ファッション誌『mina』や『SPRiNG』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールする連載。「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする連載25回目は、東京・三軒茶屋「いざかや ほしぐみ 新館」をパトロール。

呑み屋パトロール vol.25「人気居酒屋の姉妹店オープンにワクワクな夜の巻」

大好きなあの店が、三軒茶屋でまた新たなスタートを切った。「いざかや ほしぐみ」。魅惑的な呑み屋がひしめく三軒茶屋の“三角地帯”に本店を構える、いつも活気の絶えない私もお気に入りのお店。

そんな人気店の姉妹店として、今年の1月末に「いざかや ほしぐみ 新館」がオープン。同じ三茶内でも、あの至福を味わえる機会が増えるのはうれしい。

赤く灯された提灯を目印に2階へ上がると、明るい7坪の空間が。オープンキッチンをぐるりと囲むかたちで、テーブル席、カウンター席が並ぶ。キッチンスタッフの表情、鼻腔をくすぐる料理の香り、鍋の煮える心地良い音……どの席に座っても、店の鼓動を感じる間取りだ。

「サッポロ生ビール」500円

まずは、スカッとビールで乾杯。躍動感溢れるオリジナルグラスで飲む、キンと冷えた生。なんだかいつもより活力が漲ってくる。

くつくつと音を立てて運ばれてきたのは、いざかや ほしぐみ不動のエース「塩煮こみ」。本店でも絶対的な人気を誇るマストオーダーの煮込みだ。

「塩煮こみ」580円に「柚子こしょうトースト」50円(1枚)をプラス

舌にのせ少し歯をたてると、ほろほろと崩れる肉。ほどけながら溢れ出す塩の旨みは、定番の味噌や醤油では表現することのできない繊細で芯の強い風味。

そのままでも十分。いや、この旨みが渋滞した汁までどっぷり浸かりたい……と、貪欲なあなたは「柚子こしょうトースト」を是非。パン愛好家なら耳にしたことがあるだろう三軒茶屋の人気ベーカリー「小麦と酵母 濱田家」のカリッと焼かれたトーストに、惜しみなく旨汁を浸透させる。

「はぅ……」とだらしない声が漏れてしまうほど、たまらない。そりゃあんた、いざかや ほしぐみの永遠のアイドルだわ。

「キャロットタワーサラダ」580円

卓上にそびえ立つ紅色のグラス。まさしく三茶の駅前のシンボルを模した「キャロットタワーサラダ」。爽やかでほんのり甘いフレンチドレッシングの風味と、ポリポリ楽しい食感のキャロットラペ。

実は私、人参が少し苦手なのだが、ここのキャロットラペはパスタのようにするする食べられるから不思議だ。

「リアルとんがりコーン」580円

いざかや ほしぐみの人気定番メニューとしてお馴染みの「リアルとんがりコーン」は、チーズを纏ったこんがりヤングコーンと、本家とんがりコーンの夢のタッグが愛らしい。

 

三角地帯からの定番メニューに加えて、ここでは新たなメニューが増えているという……! ほしぐみファンからすると、うれしいアップデートね。

「サーモンと塩昆布のルイベ」780円

新顔さんの中でもおすすめは「サーモンと塩昆布のルイベ」。トルコ石色のプレートでキラキラ反射する海の幸に、うっとり見惚れてしまう。

 

“ルイベ”とは、凍らせた魚を溶けかけの状態で味わう北海道の郷土料理だ。鮭のような脂の多い魚は、冷凍時に水と一緒に余分な脂と臭みが落ちるため、よい風味だけが残り、よりおいしく食べられるのだとか。

イクラの粒が光る瓶を逆さに返すと、照り輝くサーモンが溢れ出す。海の輝く親子瓶。芯まで染み込んだタレの旨みと半解凍ならではのサクぷりな新食感。元気に弾けるイクラがアクセントとなり、舌の上が愉快で楽しい。これは結構癖になるなぁ。

 

ジュエリーのような一皿には、愛らしいサワーを。

「アールグレイサワー」500円

「アールグレイサワー」。紅茶の上品な香りとほのかな甘みが喉をキリリと滑って心地よい。女性からの注文が多い人気のフレーバー。よくよく見ると氷は星形。見栄え、味も女心もくすぐる仕掛けはポイントが高い。

こういうところが、お客さんにモテるのよね。

 

さて、〆に頼んだのは……。

「麻辣水餃子」。

 

最近、個人的推しドラマのTBS『SPEC』を見直してから(餃子をたんまり食べるシーンが多い)、空前の餃子ブーム中の私。

 

ぷりんとふくよかな見た目。つるんと舌を滑り、うちに秘めた汁と共に弾け、炸裂する旨みの洪水。可愛らしいフォルムでありながら、破壊力は抜群。そこに重なる食べる辣油、ナッツが愉快な食感と味覚パンチを繰り出す。

 

 

「たーんと食べなっせ」と言われずも、箸を運ぶ手は加速する一方。どうして餃子って、ぽんぽんとリズム良くお腹に入ってしまうのだろう……。罪深いわ。あ、大将! ビールをもう一杯ね。

 

長くから三軒茶屋の三角地帯で愛され続けているいざかや ほしぐみ。本店の温度感もありつつ、新たな進化の兆しと挑戦を垣間見た夜。

こんなにおいしくて、お財布に優しいところも好きなんだよな。なぜ、私の家の近所で出店してくれなかったのですか? 三軒茶屋に足を運ぶ理由が増えたので、良しとしよう。

 

今宵も御馳走さまでした。

 

※価格はすべて税抜

 

 

文:村田倫子