【噂の新店】「鮨 くぼ将」
世界で活躍した寿司職人
今年9月、大阪・北新地に新たな寿司店がオープンした。店は、北新地本通りにある飲食店ひしめく北リンデンビルの2階。扉を開ければ、シックで上質な空間が広がる。床柱やまな板、ネタケースには伊勢ひのきを使用。伊勢志摩サミットで知られる藤田剛士さんが手掛けた盆栽が目をひく。


大将の久保田雅さんの経歴は超個性的だ。サラリーマンから飲食の世界へ転身し、飲食店の経営などに携わる。東日本大震災をきっかけに「きちんと寿司を究めたい」と決意し、40歳で「鮨 さいとう」の扉をたたく。同店では、クアラルンプール4年、香港7年と主に海外で活躍。香港では就任1年で二つ星を獲得するなど、輝かしい実績を残してきた。帰国後、縁あって大阪・北新地で店を構えることに。「北新地は平日にはとても活気がある街で、気に入っています」と話す。

そんな久保田さんは、今回の店を「寿司人生の集大成」と位置づける。どんな店を?と問えば、「お寿司4割、おしゃべり6割かな」と笑う。「高級店特有の張りつめた空気感は苦手で。明るく、楽しい!を大切にしています」とも。とはいえ、「技術を見せたいわけではないですが、素材にはこだわりますよ」と。マグロは「やま幸」からなど、魚介は主に豊洲市場からの仕入れ。白身は大阪市中央卸売市場から、光り物や季節の魚は三重の漁港からの直送だ。
寿司でもっとも大切なのは「一体感」と話す久保田さん。米、ネタはもちろん、技術や温度、雰囲気も加わって“おいしい”が創り出されていくそう。目指す“おいしい”のため、酢飯に使う米は大阪・中津のお米マイスターが、大阪の水質に合わせて3〜5種類をブレンドしたものを選択。「ご飯を食べている」と感じられるような炊き上がりを心がける。3種の赤酢を使った酢飯は「90分の命」と、経時による劣化を許さないそう。

いただける料理はこちら!
おまかせコースは28,500円(サービス料5%別)。寿司が12貫ほど、一品料理、デザートで構成されている。
先付は、山形県産ハナビラタケとツルムラサキ、ツルムラサキの花のおひたし。低温で火入れした半熟いくらが「黄身を食べているような感覚」で印象的だ。

ここからは握りを紹介していく。



佐賀県産コハダ。中にはシバエビのそぼろを忍ばせて

コース中盤で供される温かい一品料理は、伊賀の土鍋で約6時間かけてやわらかく蒸し上げた黒アワビの酒蒸しに、さっぱりとした柚子おろし餡をたっぷりと。


集大成は、全世界を笑顔に
今後については「この店を最後の店として、10年は続けたいですね」と穏やかに語る久保田さん。そして「全世界を笑顔にしたい!」とも。実際に、チェコの外務省の方に「面白いしおいしいから、国に連れて帰りたい」と勧誘されたこともあり、香港から久保田さんを追っかけて日本まで来店されるファンの方もいるそう。世界の美食家をうならせた寿司職人が集大成として目指すのは、技術以上に「おいしく、楽しい時間をつくる」こと。その時間を味わいに、大阪・北新地に訪れてみたい。



