑って一言。「博多の男はケチケチしたらいかん! 豪快に頬張って、景気よく笑ってもらいたいけんね」
カウンターの端でビールを片手に刺身をつまむ常連客や、こなれた雰囲気でくつろぐ夫婦。豪快なネタに歓喜する出張のサラリーマンから若いカップルまで。誰しもが気兼ねなく楽しめる、清川の町の「福寿司」。名物の煮穴子を使った「押し寿司」2,000円など、持ち帰り寿司をサクッと買って帰るのも粋です。
大将の心意気と九州の力強さが詰まった「博多前寿司」を、ぜひ味わってみてください。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年12月18日)時点の情報をもとに作成しました。 
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。 
※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:森 絵里花、食べログマガジン編集部 撮影:森 絵里花