ファッション誌や広告出演、アパレルブランド「idem(イデム)」をディレクションするモデル・村田倫子。お酒好きを公言する彼女が気になる飲み屋を調査しパトロールする連載の37回目は、東京・外苑前にある予約困難のベトナム料理店「アン ディ」の姉妹店として話題の広尾「アン コム」を紹介します。
呑み屋パトロール vol.37「アジアンムード漂うベトナム料理店でインドア派も夏気分」の巻
インドアな私は夏が苦手だ。暑いし、焼けるし、暑いし。なんだかぼーっとするので、できる限りクーラーの下で生きていたい。でも、炎天下だからこそ、恋焦がれるものがある。それは、エキゾチックなアジアのお味。
今日は洗練されたモダンベトナム料理が味わえる外苑前の超人気店「アン ディ」の姉妹店「アン コム」へ。
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べトナムローカルメニューに日本産の有機食材を使用した「アン ディ」ならではのエッセンスを加えたカジュアルフードと、日本酒を中心に焼酎やワインとのペアリングなど新しい食体験が味わえる。しかも親しみやすい価格であの味が楽しめるなんて……! この前情報だけでお釣りが出そうな勢い。
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最初に注文したのは、エゴマの絨毯に、おめかししたカツオさんがのった「カツオのたたき エゴマ巻き」。ショウガ、コブミカン、ハーブたち、そして華やかなパクチーの花。ココナッツミルクとサワークリームで仕立てたソースをつけて召し上がれ。
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視覚から既に情報過多で、幸せな回線渋滞が発生。 肉厚で弾力のあるカツオから、じゅわんと滲み出る濃厚な旨味。咀嚼のたびに重なって、弾けるハーブの香りがアクセント。
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あの手この手で、私のお口を楽しませようとくるくる表情を変える魔性の女感がすごい。
口に残る色っぽい余韻が、お酒をしっとり艶やかに呼び込もうとしている。「ベトナム料理は、旨味のある料理も多く、日本酒と相性が良いんです。さらに私たちは、アジアンなテイストの隠し味に、だしや薬味をアクセントとして仕込むことで、日本でしかできないベトナム料理に仕上げています」と、お店の方。
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「ですよね!!!」と強めの圧で応答する私。今回は緊急事態宣言中のため、ランチでノンアル企画。お酒が楽しめない悔しさとともに、ジンジャーエールをクイッと流し込む。
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「……あれ?」
「自家製ジンジャーエール」のキリリとした辛味、爽やかに弾ける炭酸は、アルコール無くとも、十分に私の心を満たしてくれる。
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ソフトドリンクまで抜かりないなぁ。
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そして、ランチ帯はセットで上記写真のコンビが食べられる。
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きゅんきゅんに身が詰め込まれ、丸々太った生春巻き。透けてる状態からぷりぷり具合を目視できるエビさんに、色っぽいなぁ……なんて下心剥き出しに目尻が下がっちゃう。
ぶりんと弾けるエビ様、シャキシャキ、ザクッ、サクッ……愉快な咀嚼音の数々と味のテンポに、解析が追いつかない。ベーシックな中に、しば漬けやパイナップルなど、アン コムだからこその遊び心がうかがえる。随分センスが詰まった筒だ。
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実はこの生春巻きは、本店「アン ディ」と全く同じ味を提供しているのだとか……。 この価格で堪能できてしまうなんて、贅沢。
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箸で持ち上げると湯気が立ち上るチキンフォー。きらきらゆらめく黄金色のスープは、この後の至福を確約しているかのよう。
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お洒落ガーデン化しているこちらのお皿は、フォーに入れるトッピングハーブたち。日本産のオーガニックにこだわった、選りすぐりの緑の庭だ。
どうやら、いい時期に来たらしい。夏はハーブたちがいっそう輝く季節。本日はバジルだけでも9種類も入ってるそう……。
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まずはそのまま。洗練されたスープのだしにくらっとして(天を仰ぐ私)、ちゅるちゅる元気よく滑る麺の喉越しに、はっ!と目が覚める。
何だこの感覚。まだまだこんな、もんじゃないのよ。
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今日この瞬間まで、私の中でのフォーの立ち位置といえば“味付きそうめん”だった。何も考えずにつるつる流し込んで楽しんでいたけれど、なんかもう、今日は頭が楽しい因数分解に忙しくて幸せ。知ってしまったフォーの本質。
さらに、がっつり系もあるのよ。
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芳ばしい香りを纏って、やってきた「レモングラス ラムつくね」。
可愛らしくレモングラスのベッドにすっぽり収まっているが、口の中での攻撃力は旨味爆弾。幸せなノックアウトにクラクラ。
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唯一の心残りは、やはりお酒とペアリングできなかったこと。あー、日本酒と合わせたい……とぶつぶつこぼしながらも、自家製ジンジャーエール最高!と、機嫌が忙しかった私。
でもおかげで、また訪れる口実ができた。次回のペアリングが楽しみ。
※価格はすべて税込