【食を制す者、ビジネスを制す】
能力はやる気次第で向上してくる
今、読者の中には「仕事で自分の能力が足りない」と悩んでいる人も少なくないのではないだろうか。でも、心配は無用だ。能力とは、やる気さえあれば、向上していく。意外に思うかもしれないが、能力は仕事における立場とやる気でつくられるものなのだ。
実際、仕事ができる人ほど、「人間の能力など大差がない」と思っている。大事なのは「努力すれば自分もできる」と思うことだ。できないと思っていては、いつまでたってもできはしない。やる気さえあれば、時間がその人をできる人に変えてしまうのである。
もし今、やる気を出せないのなら、好きな仕事をするために転職すればいい。でも、そんな勇気がないなら、嫌いな仕事でも「これなら自分でもできる」という部分を一つでも見つけて好きになろうと努力することが必要なのだ。
実は、今の仕事を好きになろうと努力している人ほど、これまでわからなかった自分のやりたいことや能力が見えてくる場合が少なくない。しかも、そうやって努力した人のほうが成功する確率が高くなるのである。
20代の松下幸之助がいつも思っていたこと
目の前の仕事に懸命に取り組んでいれば、自分に足りないところや、その仕事の面白さがわかってくるようになる。努力して結果を出せば、次第に周りの人たちが、あなたの能力を認めるようになり、さらにあなたは結果を出そうと努力することになる。そうやって気付いてみれば、自分にしか見えない高みにのぼっていることも少なくないのである。
大事なことは目の前の仕事に一所懸命取り組むこと。そうすれば、そこから見えてくるものがある。パナソニックの創業者である松下幸之助もこう言っている。
「私はいま、二十代の夏の日のことをなつかしく思い出します。日のあるうちいっぱい仕事をし、晩にはタライに湯を入れて行水(ぎょうずい)をするのです。仕事を終えたあとの行水は非常にさわやかで、“自分ながらきょう一日よく働いたなァ”という満足感を味わったものです。自分ながらきょうはよくやった、と言って自分をほめる、自分をいたわるという心境、そういうところに私は何だか生き甲斐というものを感じていたように思うのです。お互い毎日の仕事の中で、自分で自分をほめてあげたいという心境になる日を、一日でも多く持ちたい、そういう日をつみ重ねたいものだと思います」(『人生心得帖』)。
その意味で、一所懸命仕事をした後は、ぜひ自分にご褒美を与えてほしい。寿司でもステーキでも、中華でもイタリアンでもいい。それも一人で行くことをお勧めする。そのほうが仕事のことを反芻しながら、じっくりと味わうことができる。
サウナからのハイボール
そんなとき、食事の前にサウナに行って、松下幸之助の行水さながらに汗を流してから食事に行くと、気分の良さも倍増する。それだけではない。サウナの後に、少しだけバーでお酒をひっかけてから食事に行くと、さらに気分は盛り上がる。
もし銀座で飲むなら、まずは新橋駅前のサウナ「オアシスサウナ アスティル」、そこから銀座7丁目にあるバー「ロックフィッシュ」のコースをお薦めする。「アスティル」は大浴場とサウナ、マッサージ、リラックスルームがありビジネスマンが多い。料金も60分のスピードコースなら1,500円強で済む。風呂上がりにリラックスルームでスポーツ紙を読んでいると、眠気を伴った何とも言えない幸福感を味わえる。
そして、「アスティル」から5分程度歩いて「ロックフィッシュ」に行く。ちょっと洒落たビジネスマンや作家、マスコミ関係者が早い時間に訪れる落ち着いたバーだ。ここの名物はハイボール。氷はなく、ウィルキンソンの炭酸とサントリーの「角瓶復刻版」(アルコール度数が通常の角瓶よりも少し高い)でつくり、レモンピールを少々振りかけるだけ。
簡単につくれると思うかもしれないが、材料が少ないほど、つくる人によって味が微妙に変わってくるもの。熟練のマスターが仕上げるここのハイボールのうまさは、ほかの店では絶対に味わうことができない。店はビルの2階の奥のほうにあり、最初は少し迷うかもしれないが、それが隠れ家的でまたいい。夕暮れ時に「ロックフィッシュ」で1~2杯飲んでから、銀座を歩いていると、次第に仕事の疲れがとれていく。食事のあとはさらに前向きに人生を過ごしていこうという心持ちになれるはずだ。