ファッション誌や広告、アパレルブランド「idem(イデム)」をディレクションするモデル・村田倫子。お酒好きを公言する彼女が気になる飲み屋を調査しパトロールする連載。「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする連載33回目は、東京・祐天寺の鳥焼肉専門店「Cotori」をパトロール。
呑み屋パトロール vol.33「鶏肉の魅力新発見に、2021年の楽しい予感が止まらない」の巻
2021年がやってきた。何かが始まる、そんな予感と希望に浮き立つこの時季。高鳴る気持ちにより色を添えるのは、そう、おいしいごはんとお酒。さぁ、新年はお祭りよ! エンジンをかけて私を存分に甘やかそう。
実は肉のなかでは鶏が大好きな私。友人とごはんに行く予定が入れば、無意識に焼鳥屋を提案してしまう。2021年は、新たな鶏料理の姿を拝みたい。そんな好奇心を胸に訪れたのは「Cotori」。ちょうど1年前、祐天寺に現れた“鳥専門の焼肉店”だ。
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焼鳥屋ではなく、焼肉屋。しかし店構えや内装はまるでカフェのよう。
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あえて焼肉店らしさを払拭して、お客さんがリラックスして楽しむ空間を演出したいという、オーナーさんのセンス光るおもてなし精神が体現されたオリジナル空間。
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第一印象の掴みは120点満点。もうすでに目尻が下がる私。
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新鮮な鶏肉たちを楽しめるのはもちろん、ここのもうひとつの個性は自然派ワイン。 ユニークなビオワインたちが、この場を盛り上げてくれる。
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乾杯酒は、私の大好きなオレンジワイン。 オーストラリアの若手が担う、業界でも人気のワイナリーから届いた「Tangerine Dream」。
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マスカットやカリンの甘い果実アロマがぱっと広がり、軽やかな甘さが華やかに舌先で弾けて馴染む。ビオワインは個性的で、出合いが楽しい。
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きゃーーーーー!!! かわいい。うふふと口角があがるように……と名付けられた「うふふマヨ」は、うふふどころか、にやにや。
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ビーツで染められた薄ピンク半熟卵にマヨネーズを絡めれば、もううっとり。可愛くて性格もいいのはずるいよ?
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アクションペインティングのような躍動感のある美しい一皿は、オーナーさんおすすめの「白レバーのキャラメリゼ」。
クレームブリュレの表皮を割る瞬間、パリッと張りつめるあの喜び。低温調理でじっくりと愛でられた白レバーの甘味、楽しいナッツの食感とドライフルーツ、バルサミコソースの酸味。
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楽しい要素が奏でるハーモニー。これは白ワインにぴったりね。
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ユーカリやミント、シトラスの爽やか風味とトロピカルな旨味が楽しい。
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鮮やかな「DELI2種の盛り合わせ」。本日はビーツとニンジンのラペ、春菊と小松菜のおひたし。
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甘味、酸味、食感、バランスの取れた野菜たちは箸休めにちょうどよい。
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「タジン鍋のトマトニンニクミンオムレツ+チーズ」。ふんわり蒸されて、ふかふかの卵の絨毯。 立ちのぼる湯気とともに、鼻腔をくすぐるクミンの香り。
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とろり、ふわりなそれは、洋風の茶碗蒸しのよう。さすが鳥専門店。子である卵に対しても妥協ない姿勢、推せる。
さて、卓上が賑やかになってきたところに本日の主役が……。
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想像していたよりも、ひと回り大きいお皿がやってきた。8種の盛り合わせを頼んだはずが、10種類ある?
「こちらはサービスです」 と笑顔のオーナーさん。だいたい2、3種はおまけがついてくるそう。もう正式に10種って記載していいのに……なんてうれしいサプライズ。(優しすぎる)
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ピンクに透き通る、見るからに粒揃いの鶏肉たち。このラインアップで肩を並べるピチピチな鶏肉たちを目の当たりにすることは、そういえば初めてかも。今日は初めてが多い日。
最初の一手はお店のスタッフさんが手取り足取りオペレーション。最上の食べ方をレクチャーしてくれる。
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あれ……? 何かがいつもと違う。そう、煙が立たない。そういえば、店内に入ったときも、あの独特の焼肉屋さんの匂いがしなかった。その秘密はコンロにある。
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独自の製法によって、煙が立たず、焦げにくく、余計な油を落としながら、ふっくらジューシーな焼き上がりを叶える魔法のようなコンロ。匂いがつかないと、お洒落着でも気兼ねなく焼肉を楽しめるのがうれしい。手の届かぬところまでもエスコートする、Cotoriの紳士的な姿勢に頭が上がらない。
鳥専門の焼肉。全国各地からさまざまな部位が集まり、その種類、部位は選り取り見取り。
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驚いたのは、ももの食べ比べ。普段から親しみ深い部位。でもこの日、私の概念は簡単に崩れた。銘柄鶏と地鶏。それは全くの別物だった。
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ふっくらと上品な甘さを持つ銘柄鶏、ワイルドで芯のある旨みのボディーブローを与えてくれるジューシーな地鶏。同じもも肉を軸に、対比して咀嚼する体験。
あれ? 鶏肉ってこんな感じ? いつも口にしてるあの子は誰? 生産の背景で、こんなにも味わいが変わるのか……。知らないって恐ろしい、そして面白い。
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そして、胸肉。ぱさつく、淡白。そんな印象もがらりと変わる。しっとり、柔らか、そして仄かに広がる甘味。なんてきめ細かで妖艶なのだろう。
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もう幾度となく口にしてきたそれは、今夜は全く未知の料理へと変貌した。魅惑的なその香りは、ほかの部位でも色を纏って立ちのぼる。 一口、一口に歓喜して、うっとりして。
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その余韻を舌先で転がしながら含むビオワインの至福さよ。新年早々、こんな贅沢を覚えてしまった。2021年も良い年になりそうだ。
鶏の種類、部位の種類。食べ比べの掛け算は無限大。Cotoriに訪れるたびに、必ず新しい気づきと発見がある。そして、逢瀬を重ねるたびに鶏への愛が倍増する。
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大好きを掘り下げたら深みのある愛しさに。まだまだ未知の宝庫。探究心が掻き立てられる食体験。今年も存分に浸って、酔いしれて、癒やされたい。
さて皆さま。今年もどうぞ、ゆるりとお付き合いよろしくお願いします。
※価格はすべて税抜
※「Cotori」は当面の間、平日は前日までの完全予約制、営業時間17:00〜20:00(L.O19:00)、土日祝日は営業時間15:00頃〜20:00(L.O19:00)で営業中。土日祝日も事前に店舗への問合せを推奨。