【第3週のカレーとスパイス】話題店になること間違いなし。注目のスリランカ料理店が年末に駆け込みオープン!「HOPPERS」

日本橋・兜町。古くは日本を代表する金融街として知られた街ですが、現在は再開発が進んで新たな魅力を持った街に生まれ変わろうとしています。そんな兜町の新たなランドマークと言えるKABUTO ONEに、注目の新店舗「HOPPERS」が12月6日に開店しました。こちらは古くからのカレー好きなら誰もが知る名店、押上「スパイスカフェ」が手がけるスリランカ料理店。

ランチタイムはスリランカ式の副菜がたっぷりのったワンプレートのライス&カリーを、ディナータイムはモダンスリランカ料理のコースをいただけるお店。夜に予約して行こうと思ったら既に大人気で希望日に予約が取れず、ランチタイムに行ってきました。

お昼のメニューは「スリランカ定食ライス&カリー」1,650円のみ。カレーをその日のメニューから1種セレクト。この日は9品の副菜がのる豪華版。追加料金500円でさらなるカレーを増やすことも可能です。

「カルダモンホットウォーター」

まず最初にホットのカルダモンウォーターが出てきました。カルダモンの華やかな香りがこの後に出てくる料理の期待感を煽ります。

「スリランカ定食ライス&カリー」

プレートが配膳されてみれば実に色鮮やか! どこから食べようか悩みながら、とりあえずチキンカレーを食べてみればスリランカのミックススパイスであるツナパハが利いたスモーキーな香り高い逸品。骨付きだからこそ鶏肉のうま味がしっかりと出ていて、スリランカ現地の平均と比べると辛さは控えめ。とは言え黒板メニューに辛口カレーとあるように、一般的な日本人の味覚からすると辛めな仕上がりでご飯がすすみまくるおいしさです。

「チキンカレー」

そのご飯はあえての日本米。つやつやのご飯の周りを彩る副菜が実に豪華。スリランカのワンプレートには欠かせないパリップ(豆のカレー)はモルジブフィッシュのだしがよく出ていて、これ単品でも主役を張れるくらいの存在感でありながら、脇役にまわれば見事に周りを引き立てる、いぶし銀の名役者のようなカレー。他にカブのカレーやサワラのテルダーラ(油炒め)、ナスのモージュ(酸味のある和え物)やポルサンボル(ココナッツスパイスふりかけ)、さらにはイワシの丸干しと、日本人の味覚にしっかりと合うものをしっかりとチョイスしている印象です。

日本人向けにローカライズして味を変えているのではなく、日本人シェフのフィルターを通して、日本人の好みに合う、本格的で正統派のスリランカ料理を提供している姿勢にグッときました。辛さや食材は日本人向けに。しかし味付けやスパイス感、食べたときの感覚は完全にスリランカ。これを狙って完璧に体現できる素晴らしさ。流石スパイスカフェです。

「フィッシュカレー(ブリ)」

ブリのカレーはスリランカ料理のキリマール的で、ココナッツミルクのまろやかさが青魚のクセを中和してうま味を引き立てる逸品。他のカレーもすべて食べたくなってしまいます。カレーや副菜とご飯を混ぜながら食べていくと、いつしか考えることも忘れて夢中になって平らげていました。

「小さなデザート+ティ」

余韻に浸るために「小さなデザート+ティ」350円も注文。この日のデザートはキャラメルムースのキトゥルハニーがけ。キトゥルハニーとはスリランカでよく使われる椰子蜜です。お茶はディンブラ。ふくよかな香りと紅茶らしい良い意味での渋みが、軽やかな仕上がりのデザートと相性抜群でした。

ワンプレートとデザートでこれだけ満足感を得られるのであれば、ディナーコースは一体どうなってしまうのか。再訪する楽しみができました。年末の開店ですが、2022年の東京カレー界を騒がせる存在となること間違いなし。スリランカ料理好きはもちろん、スリランカ料理を食べたことのない人や、むしろ苦手だと思っている人にこそ食べて欲しい料理の数々でした。要チェックです!

【第4週のカレーとスパイス】カレー激戦区神保町に強力な新店がオープン! ハレの日にもおすすめのディナーセットが美味「カレー&オリエンタルバル 桃の実」

日本一のカレー激戦区、東京・神保町。数々の名店がひしめきあうエリアなのですが、2021年はさらなる名店がいくつかこの地で誕生しました。その中のひとつ「カレー&オリエンタルバル 桃の実」は、住所で言えば神田小川町に10月に開店。神保町駅からも徒歩5分圏内の場所です。こちらは本郷三丁目にあった本店と、水道橋にあった姉妹店が統合して、神保町エリアに移転してきたという形。

本店の本郷店は南インド・ケララのリゾートホテルのレストランのような、南インド料理がベースでありながら観光客を楽しませるべく生まれた独自の料理を展開するビストロであり、水道橋店はインドカレーをベースにしつつ日本人が好むカレーライスのスタイルに寄せて進化させたカレーライスがメインのバルでした。

