和酒セレクトショップ「吟天」からプライベートブランドのスパークリング日本酒「吟天白龍 2016」が発売された。そのビジュアルが瓶の形状から液体の色まで、まるでシャンパン。2016とヴィンテージまでついている。そしてお値段はなんと1本16,500円(税込)!

この型破りな日本酒は、いかにして生まれたのか?

日本酒好きが高じて異業種から参入

「吟天」オーナーの小田切崇氏はIBMのカスタムエンジニアだったが、日本酒の奥深さに魅了され、30年勤めたIBMを退社し、日本酒の魅力を発信するべく起業。初めはセレクトショップの運営からスタートしたが、さらなる日本酒の可能性を広げるためには、従来にないコンセプトの商品が必要と考え、蔵元と組み、プライベートブランドを開発するようになる。

日本料理店や寿司屋だけではなく、イタリアンやフレンチのレストランでも提供されることを見据えて、一升瓶ではなく、ワインボトルで展開する。

5年の眠りから覚めた、スパークリング日本酒

今回発売された「吟天白龍 2016」は八戸酒造の蔵に5年間眠っていた日本酒に小田切氏が出会ったことで生まれた。米・麹・水だけを原料に、シャンパンと同じ瓶内二次発酵で造ったスパークリング日本酒だ。白麹特有のクエン酸によるキリリとした上質な酸味が特徴的。

微発泡で滑らかな味わいは、上質なシャンパンのよう。事前に説明がなければ日本酒ということに気がつかないかもしれない。今まで飲んだことのあるスパークリング日本酒とは全く違う、別次元の飲み物に仕上がっている。その品質にシェフ達も絶賛。

 

笹嶋伸幸シェフ/emuN

これが日本酒なのか?と本当に驚きました。5年寝かせているせいか、とてもふくよかで、穏やかな味わいだと思います。

 

中村和成シェフ/ラ・ボンヌターブル

食事の始まりに、シャンパーニュに匹敵する酸と華やかな香り、上品な発泡と熟成による深みのある味わいが、生野菜、果物等に極力手を加えない、素材そのものの味わい、自然な味わいの料理を華やかに昇華させてくれます。

 

相原薫シェフ/サンプリシテ

乳酸由来の柔らかい酸味と泡の質感です。

発売本数は777本と非常に少なく、もし手に入れることができたらプレミアムな1本になりそう。

吟天白龍販売ページ>>

ワイン好きを唸らせる、純米吟醸

泡だけではなく、「GINTEN blanc 2021 純米吟醸」も同時発売。こちらもビジュアルだけでなく、味わいまでまるで白ワインのよう。甘さを感じさせない、サラッとした口当たりで魚料理との相性抜群だ。

「GINTEN blanc 2021 純米吟醸」11,000円(税込)

ゴールドをアクセントにした洗練されたラベルで、テーブルにもスッと馴染む。

 

笹嶋伸幸シェフ/emuN

これこそ本当に概念が変わった。言われなければ日本酒かどうかわからない。米由来ということで、最後の唇に残る残糖感はあるが、酸味がとてもしっかりしていて本当にワインのよう。

 

中村和成シェフ/ラ・ボンヌターブル

日本酒の概念を覆すほどの個性的な酸を持ち、ワイングラスに注いだら昇ってくる香りにすらワインを彷彿させてしまうフルーティさが魅力的。余韻が凄く繊細で、スッと口からいなくなる感覚が素晴らしい。

 

相原薫シェフ/サンプリシテ

塩麹、クエン酸由来の酸味を感じ、旨味や甘味があり丸みのあるお酒です。

今後も様々な種類を発売予定とのことで、レストランでの日本酒ペアリングが進化していきそうだ。

GINTEN blanc販売ページ>>


写真:吟天 文:食べログマガジン編集部