まずは鶏肉でダイレクトに旨みを楽しんで

「鶏肉はカットの仕方で味が変わる」と海老沼さん。おいしさを最大限に引き出せるよう、日々研究しているそう

スープの次は、もも肉、手羽、スネの3種類の鶏肉をいただきます。骨付きですが、ほろっと身が崩れるやわらかさ。噛むとふくよかな旨みがじわじわ。自家製のぽん酢や柚子胡椒を添えて、味の変化も楽しめます。

さまざまな部位が混ざったつみれは濃厚な味

鍋がスープだけになったら、つみれの登場です。もも肉のほか、半端に余ってしまった希少部位など、数種類の部位を粗いミンチにして作られています。

火が通るのをじっくり待って

一口大に丸めて火が通るまで数分。テーブルに置かれた砂時計とにらめっこするのも良いですが、その間に食べて欲しいのが「唐揚げ」です!

唐揚げは一皿5個で800円。1個150円からオーダーもできる

同店は水炊き専門店ですが、水炊き以外の唯一のフードメニューが「唐揚げ」800円。一つあたり80g前後の鶏むね肉を使った唐揚げは、迫力あり。外はかりっ、中はしっとりジューシーで、鶏むね肉特有のぎゅっと身が詰まった感もあって、食べ応え抜群です。

つみれはすべて食べ切らず残しておくのがおすすめ。しめの雑炊を作る際、潰して混ぜれば旨みが倍増!

唐揚げを堪能したら、いよいよお待ちかねのつみれが目の前に。細かく砕かれた軟骨のコリッとした食感に、ふわっとした舌触りで、スープとともにじわじわと旨みがあふれ出してきます。“他にはない味”と、絶賛するファンが多い逸品です。また、このタイミングでもスープを飲んでみてください。 クリアな状態から、いつしかほんのりと白濁した状態に姿を変えたスープは、ぐっと力強さがあるコクと香りが楽しめます。

まろやかなスープに仕上がったら、フィナーレの雑炊へ!

鶏のおいしさが詰まった濃厚スープに、さらに加えるのがキャベツや小松菜、鶏むね肉、エノキといった味にクセがない具材。スープをおいしく味わうために、あえてのラインアップです。

ポン酢や柚子胡椒など、こだわりの薬味と一緒に味わって

野菜を食べ終わるころには、スープはとろりとまろやかに。
「スープの変化をぜひ楽しんでもらいたいです。人によってそれぞれ好みが違うので、飲み比べてお気に入りの味を見つけていただきたいですね」

さらさらと食べられる雑炊は外せない!

徐々に食材を加えて出来上がった最高のスープは、最後の一滴まで楽しまねば。同店では「雑炊」350円と「素麺」250円、2つの締めを用意していますが、おすすめはやはり雑炊! 手作りのニラ醤油を加えて、味にアクセントをつけるのもおすすめ。鶏肉や野菜からあふれ出た旨みをまとった雑炊は、最高のフィナーレです。

大事な人と水炊きを囲ってできる“えん”を大切にしてほしい

海老沼さんは、いつか故郷の栃木で水炊きの店を開くのが夢なのだそう

「コロナ禍を機に会食の種類も変わってきて、外食を楽しむのも本当に親しい人や大事な人とだけ、と考える人が増えてきていると思います。一つの鍋を囲む水炊きでできるのは、一つの“えん”(円・縁)。気取らずカジュアルに、でも大切にしたいひとときを、水炊きを囲んで過ごしていただきたいですね」

人気店なので早めの予約がおすすめ

食べ終えたころには、体も心もぽっかぽか。コロナ禍でなかなか会えなかった大切な人を誘って、水炊きを囲みながらゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょう。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年11月8日)時点の情報をもとに作成しています。
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※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:戸田千文、食べログマガジン編集部 撮影:濱田陽守