【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2021年5月を振り返る

今月のカレーとスパイスは、海外旅行がしにくいこのご時世で少しでも海外旅行気分を味わえるようなお店をセレクトしました。カリブ海の料理を元にしたカレーにはじまり、南インド料理を中心に世界各国の料理を楽しめるお店、本格的なバングラデシュ料理の新店舗、タイ料理の名店の4店舗です。

どのお店も日本らしからぬ雰囲気であり、おいしい料理と共に非日常を味わえることでしょう。先の見えないご時世ですが、いつかまたきっと海外旅行を楽しめる日が戻ってくるはずです。それまでは各国のおいしい料理を食べて思いを馳せるとしましょう。

【第1週のカレーとスパイス】新宿ゴールデン街から恵比寿へ。人気間借りカレー店がメニューもパワーアップして移転オープン!「東京コロンボ」

緊急事態宣言下のゴールデンウィークという逆境の中、ひとつのお店が移転オープンしました。昨年4月に間借りカレーの聖地である東京・新宿ゴールデン街にて「マリーダカレー」としてオープンしたものの、緊急事態宣言の影響で移転を繰り返さざるを得なかったという状況の中、その個性あるおいしさでファンを獲得し、名前も変わって新宿ゴールデン街の人気間借りカレー店のひとつとなっていた「東京コロンボ」です。

そんな東京コロンボが恵比寿に移転。今回もまた間借りとのこと。いったいどのような理由だったのかマスターにお話を聞いてみると「コロナ禍ゆえ、ゴールデン街では同じ時間帯に2組までという形の営業にしていたこともあり、せっかく食べに来てくださったのに多くの方を店頭でお断りせざるを得ない状況でした。そこで実店舗を構えようと地元の恵比寿を中心に物件を探していたところ、古くからの知人であった『パブリック ハウス エピローグ』の方からお誘いがあり、お世話になることにしました」とのこと。

つまり、ポジティブな理由での移転だったわけです。いや、ポジティブとも言いきれません。昨年からどこのお店でもそうだと思いますが、席数を減らさなくてはいけなくなったり、時間を制限されたりと、通常時であればしなくて良いことに対応せざるを得ず、飲食店の苦労は絶えない状況です。そんな逆境の中でもお店が大きくなったというのはやはり喜ばしいことです。

「あいがけ2種盛り」

今回は全部のせ的な、東京コロンボ・デラックスにエキゾチックキーマの「あいがけ2種盛り」1,400円をいただきました。店名ともなっている東京コロンボは、カリブ海の料理であるコロンボという、肉や野菜をスパイスで煮込んだものをカレーとしてアレンジしたもの。ほかにありそうでないスタイルです。

元々おいしかったコロンボですが、パワーアップしました。デラックス、もしくはあいがけになると野菜フリットが付くようになりました。注文が入ってからポレンタ粉をまぶして揚げるフリットは、衣のサクサク感も楽しく、おいしさを一段階底上げしてくれる存在です。

エキゾチックキーマはホクホクした食感のひよこ豆も入り、どこの国の料理とも言いきれないけれど確かにエキゾチックなキーマです。プラス200円でドリンクセットも可能ということで「塩レモンラッシー」もいただきました。

「塩レモンラッシー」

ほのかな塩味とレモンの酸味のバランスが良いラッシー。カレーの後にぴったりの逸品です。カレーは辛さも増やせるのですが、辛すぎるときはこのラッシーが役に立つでしょう。

卓上のスパイスに力が入っているのも相変わらず。しっかりと辛さを増やせるハバネロソース、スリランカテイストのルヌミリス、中東の複合スパイスであるデュカの雰囲気を感じさせるスパイスふりかけ、オリジナルのレモンコショウヨーグルト。カレー自体は基本2種なのですが、この卓上スパイスの使い方で味も自分仕立てで変えていける楽しさも健在です。

