【THEご褒美スイーツ 〜知っておきたい通な店〜】

「食事と同じくらい、スイーツにも絶対手を抜きたくない!」と、日々美味なるスイーツを探し求める甘いもの好きさんにお届けする本連載。スイーツの歴史研究のみならず、製菓にも精通するお菓子の歴史研究家・猫井登さんが太鼓判を押す、ご褒美スイーツを紹介します。

〈第15回〉「ブルガリ ドルチ」

「ブルガリ ホテル 東京」の40階にある「ブルガリ ドルチ」

「ブルガリ ホテル 東京」は、日本初のブルガリ ホテルとして2023年4月に誕生。その40階にあるのが、今回ご紹介する「ブルガリ ドルチ」。ドルチ(dolci)とは、イタリア語で甘い、甘美な、優しいといった意味を有するドルチェ(dolce)の複数形で、ブルガリ ホテルのスイーツブティックだ。

今回は、この冬おすすめの小型の生菓子2種と、チョコレート・ジェムズ1種をご紹介!

【ご褒美スイーツその①】「季節のフルーツタルト(苺のタルト)Tartelletta di Frutta Stagionale」

「季節のフルーツタルト(苺のタルト)Tartelletta di Frutta Stagionale」3,900円、販売は2025年2月中旬頃まで(予定)

タルト生地にアーモンドクリームを絞って焼き上げた土台に苺のコンポートをのせ、バニラの風味を利かせたディプロマットクリーム(カスタードクリームに生クリームを合わせたもの)を絞り、季節の新鮮な国産苺を盛りつけたケーキ。トップには金箔をあしらい、ロゴ入りのチョコレートが飾ってある。

白と赤の苺のコントラストが美しい

上にのせられた苺のうち、赤みが強いものは、果肉がしっかりとした食感で酸味が感じられる。一方で白みが強いものは、果肉は柔らかく、甘みが強い。2種類の苺の食感と味わいのコントラストが楽しい。バニラビーンズをたっぷりと入れたディプロマットクリームは甘く香り、軽やかで苺の味わいを引き立てている。その下の苺のコンポートはフレッシュ感を残しながらも、しっかりと苺のうまみが引き出されており、濃厚で奥深い味わいのアーモンドクリームや香ばしく焼かれたタルト生地ともよく調和している。

最後にロゴ入りのダークチョコレートを口に含み、締めくくる。各パーツの味わいや食感が緻密に計算され、全体として調和のとれた非常に満足感のある逸品。

【ご褒美スイーツその②】「モンテビアンコ Monte Bianco」

「モンテビアンコ Monte Bianco」3,900円(ブルガリ ドルチで販売するケーキはシーズンにより異なります)

栗粉で作ったサブレの上にスポンジとメレンゲ、バニラ風味の生クリームをたっぷりと、さらにその上からマロンクリームを細く交差するように絞って、マロンをのせて金箔をあしらった一品。

ケーキの「モンブラン」は、元々イタリア発祥ともいわれる。アルプス山脈のモンブラン峰を望む地域の郷土菓子で、雪化粧をした山脈を模して軟らかく煮た栗の上に白い生クリームをのせた「モンテビアンコ(イタリア語で、白い山)」が原型とされる。これがフランスで食感の工夫が加えられ、軟らかな食感のクリームとの対比でカリッとしたメレンゲを土台に据えた「モンブラン(フランス語で、白い山)」になったと知られている。 こちらのモンテビアンコは、フランスのモンブランにさらなる改良を加えた進化系バージョンとなっている。

さまざまな食感と味わいを楽しめる、大人向けのモンブラン

まずは、濃厚でうまみが強く、やや野性味を感じるマロンクリームの味わいが強烈にやってくる。これを、バニラビーンズをたっぷりと入れたミルキーなシャンティークリームが優しく受け止めている。その下にはサックリとした食感のやや大ぶりのメレンゲ。メレンゲの表面に塗られたホワイトチョコレートとカカオバターは、メレンゲが湿気るのを防ぎつつ、シャンティークリームとの味わいの架け橋にもなっている。

その下には、ダークラムのシロップを塗った柔らかなスポンジ、さらに底には、香ばしく焼かれ、やや塩味も感じられる栗のサブレが敷かれ、さまざまな食感と味わいの変化を堪能できる作品に仕上げられている。

【ご褒美スイーツその③】「チョコレート・ジェムズ『ペア&キャラメル』Chocolate Gems-Pera e Caramello 」

「チョコレート・ジェムズ『ペア&キャラメル』Chocolate Gems-Pera e Caramello」1,780円

「ブルガリ イル・チョコラート」は、2007年に東京で誕生。ブルガリのロゴと厳選素材を掛け合わせたガナッシュが特徴の高級チョコレート。

今回紹介する「ペア&キャラメル」は、ブルガリ ホテル 東京限定商品となっている。構成は、洋ナシキャラメルのミルクチョコレートガナッシュと、キャラメルのビターチョコレートガナッシュの2層をミルクチョコレートでコーティングしている。

2層の異なる味わいを楽しんで

上の層は、ややエキゾチックな感じがする洋梨の味わいと塩味の利いたキャラメルにミルクチョコレートを合わせたチョコレートクリーム。下の層は、南米産70%のビターチョコレートにキャラメルを合わせた、やや苦みの利いた味わい。全体を包み込むミルクチョコレートが2つの層の味わいを調和させて、エレガントで大人の味わいの一粒にまとめている。

思わずうっとり。ジュエリーショップのようなパティスリー

テイクアウト用のBOXにも、もちろんブルガリのロゴがあしらわれている

最後にお店の様子を紹介しよう。全体がイタリアのビザッツァ社製のモザイクタイルで装飾された豪華な店内に足を踏み入れると、正面には24カラットゴールドモザイクタイルが輝き、カウンター後方の壁には19世紀にブルガリの店舗に飾られたアールヌーボーデザインの広告がモザイクタイルで再現されている。左手の壁にはブルガリのネックレスを纏った往年のイタリア人女優モニカ・ヴィッティの大判写真も飾られ、温かい雰囲気を演出している。

ホリデーシーズン限定の内装は必見

店内右手にはガラスケース。特にクリスマスシーズンの今は、ヨーロッパのクリスマスマーケットをイメージした可愛らしい小屋風に仕立てられており、必見。

「チョコレート・ジェムズ」の数々

ガラスのショーケースの中に目を移すと、まず目に映るのが、「BVLGARI」のロゴを纏い整然と並べられたブルガリ イル・チョコラートの「チョコレート・ジェムズ(チョコレートの宝石)」の数々だ。その名の如く一つひとつが美しく仕上げられており、宝石のように輝いている。その右手には、ニコ・ロミートシェフが再解釈したイタリアのスイーツが美しく並ぶ。

ケーキは注文を受けてから製造を行う

生菓子は、季節のフルーツを使ったタルトなどが3〜4種類ほど(季節により変わる)。大きさは、1人用の小型のものとホールの2種類がある。ガラスケース内に陳列されているものはあくまで見本で、実際の商品は、店頭で注文を受けてから製造を行う。なので、いつでも出来たての新鮮な商品を受け取ることができる。

また今回ご紹介したケーキやチョコレートは、併設のブルガリ バーとブルガリ ラウンジでも食べることができる。

ケーキ類もチョコレートもすべて高級感溢れるブルガリのロゴ入りのオリジナルボックスに入れて渡される。保冷材の袋でさえもオリジナルのロゴ入りと徹底している。大切な人へのクリスマスプレゼントにも最適だ。

※価格はすべて税込

撮影:大谷次郎

文:猫井登、食べログマガジン編集部

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