お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない!といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度美味しいこの連載。第8回は、うららかな春にぴったりな町歩き編! 猫井先生がスイーツトレンドの町として再注目する「吉祥寺」の美味しいものを紹介します。

【猫井登のスイーツ探訪8】〜吉祥寺でスイーツ町歩き編〜

猫井(以下、猫):春は散歩にぴったりな季節ですね。というわけで今回は、グルメタウンの呼び声高い、東京・吉祥寺を町歩きしましょう!

 

編集(以下、編):吉祥寺って、なんでいつも住みたい街ランキングで上位に入っているんですかね?

 

猫:その理由のひとつに、“魅力的な飲食店がたくさんある”という点が含まれると思いますよ。とにかくステキなお店があり過ぎて全部は紹介しきれませんが、いろいろ織り交ぜてご案内したいと思います!

 

〜吉祥寺駅・北口を出て、吉祥寺通り方面へ。パルコの角、中道通りの信号を渡り右へ、野村證券の看板の見える方向へ。東急百貨店を過ぎた角を左。右側の道を数えて3本目を右へ〜

 

【1軒め】パリで人気のブーランジュリー「リベルテ・パティスリー・ブーランジェリー」

猫:まずは、「リベルテ・パティスリー・ブーランジェリー」へ。2013年にフランス・パリ10区でオープンして一躍人気店となり、海外初進出の店舗がこちらとなります。

 

「リベルテ・パティスリー・ブーランジェリー」内観

 

編:オープン当初から話題になったお店ですよね。食べログマガジンでも以前、酸っぱい「タルト シトロン」などを紹介しました!

 

猫:おっ、さすがですね! 「タルト シトロン」はもちろん、他にも注目してほしいスイーツがあるんです。早速2階のカフェでいただきましょう!

 

編:注目のスイーツとは、どんなスイーツですか?

 

猫:「タルト タタン」ですね。

 

タルト タタン

 

編:こちらの「タルト タタン」はほかのお店のものとどう違うんですか?

 

猫:通常、「タルトタタン」といえば、芯をとって4つ割りにしたりんごにバターと砂糖を合わせ、パートブリゼというパイ状の生地をのせて、オーブンで焼き、ひっくり返したもので、やや苦みばしった、重めの味わいのものが多いんですね。

 

それに対してこちらのものは、ひとつのりんごの芯を繰り抜いて、らせん状に実を薄くカットしたものを砂糖とジンジャーのみで味を調え、オーブンで焼いたものであっさりとした味わいです。

 

生地もバターと塩を利かせたサブレ状のものでさっくりとした食感になっています。上にのせられているのは、フランスでは、クレームラフィネ(洗練されたクリームの意)と呼ばれる、発酵させた生クリームで、ほのかな酸味があり、爽やかさを感じさせてくれます。

 

店内に並ぶパン

 

編:なるほど〜。パリを感じるオシャレな味わいなんですね!

 

猫:また、パンなら、クロワッサン、ブリオッシュなど、バターをたっぷりと使ったものがオススメです。こちらでは、お菓子には「イズニー」、クロワッサンには「レスキュール」、ブリオッシュにはニュージーランド産の「グラスフェッドバター」と、バターが使い分けられているんですよ!

〜「リベルテ・パティスリー・ブーランジェリー」を出たら右方向へ〜

 

猫:お腹もいっぱいになったし、ぶらぶら歩いてみましょうか。

 

編:いいですね! お、さっそく雰囲気のあるお花屋さんが。

【2軒め】花屋みたいな外観が目印の名物カフェ「ヒトクサ」

「ヒトクサ」外観

 

猫:こちらはお花屋さんではなくて、有名なカフェ「ヒトクサ」ですよ。右奥を入っていくとカフェがあります。西荻窪にある山小屋風カフェ「くろもじ珈琲」の2号店になりますね。こちらでは「ほうじ茶チーズケーキ」がオススメですよ。

 

出典:なお100182さん

 

編:わぁ〜しっとりしていて美味しそう……。

 

猫:見た目はパウンドケーキのような形をしていますが、ほうじ茶の香りが鼻から抜け、しっかりとほうじ茶の風味も楽しめる、酸味と甘みのバランスの良いチーズケーキです。砕いたクルミがしのばせてあり、食感にアクセントを添えています。

〜五日市街道に出て左へ。築地材木店、「月見小路入口」のバス停留所のあたりで、右の道に入る〜

 

猫:ちょっと、寄り道をして行きましょう。

 

編:ここですか? ガレージの下の方にお皿や茶碗が並んでいるのが見えますが……。

【3軒め】ひと休みにぴったり。雑貨&スイーツが楽しめる「四歩」

「四歩」外観

 

猫:こちらも実は人気のカフェなんですよ! ほら、左側に看板が。

 

編:よんほ?

 

猫:「しっぽ」と読みます。

 

編:へぇ〜。雑貨屋さん併設のカフェなんですね! これは女子が好きそうです!

 

猫:プリン、あんみつ、わらび餅など、散歩の休憩にちょうどいいスイーツが食べられますよ。

 

「和風パフェ」(写真:お店から)

〜再び五日市街道に戻り、成蹊大学方面へ。「成蹊学園前」の信号の3本手前〜

【4軒め】手作りジャムは手土産にもオススメ「hamaya」

編:可愛い手書きの看板が出ていますよ!

 

猫:こちら「hamaya」は、パティシエの濱崎さんのお店です。2016年オープンのお店です。季節の果物を使った色々な種類のコンフィチュール(ジャム)や、焼き菓子が並べられています。

 

 

ジャムは、全般的に甘さ控えめで、橙(だいだい)のジャムなどは、結構、ほろ苦さもあって大人の味わいにまとめられています。焼き菓子もひとつずつ、丁寧に作られています。ケーキの注文も受けてくれますよ。

 

 

編:お菓子作りが得意だったら、こんなお店をやってみたいなぁ〜と思わせる、可愛い感じのお店ですね。お土産にジャムを買って帰りたいと思います!

お店を出て左へ。吉祥寺北町の信号を越えて1本目〜

【5軒め】異色の経歴を持つパティシエによるケーキ店「A.K Labo」

「A.K Labo」外観

 

猫:こちらが、「A.K Labo」です。オーナーの庄司あかねさんは、グラフィックデザイナーからパティシエに転職された異色の経歴の持ち主なんですよ。季節のフルーツを使った生菓子もステキですが、特に焼き菓子がオススメです!

 

店内に並ぶケーキ

 

編:お、どうやら猫井先生イチオシのお店なんですね!

 

猫:駅から徒歩だと15分くらいかかりますが、吉祥寺に来たときは必ず訪れるお店のひとつです。さぁ一旦、駅の方に戻りましょうか。

〜スイーツを求めて町歩きは後編へと続く〜

次回、スイーツ町歩き「吉祥寺」編後半は、穴場スイーツスポットや、地元の人に愛され続けるチーズケーキなどを紹介します。お楽しみに!