〈おいしいテイクアウト・特別編〉

新型コロナウイルスの影響で外食も自粛ムード。こんな時だからこそ「お家でおいしい食事をして元気になってほしい」と、テイクアウトを始める飲食店が続々と登場している。小さな子供がいて諦めていたあのお店の味も、いつもは予約でいっぱいのあのお店の味も、テイクアウトならお家でゆっくり味わえる。在宅勤務で自炊も飽きてきた、そろそろプロの味が恋しい……。さあ、もっとテイクアウトを活用して、日本の素晴らしい飲食店を応援しよう。

 

今回は特別編として、連載「呑み屋パトロール」でお馴染みのファッションモデル・村田倫子さんに、東京・麻布十番の人気フレンチレストランのテイクアウトメニューを教えてもらいました。是非参考にして、充実したお家時間をお過ごしください。

 

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〈目利きのテイクアウト〉お酒好きモデルのお家ごはんをアップデートしてくれるのは名店フレンチの絶品テイクアウト「Sublime」

お家時間が長くなり、当初は私も苦手な自炊に精を出していたものの、時折プロの味が恋しくなる……。あぁ、誰かが作ったとびっきりおいしい料理を食べたい。そんなあなたには、一ツ星の北欧フレンチ「Sublime」(スブリム)のテイクアウトを。

「Sublime」は、麻布十番で数々のグルメを虜にする名店だ。フランス・パリ「アストランス」、デンマーク・コペンハーゲン「AOC」などでキャリアを積んだシェフ・加藤順一さんによるお店。フランス料理を軸に、先進的な北欧のエッセンスを取り込み、日本人ならではの和の感覚も纏わせたセンス溢れる一皿が味わえる。シェフの確かな経験と感性を絶妙に織り込んだ“ここだけ”の北欧フレンチだ。

そんな名店の味を親しみやすい価格で食べられるなんて、素敵なサプライズね。

「Sublime Curry Set」3,000円

「Sublime Curry Set」は、「スリランカ風チキンカレー」と「フレスケスタイ」のボリューム満点なセット。

 

加藤シェフが、インドやスリランカを訪れたときに味わったカレーの記憶を抽出した、テイクアウトオリジナルのカレー。自称カレー好きとしては、一ツ星のお店が表現したカレーは非常に興味深い。

「スリランカ風チキンカレー」

鮮やかな副菜、アチャール、絶妙な炊き加減のバスマティライス、そして黄金色に輝くチキンカレー。視覚からして愉快なスリランカカレーだ。

トマトをベースにした、甘み、酸味、コクのバランスにうっとりするチキンカレー。その余韻と副菜たちを混ぜ合わせることで重なる、食感と新たな旨味。

 

あぁ、確固たるベースがある人は、応用やちょっとした抜け感を表現するのがずるいほどに上手い。さっそく、カレー通のマニアに情報をシェアしなければ……と謎に焦るほどおいしい。

そういえば、私が小学生時代に流行ったギャル文字(崩し文字)も、元々達筆な子の字ほど可愛いかった。字が下手な私なんてミミズみたいなギャル文字だったもんなぁ。(比較対象すら低レベルでごめんなさい)

「フレスケスタイ」

話を料理に戻して……こちらは「フレスケスタイ」(デンマーク風クリスピーローストポーク)。デンマークでは、家庭料理として愛される名物料理だそう。

ローリエ、クローブなどのスパイスを仕込んだ豚肉を、オーブンでこんがり黄金色におめかし。

リズミカルに口内で響くサックサクのクリスピー生地、ほのかにスパイスが香るジューシーな皮付きの豚バラ肉。好きと好きのドッキングは最高ね。

 

これはお酒にも合いそう。お昼から気軽にワインボトルの栓を抜けるのも、お家でテイクアウトの特権。

「Fika Set」3,000円

もうひとつ、サンドウィッチが主役の「Fika Set」もテイクアウト。Fika(フィーカ)とは、スウェーデン語で「お茶をすること」を意味する。スウェーデンの習慣でもあり、日常にメリハリを添える大事な休息だ。

 

さて、Sublime流のFikaを堪能しよう。

「山形和牛と京都七谷鴨のパストラミサンドウィッチ」

まずは、「山形和牛と京都七谷鴨のパストラミサンドウィッチ」。

一人で食べているのに「はうぅ」とだらしない声が漏れてしまうほど、“おいしい”の波に味覚がギュインともっていかれる。柔らかなお肉の噛み心地、上品な甘さ。質の高いお肉が本気を見せるサンドウィッチだ。

その良さを存分に引き出すバンズ、ピクルス、ソースの演出。こんな味を知ってしまったら、もう後戻りできない……罪深い。

「発酵マッシュルームスープ」

「発酵マッシュルームスープ」は、長谷川農産のマッシュルームをスライス、ソテー、発酵させたスープ……とマッシュルーム三昧な一品。濃厚な旨味の余韻にうっとり酔いしれた後、優しい香りがフェードインしてくる。なんて上品な緩急なんだろう。私の中でサブキャラだったマッシュルームが、本日付けでメインに格上げ。概念が覆る食体験。

「ジャガイモとチーズのテリーヌ

「ジャガイモとチーズのテリーヌ」は、丁寧にミルフィーユされたジャガイモ、チーズ、バターが織りなす旨味のハーモニーが味わえる。じゅわりと滲み出る旨味の層は、一口で私を虜にする。

「ストロープワッフル」

「ストロープワッフル」は、薄いワッフル生地の間にキャラメルをサンドした、オランダで人気のお菓子だ。

香ばしいワッフル生地とキャラメルのとろっとした食感、シナモンの風味。さくさくっとリズミカルな食感とほどよい甘味が贅沢なコースのフィナーレを飾る。ブレイクタイムの締めくくりにぴったりのスイーツね。

 

今日は私にとって衝撃の食のアップロード日。Sublimeに初めての食体験を奪われた私はラッキーガールだ。しかし、この満足感はどう考えてもそのお値段とは釣り合わない気がする。

 

「お客さんに笑顔で料理を堪能してほしい。そして日頃からお世話になっている生産者さんが紡ぐ食材を無駄にせずに繋ぐ。そんな思いを込めてテイクアウトメニューを考案しています。価格はお店からの気持ちです」と加藤シェフからのメッセージ。

 

あぁ、血の通った品々がこの充足感の正体か……。お店からのメッセージが熱を帯びて私を満たす。

 

私が“おいしい”体験をできるのは、それを提供してくれる背景があるから。お店、生産者、そして私。みんなが食で繋がっている。こうしておいしくテイクアウトをすることは、支援のバトンを繋ぐちょっとしたきっかけにもなる。

 

大好きなお店、愛しい一皿が、また今日も食べられることに感謝して。

本日も、ご馳走様でした。

 

※価格はすべて税抜

 

 

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。
※時節柄、営業時間やテイクアウトメニューの内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

 

教えてくれた人

村田 倫子

1992年生まれ、千葉県出身のモデル。ファッション雑誌をはじめ、大型ファッションショー・テレビ・ラジオ・広告への出演など幅広く活動している。趣味であるカレー屋巡りのWEB連載「カレーときどき村田倫子」や食べログマガジン連載「呑み屋パトロール」では自らコラムの執筆も行い、ファッションだけにとどまらず、そのライフスタイルも注目を集めている。またアパレルブランドとの商品コラボレーションも積極的に行っており、そのセンスを活かして人気商品を多数プロデュースしている。

 

写真・文:村田倫子