「ナチョス」と「テキーラサンライズ」で今夜も陽気に乾杯! 

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて言う人もいるが、それは東京や大都市の話。

口コミ数が比較的少ない地方都市では、「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことも十分あり得る。

そこで、グルメなあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、サガワねこさんがタコスヤロウ〈TACOSYALOW〉を紹介。文化の発信地も目指すタコス専門店のルーツも探った。 

教えてくれる人

サガワねこ

沖縄の新タウン情報メディア「ふらびゅう沖縄」編集長。タウン情報誌「おきなわ倶楽部」や「沖縄JOHO」編集部に勤めた経験を元に、フリーライターとしても活動し、企画・執筆・撮影・デザイン・SNS運用の全てをこなす。長年バンド活動をするほど音楽好きなことから、インタビューやライブレポを得意とする。唐揚げとラーメンを愛するがゆえに、万年ダイエットと向き合っている。

メキシコ×アメリカの風を地元に「タコスヤロウ〈TACOSYALOW〉」

アメリカ文化が色濃く、その影響でハンバーガーやタコス専門店も多い沖縄。中でも沖縄発祥のタコライスは、ご当地グルメとして土産店に並ぶほど。そんな有名・競合店がひしめく沖縄タコス界に突如現れた「タコスヤロウ」。観光地や中心地からは離れた郊外にある為か、昼間はゆったり地元の若いママが集い、夜はご近所さんがタコスとビールで晩酌をする。しかし噂を聞いた県外のカフェ経営者が訪れた際には、「今まで食べた中で一番本場のトルティーヤに近い味」と、提携を持ちかけた程の実力店である。
食べログでの点数は3.09だが、その本格的な味が生まれた秘密と、この場所にオープンした理由を店主のナーリーさんに尋ねた。

※点数は2021年11月時点のものです。

自分が地元で味わいたかった感動、なければ自分で作ろうと思っただけ

アメリカのハイウェイ沿いを思わせる雰囲気

真っ赤な壁に飾られたポスターと、窓際のソファー席。アメリカ西海岸をイメージした店内は、シンプルながら雰囲気満点。広く取られたスペースはファミリーでも食事しやすく、涼しい日は外カウンターで楽しむカップルもいるそう。アーティスティックな雑貨や、店名の描かれたオリジナルグッズも並んでいる。 

本物のレコードを使ったライトは県内若手作家の作品
ストリートデザインのTシャツやキャップが並ぶ 

ロックバンドをしている店主の人脈もあり、音楽やアートに精通する人も訪れる。お店を自由に発信場所として使って欲しいとの提案で、DJイベントやライブペイントなども行われ、これまでこの近郊ではなかなか実現できなかったイベントも開催。そして「好きなこと、ライブはしっかり楽しむために」と、飲食店では珍しい土曜定休を貫く。

 

サガワさん

「こんなに雰囲気も味も良い、値段も良い、デートにぴったりなのに、土曜に閉めるのもったいないよ」と伝えましたが、理由を聞いて大納得! 自分も思いきり楽しみたいという素直な思いと、中途半端な味は出したくないという熱意に、趣味もお店も応援したくなりました。

ライブペイントで作られた作品は店内に掲示

北谷町や沖縄市など、基地近隣は県内でも特に異国文化が強く、観光客だけではなく地元学生にとっても“カッコイイ文化”に触れられる貴重な場所だ。放課後や週末は飲食・アパレル問わずストリート系の店に若者が集まる。西原町で生まれ育った店主は学生時代、北谷町へ遊びに行き出会う文化や食べ物が大好きだったそう。自分の地元でもそんな場所が作れたら、そして、それが西原町の文化を発信する起爆剤になればと、大きな思いを持ちこの場所で店を始めたと話してくれた。

店のオリジナルキャップ