「まるで本物のフルーツを食べているみたい」「いや、本物以上!」と東京・銀座にオープン以来、大評判の「ポアール・デ・ロワ 銀座」。同店のアイスは、数多のスイーツ愛好者のハートを掴み続けている、大阪・帝塚山にある老舗洋菓子店「ポアール」の至高の職人技によって作られた。

 

知れば納得のその製法と、味わいへのこだわりとは?

銀座に現れたのは、宝飾店ではなく洋菓子店だった!

まるで宝飾店のような美しい佇まい。「本物のフルーツを超えた?」と評判の菓子店が銀座・歌舞伎座の近くにある。

 

リンゴ、レモン、メロン、パイナップル……。甘くて瑞々しい日本のフルーツを、果肉も果汁も香りもすべて丸ごと熟練のケーキ職人が再構築したアイスが、和と洋が融合された店内に、ジュエリーのように並んでいる。

店内のショーケース(写真:食べログマガジン編集部)

店に入ってからアイスだと気がつく人も多く、誰もがこんなアイスは見たことがないという顔をして、うれしそうに持ち帰っていくのだ。

「メロン(ホール)」12,000円(時価)

これらの世にも美しくおいしいアイスは、どれも冷凍庫から出して7分ほど待ってからいただくのがベスト。

 

この「メロン」は、スプーンを入れるとシャーベットのようにシャリっとしてから、スーッとなめらかな食感に変わり、口にすると「うわっ、メロン!」と思わず言ってしまうほどフルーツそのもの。いや、評判どおり本物のフルーツ以上のおいしさだ。

「メロン(1カット)」1,500円(時価)

味もさることながら、香りがすごい! 目の前に置かれた瞬間から、芳醇なマスクメロンの香りに包まれる。アイスを押さえる手にまで香りが移るほどだ。本当にこれがアイスなのかと驚かされる。

グランシェフ辻井良樹さん(写真:食べログマガジン編集部)

どうやったらこんなアイスが作れるのか、グランシェフの辻井良樹さんに訊いてみた。

 

「まずフルーツを半分に切り、スプーンで果肉をできるだけ大きくくり抜いて、変色しないよう氷水につけます。ジューサーで撹拌した果肉をサラシで搾り、ジュースにします。さらにそのジュースをザルで濾し、生クリームと味にキレを出すための洋酒とともにアイスクリーマーに入れ、できあがったアイスを皮に戻して完成です」

 

説明を訊くと簡単そうだが、手早く、皮を破かず、持っている指が皮を通して透けて見えるくらいギリギリまで果肉をくり抜くのは、熟練した職人にしかできない技。

 

しかも、最後に元の“丸ごと1個”の形に戻すので、半分に切った皮は対のまま保存しておかなければならない。アイスクリーマーにかける以外はすべて手作業だというから、これだけ類まれな味になるのも納得できる。

「シトロン」860円(時価)

レモンのアイスは酸っぱすぎたり、甘すぎてしまったりと、実は味を決めるのがとても難しい。しかし、このSNS映え確実な「シトロン」は香りで酸味を感じさせ、味はまろやかという想像を超えた仕上がり。優しい甘みの中にレモンのさっぱりとした爽やかさと、少しの苦味を楽しめる。

「ポンム」にシャンパンをかければ、歓声が上がること必至! ホールは5,200円(時価)

そして、大人のデザートとしておすすめするのが、りんごのアイス「ポンム」にシャンパンをかけること。写真のようにいただくのは少々大変なので、かき氷器で「ポンム」を皮ごと削り、器に盛ってからシャンパンをかけると食べやすくなるそう。

 

店にはソムリエが常駐しており、それぞれのアイスに合うシャンパンを提案してくれるので手土産にはもってこいだ。

「ポンム(1カット)」1,200円(時価)

「ポアール」でフルーツソルベが誕生したときから定番として存在している「ポンム」は、生産者との信頼関係によって通常流通していない大きさの青森県産「陸奥」を特別に仕入れている。本来の酸味と甘みのバランスを生かした味わいで、皮まで丸ごと食べられる「ポンム」は40年以上にわたり愛され続けているのだ。

日本が誇る食材を「ポアール」の職人技で昇華させる!

「アールグレイ&柚子」680円

こちらにはフルーツソルベの他に、カップアイスや焼菓子なども用意されている。「アールグレイ&柚子」は、香り豊かでなめらかなアールグレイのアイスクリームと、爽やかでシャリっとした柚子シャーベットをひとつにした「ポアール・デ・ロワ 銀座」唯一のミックスアイスだ。

 

「最初から最後までふたつの味を同時に味わってもらいたいので層にせず、ロールケーキのように内側をシャーベット、外側をアイスクリームにしました」と辻井さん。

 

食感が真逆なのに完璧に一体となって喉を通るのは、バランスを緻密に計算しているからだろう。もちろんそれぞれを味わう楽しさもある、一石二鳥のハイブリッドアイスだ。

「焙じ茶」550円

独特の芳ばしさ、茶葉を擂(す)ったような舌触り、本当に焙じ茶を飲んでいるかと錯覚しそうなほどリアルに表現できるのは食材の質の高さにもよる。これだけ良質な食材を安定供給してもらえるのは生産者が丹精込めて育てた食材を最高においしくしてくれるという信頼の証である。

おいしい、華やか、遊び心がある、必ず銀座を象徴する店になる!

持ち歩くとき、箱を開けるとき、いかなる場合でもワクワクするオリジナルのパッケージやショッピングバッグも人気だ。箱を留める封蝋の文字やショッピングバッグにもちょっとした仕掛けがあり、それらを見つけたときのうれしさたるや。

 

シンプルで高級感のあるラッピングは、手土産や贈答品としても喜ばれること間違いなし! できるだけ冷凍庫に入っている状態に近づけるため、保冷剤ではなくドライアイスを入れる老舗ならではの気遣いも嬉しいものだ。

オープンにあたり、銀座という場所で自分たちが何を伝えたいのかを考えたそう。その答えは「日本が誇るフルーツを、『ポアール』が50年培ってきた技術でアイスにして、おいしく召し上がっていただきたい」ということだったと辻井さんは言う。

 

フルーツには個体差があるので、レシピは常に微調整しなければならない。そのさじ加減は、創業当初からの職人たちの舌と技術があればこそ。試作している間に旬が終わってしまうこともあるそうで、絶対に妥協しないというこだわりがフルーツを昇華させ、最高峰のアイスを作りあげているのだ。

 

ポアール・デ・ロワとは、フランス語で“王様の洋梨”という意味。おいしくて、高級感があり、遊び心も忘れない。すぐに銀座を代表する店になるだろう。

 

※価格はすべて税抜
※フルーツソルベは時価

 

 

文:高橋綾子 写真:ポアール・デ・ロワ 銀座