コース6,000円からのお店も。ランチが狙い目の3軒

本稿もう一つのテーマは、ランチでお得に会席を楽しめる日本料理店。こちらも「日本料理 百名店 2021」から1軒、選出外ではあるものの、ぜひおすすめしたい2軒をご紹介します。

ランチで京料理を存分に堪能できる「八寸」(祇園)

まずは「食べログ 日本料理 WEST 百名店 2021」に選出された、京都・祇園の「八寸」から。

「ランチで行けば1万円ぐらいから、京料理を存分に堪能できるお店。祇園エリアで言えば、コストパフォーマンスは希少な部類に入るでしょう。40年以上続く老舗を息子さんが継いだ形で、その2代目大将の人柄も素敵。話しやすくて、日本料理入門には実におすすめです」

川井 潤
旬の食材を目と舌と鼻など五感で楽しめる八寸   出典:川井 潤さん

料理は京都ならではの繊細さや、たおやかさが随所に。丹念な下ごしらえと巧みな技術で彩られた美食が、芸術的な器に盛り付けられて提供されます。

「お弟子さんたちのホスピタリティも素晴らしく、人を財産として大切に育てていることがカウンターからも伝わってきます。それがあたたかい空気感につながっているんでしょうね。自然と会話が弾みますし、京都や日本料理の知識も自然と教えてくれて、勉強にも思い出にもなります。そういった意味でもエントリーには最適ですよ」

ランチはなんと6,000円から「日本料理若林」(外苑前)

次は「食べログ 日本料理 百名店 2021」には入っていないものの、東京でランチ会席を楽しむにはきわめてお得な一軒。外苑前にある「日本料理若林」です。

「外苑前で7年連続ミシュラン三つ星を獲得し、惜しまれつつ八ヶ岳に移転した『青山えさき』で長年副料理長を務めた若林浩次さんのお店。『青山えさき』のスペシャリテだったキンキの煮付けのレシピも継承していて、昼も味わえます」

ランチはなんと、7皿のコースで6,000円(税込)から。キンキの煮付けが入るコースは11,000円(税込)しますが、丸々一匹でボリューム十分。スペシャリテを楽しめるのであれば、納得の価格でしょう。

「青山えさき」から受け継がれるスペシャリテ「キンキの煮付け」
「青山えさき」から受け継がれるスペシャリテ「キンキの煮付け」   写真:お店から

「大将と奥様で営業していて、両人ともニコニコと物腰がやわらかくて愛想もいい素敵なご夫婦。キンキの煮付けは水揚げ次第で、仕入れがなければのどぐろや金目鯛など違う魚になりますが、その場合もほかの料理ともてなしが素晴らしいので、がっかりすることはありません。夜も12,000円(税込)からとリーズナブルで、おすすめですよ」

上質感満点ながら良心価格「研覃 ほりべ」(烏丸)

最後を飾る京都・烏丸の「研覃(けんたん) ほりべ」は「食べログ 日本料理 百名店 2021」には入っていませんが、こちらもぜひおすすめしたい一軒。漆塗りのカウンターからして目を惹く上質感満点の日本料理店ながら、ランチ会席を7,000円台で楽しめる良心価格のお店です。

「リーズナブルなランチとはいえ、一切の手抜きはありません。お出汁からして絶品で、すべての料理がハイレベル。ど真ん中の京和食を堪能できます。そんな抜群のおいしさが圧倒的にお得な値段で、脱帽のレベルです」

川井 潤
「研覃 ほりべ」のお造り   出典:川井 潤さん

店主は寡黙なタイプながら、話しかければ応えてくれるそう。料理と食材の意味合いなども教えてくれ、勉強になる側面もあると川井さんは言います。

「同じ京都でも、祇園の『八寸』とは違った魅力を感じます。フレンドリーなおもてなしとはちょっと異なるのですが、それも含めた高級感をランチでお得に楽しめるお店。しかも正統派の京料理を感じさせる優雅なおいしさですから、コストパフォーマンスの点では随一と言えるでしょう」

日本料理の名店と聞くとハードルが高く感じますが、入門者にもやさしいと聞けば、行ってみたくなりませんか? おひとり様歓迎の店もあるので、まずはランチからでもぜひチャレンジを。

監修/川井潤 取材・文/中山秀明

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