新進気鋭と呼びたくなる……他のどこにも存在しないお好み焼き
ここまで紹介した料理だけでも十分満足の内容なのだが、加藤さんにはどうしても教えたい“この店ならではのお好み焼き”があるという。加藤さんはニヤリと笑って、マスターに「材料を見せてもらえますか?」と告げた。すると、出てきた食材は……?
こんな野菜を使ったお好み焼きは見たことがない!

出てきたのは色鮮やかな野菜の数々。そこにあるのは、ニンジン、黄パプリカ、赤パプリカ、紫イモ、紅芯大根、マッシュルーム。これがお好み焼きに入るのか? そもそも広島のお好み焼きと言えば、キャベツともやしがたっぷり入ることで有名だが、こんな野菜が入るなんて聞いたことがない。

加藤ひさつぐさん
ね? 意味がわからないでしょう(笑)。 同店の隠れた人気メニューと言ってもいいんですが、季節の野菜がたっぷり入るんですよ。今日はありませんが、他にもジャガイモ、サツマイモ、シメジ、エリンギなどが入ることもあります!(ニヤリ)

あえてキャベツは少なめで、季節野菜がカラフルに重なる色模様。マスターの高坂さんは「そもそも妻のアイディアなんですよ。うちはいろんな野菜を使うから、お好み焼きに入れてみたらいいんじゃないかって。半信半疑でやってみたら、これはおいしいと! これまでに食べたことがないお好み焼きだったのでメニューに載せようと思いました」

パッと見は普通のお好み焼き。しかし、その中には旬の野菜がたっぷりと蒸し焼きになって入っている。玉手箱のような驚きと発見と楽しさが共存する、唯一無二のお好み焼きが完成! その名も「野菜畑のお好み焼き」930円。まさに、畑からそのまま直送されたような、野菜好きにはたまらない一品だ。


加藤ひさつぐさん
楽しいでしょう? 料理を目の前にして「どんな味がするんだろう?」とワクワクする感覚が外食の最大の楽しみではないかと思っているんです。口に入れて驚く、感動する、また次のひと口を口に運ぶ。死ぬまで続けばいいとさえ思える無限ループですよね。今回も紫イモが入っていますが、この甘さがたまらないんです。野菜がシャキシャキ、しっとり、ホクホク、それぞれの個性を出しているので食べる場所によって新たな発見があります。


加藤ひさつぐさん
いつも元気よく笑顔で迎えてくれる、高坂夫妻の作り出す店内の雰囲気も魅力です。オーナーは元々、スキューバダイビングの講師だったそうで、華麗なる転身には驚かされます。
数々のアイディアメニューでもてなす実力店
広島市内中心部から少し離れていながらも、遠方から足しげく通うファンを多く持つ「鉄板こうさか」。路面電車の走る広島の風景の中で、ポッと明かりが灯った店から聞こえる笑い声。そんな心まで温まる店で貴重な食体験をしてほしい。
※価格はすべて税込