行列が絶えない、話題のカルボナーラ専門店の実力とは?

2020年2月1日に神楽坂にオープンした「カルボナーラ専門店 HASEGAWA」。ランチ限定というスタイルながら、すぐに行列が絶えなくなった。実はこちら、以前に吉祥寺にて日曜日限定で営業し人気を博していたが、惜しまれつつ閉店した経緯がある。待望の再オープンとなったこともあり、以前からのファンも駆けつけているのだ。

人気の理由は、定番のカルボナーラのクオリティの高さ。しかしそれだけではない。山椒やフレッシュトマトなどを合わせた創作カルボナーラのおいしさが、驚きと感動を与えている。そんな同店で提供している、4種類のカルボナーラを紹介していこう。

神楽坂の路地裏で、ランチ限定で提供する絶品カルボナーラ

神楽坂通りを上がり、見番横丁に入ったすぐの地下に店を構える。

飯田橋駅から徒歩5分。神楽坂の風情ある通り・見番横丁に「カルボナーラ専門店 HASEGAWA」はある。店を開けるのはランチタイムだけ。ディナータイムのみ営業しているニンニク専門店「はじめの一っぽ 2」のオーナーから業務委託という形態を提案され、昼の間だけスペースを使ってカルボナーラ専門店を開くことになったという。

静岡県出身のシェフ・長谷川浩平さん。現在26歳。

店主の長谷川浩平さんは、もともとパスタ好きで、なかでもカルボナーラが好物だったそうだ。祖母が料理人だったこともあり、イタリア料理のシェフの道に進むことを決める。

「はじめて勤めたイタリア料理店で、生クリームを使わずに卵とチーズで仕上げるローマ風のカルボナーラを知り、衝撃を受けました。それ以来、店でのまかないや自宅で、色々なカルボナーラの作り方を試すようになりました」と長谷川さん。

理想の味を追い求める一方で、食べ飽きないよう新しい味の創作に取り組むようになる。そうするうちに「カルボナーラの無限の魅力に気づいた」そう。そして、カルボナーラ専門店を立ち上げることを決意した。

まずはこれから。スタンダードな「厚切ベーコンのカルボナーラ」

ブラックペッパーを振った定番の味「厚切ベーコンのカルボナーラ」(サラダ付)1,190円。

最もスタンダードな一品が「厚切ベーコンのカルボナーラ」だ。コク深く、けれど重すぎない絶妙なバランスがすばらしい。

生クリーム・牛乳ともに不使用のため“本場のローマ風”と評されることもあるが、実はそうではない。カルボナーラソースは、卵とチーズだけでなく、隠し味に出汁を加えている。これにより風味に深みが生まれている。チーズには、クセのないグラナ・パダーノを使用しているところもポイントだ。

 

「コクと濃厚さはありますが、あまり重くなりすぎないよう気をつけているので、女性でも最後まで飽きることなくお召し上がりいただけると思います」と長谷川さん。

カルボナーラとサラダがセットになっている。

すべてのカルボナーラにはサラダが付いてくる。サニーレタス、水菜、オニオンスライス、ニンジンと、色々な種類の野菜が入っているのがうれしい。ドレッシングは、タマネギ、ニンジン、アンチョビ、すりごまを合わせたもの。カルボナーラとの相性を考えて考案された自家製のドレッシングだ。

新感覚のおいしさに驚く、店主イチオシの「山椒のカルボナーラ」

仕上げにたっぷり山椒をかけた「山椒のカルボナーラ」(サラダ付)1,280円。

カルボナーラに山椒をたっぷりふりかけた「山椒のカルボナーラ」は、長谷川さんが自信を持ってオススメする一品。ベースの味は「厚切ベーコンのカルボナーラ」と同じで、仕上げにブラックペッパーをかけるか、山椒をかけるかが異なる。違いはそれだけのはずなのに、まったく新しいテイストに変化することにきっと驚くことだろう。

たっぷり山椒を使っているが辛さはほとんどなく、爽やかな香りがクセになる。

ひと口いただくと、爽やかな風味が駆け抜ける。山椒と聞くとシビれる辛さをイメージするかもしれないが、カルボナーラソースと合わさることで山椒の香りだけが引き立つのだ。この新しい味わいは、やみつきになること必至。

 

かつて、ある中国料理店をきっかけに、餃子を“酢胡椒”で食するのが人気になったことを覚えている人もいるだろう。この“カルボナーラ×山椒”の組み合わせは、それと同じようなムーブメントを巻き起こすかもしれない。それほど相性がよいのだ。

キムチやトマトをトッピング 変わり種のカルボナーラ

キムチ、きざみネギ、きざみ海苔をトッピングした「韓国風カルボナーラ」(サラダ付)1,280円。

組み合わせの妙を楽しめるのが「韓国風カルボナーラ」だ。キムチの酸味がカルボナーラソースに加わることで、異次元のおいしさに昇華される。コク深いソースと調和するため、キムチの辛味はマイルドになり、辛いものが苦手な人でも楽しめる。

彩り鮮やかな「フレッシュトマトのカルボナーラ」(サラダ付)1,280円。

トマトと水菜をトッピングした「フレッシュトマトのカルボナーラ」は、さっぱりとした味わいが魅力。カルボナーラの濃厚さに、トマトの酸味とうまみが絶妙にマッチする。さらにトマトのフレッシュさ、水菜のシャキシャキとした食感がアクセントになっている。

 

どれも独創的なカルボナーラではあるが、決して奇をてらったものではない。ソースとの相性のよさは言わずもがなだが、4種類がそれぞれ違うベクトルのおいしさを実現しているところが感動的だ。

後味さっぱり「紫蘇のシャーベット」

コーヒーとデザートが付いた「カフェセット」450円。

カルボナーラに「カフェセット」を付けるのもおすすめ。デザートの「紫蘇のシャーベット」は、紫蘇のスッキリとした風味が口直しにぴったり。ちなみに紫蘇には、ニンニクの消臭効果があるのだとか。カルボナーラを楽しんだあとに打ってつけのデザートである。

全24席。テーブル席だけでなく、カウンター席もある。

店には女性2人で訪れている人が多い。ワインやビールなどのアルコールもあるため、軽い一杯を楽しみながらランチタイムの女子会に利用する様子も見られる。

一方でカウンター席には男性のひとり客の姿も。長谷川さんが「これほど男性のお客さまに来店していただけるとは思っていなかった」と話すほどで、カルボナーラは男性人気も非常に高いようだ。

アイデアが尽きることなく、これからも進化を続ける

「一度だけでなく二度訪れていただき、スタンダードな味と創作カルボナーラを食べ比べていただきたい」と長谷川さん。

店主の長谷川さんに、今までに考案したカルボナーラのレシピ数を聞くと「数字で答えられないくらい、無限にあります」と答える。長谷川さんいわく、カルボナーラはどんな素材にも調和する万能なソースなのだそう。今は4種類に限定して提供しているが、新メニューもどんどん提案していきたいと考えている。さらなる驚きを与えてくれる日が、今から楽しみだ。

 

※価格はすべて税抜

 

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。
※本記事は取材日(2020年4月16日)時点の情報をもとに作成しております。

 

取材・文:梶野佐智子(grooo)

撮影:松村宇洋