間借り先のパブリック ハウス エピローグは本格派ブリティッシュパブということで、緊急事態宣言が解除されて酒類の提供も可能となれば、パブとしての楽しみ方もできるでしょう。今後の展開が非常に楽しみなお店です。昨年以上の形で今年もこの逆境を跳ね返してくれるだろうと期待しています。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年5月5日)時点の情報をもとに作成しています。

【第2週のカレーとスパイス】テイクアウトもOK! まるで食の世界旅行気分を味わえる西早稲田の個性派食堂「四次元食堂」

東京・西早稲田に「四次元食堂」という個性的な店名の小さなお店があります。南インド料理を中心に、世界各国の料理を食べることができるお店です。

開店当初から何度か通っているのですが、行く度においしさと面白さのレベルが確実に上がっているなと感じます。

マスターの経歴も興味深く、26歳で料理人を志しイタリアへ行き、トスカーナ州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州で2年修行。帰国後は都内スイス料理店でシェフを務め、ご自身のイタリアンバーを開いた後に南インド料理の名店「エリックサウス」でさらなる修行を積み、そして西早稲田の地で四次元食堂を開店したという方なのです。

看板メニューは南インドのミールスを日本の定食的に組み立てたミールス各種。メインのカレーを選べるスタイルであり、ご飯は日本米とバスマティライスのあいがけならぬあいもり。大阪的に言うなら「あい飯」です。

それぞれのご飯をそれぞれのカレーと一緒に食べると、ご飯の感じ方やカレーの感じ方が変わってくるのが面白く、食事を立体的、つまり三次元的に楽しめる以上に、四次元的に楽しめるのです。

「キッシュ&カレープレート」

さらには南インド料理と通常合わせない料理を組み合わせることも可能。今回いただいた「キッシュ&カレープレート」1,200円がまさにそれ。

マスター曰く「このメニューは『よもだそば』さんにインスパイアされて作ったんですよね。よもだそばで食べたインドカレー&たぬきそばを四次元的に変換してキッシュ&インドカレーにしたのです」と。

よもだそばと言えば最近は店舗数も増やしているインド風カレーがおいしい立ち食いそばのチェーン店。

それがどうしてキッシュとカレーになるのか。確かに使っている材料で考えればキッシュとたぬきそばの天かすに同じ部分はあるのですが、天かすからキッシュに変換させてしまうその発想がまさに四次元的であり、お店の面白さを象徴しています。

選べるカレーは激辛アンドラチキンとブリと大根のコランブカレーにしました。

写真左から「激辛アンドラチキン」と「ブリと大根のコランブカレー」

どちらも南インド料理をベースにしていますが、ブリと大根を合わせるのは実に日本的。それに西洋料理のキッシュが加わってくる楽しさ。それぞれ単体でおいしいのはもちろん、意外にも相性が良いのです。

数量限定「チキンビリヤニ」

また、数量限定のビリヤニもおすすめ。「チキンビリヤニ」1,100円も選べるカレーをひとつ付けることができます。赤ワイン風味ビーフキーマを合わせてみたのですが、このキーマは赤ワインを使っているということもあって洋食的な仕上がりになっています。

ビリヤニはスパイスの香りも良くフワっと軽やかに炊き上がり、これにウェットなキーマをかけて食べるとどこの料理なのかわからないけどとにかくおいしいという感覚になります。

「ベトナムプリン」

食後に「ベトナムプリン」300円もいただきました。

苦味と甘味のバランスが良く、日本からインド、西洋へ飛んでからベトナムという国もさらに加わった世界旅行を楽しんだような気持ちになりました。

緊急事態宣言中は平日11:00〜17:00、土日は11:00〜14:30、17:00〜20:00の営業とのこと。テイクアウトも可能。夜にはパスタもあります。

南インドのミールスを出すお店は数多くありますが、南インド料理のみならず他国の料理と一緒に合わせて食べることができる楽しいお店ですよ!

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年5月11日)時点の情報をもとに作成しています。