つまり同じ店名でありながらもメニューの内容は違っていたわけです。それが統合移転して、どちらの料理も味わえるということになりました。開店からしばらくは水道橋店スタイルのカレーライスをメインに営業していたのですが、遂に待望の夜営業もスタート。夜は本郷店スタイルの料理かと思いきや、それを含めつつもまた違う進化を見せていました。

実は移転にあたって厨房にはタンドールが入り、インド現地で腕を振るっていた外国人シェフも招聘していたのです。だからこその新メニューの数々です。

新「桃の実」をじっくり味わうなら「桃の実ディナーセット」4,180円がおすすめ。前菜盛り、タンドール料理、カレーという組み立てのプチコース。

前菜盛りはパニプリ(インドの定番料理で、サクサクのプリに酸味のあるソースを入れて食べるスナック)、ダヒベイガン(ダヒはヨーグルト、ベイガンは茄子)、フルーツトマトのラッサムマリネ(ラッサムとは南インドの酸っぱ辛いスープ)、フレッシュマッシュルームとコリアンダーのサラダの4品盛り合わせでした。

「前菜盛り」

構成する味の要素としては酸味と苦味が根幹にあるのですが、それでいてどれも食べやすいというのが桃の実の凄さ。インド料理の奥深い世界の扉を開くような感覚にさせてくれる前菜です。

続いてタンドール料理。こちらはいくつかある中からひとつ選べるのですが、今回は「ハリヤリチキンティッカ」をセレクト。

「ハリヤリチキンティッカ」

わかりやすく言えばほうれん草ソースの骨なしタンドリーチキンです。これがまた凄かった! まずはそのまま食べてみると、あえての皮付きチキン。インドでは皮を取ってしまうことが多いのですが、こちらは皮付きだからこそパリッとした食感が生まれています。

チキンがまとうほうれん草ソースのおいしさはもちろんなのですが、写真左上の白とピンクの可愛らしい添え物。これに驚きました。柚子胡椒のチャトニなのです。インドには無いもので、桃の実オリジナル。ハリヤリチキンのおいしさをさらに跳ね上げさせる絶妙な薬味となっていました。このあたりのセンスは本郷店を思い出させます。

「マトンコルマ」と「ロティ」

カレーと合わせる主食も選べます。マトンコルマにロティを合わせて注文しました。マトンコルマは濃厚で贅沢な味わいのマトンカレーですが、ヨーグルトのコクと爽やかな酸味が隠し味となり、口当たりはむしろ軽やかで上品。ロティは全粒粉のパン。こちらも粉の良い香りが立っており、ふんわりとした食感で日本人にも食べやすい仕上がり。カレーとの相性も抜群です。

このカレーは今までの桃の実には無かったスタイルであり、かつインド現地の味ともまた少し違う着地点となっており、新たに招聘したインド料理シェフと、桃の実のシェフが手を組んだことによって生まれた進化系インドカレーと言えるでしょう。素晴らしい!

「ラスマライ」

デザートに「ラスマライ」660円も。ラスマライとは、パニールというインドのカッテージチーズと甘いミルクを合わせたもの。インドスイーツの中でも特に日本人受けすると言えるもので、それをさらに桃の実らしくゴージャスにしたスタイルで満足度の高いデザートでした。ちなみに今までの桃の実にあった「ヴァタラッパン」も引き続きメニューにあるので、ファンの方はご安心ください。

「マトンカレーセット」1,330円

ランチタイムはカレーのメニューがガラッと変わります。インドスタイルをベースとしながらも手間暇かけまくったオリジナルの「チキンカレー」880円(単品)は、+150円で豆カレーとピクルスが付く「カレーセット」にするのがおすすめです。

カレーの量はやや少なめで、サラダが付く「サラダ&ミニカレーセット」(料金は各カレーと同じ)という新たなメニューも加わり、楽しみ方も増えました。

キーマカレーの「サラダ&ミニカレーセット」

チキンがおすすめと言いつつ、僕が一番好きなのはマトンだったりします。でもキーマも捨てがたい。つまりはすべてが個性ある絶品カレーなのです。そして以前本郷店のランチで楽しめたビリヤニを食べたいという方はディナーメニューにあるのでご心配なく!

新店舗は明るくて爽やかな内装ということもあり、女性一人でも入りやすいお店です。気軽にランチカレーを楽しむも良し、ちょっと豪華にディナーを楽しむも良し。ディナーメニューに関してはさらに色々な料理を楽しめるように計画中とのことで、今後にますます期待が高まります。

激戦区神保町エリアの新店舗でありながら、既にトップクラスの名店と言って差し支えないでしょう。クリスマスのディナーにハリヤリチキンを選んだディナーセット。めちゃめちゃおすすめですよ!

※本記事は取材日(2021年12月20日)時点の情報をもとに作成しています。

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/