定食王が今日も行く!Vol.47

非の打ち所がない定食とはこのこと!ホッとする味を恵比寿の“図書館”で

喧騒から離れた隠れ家食堂

帰省&図書館気分が懐かしい

 

恵比寿駅から駒沢通り沿いに坂を上って10分ほどのところに「写真集食堂めぐたま」はある。ある意味そこまでの道のりは、恵比寿駅前の賑やかさに比べるとやや閑静なエリアである。その都会の喧騒から抜けて行くような道のりもこの食堂の魅力だと私は思う。なんだか帰省時の新幹線や飛行機の中で、ちょっと肩の力が抜けるというか、東京での自分とは少し違う昔の自分に戻るという感覚は、地方出身者なら経験があるのではないだろうか。

「めぐたま」は料理を担当するおかどめぐみこさん、コミュニケーションアーティストのときたまさん、写真評論家の飯沢耕太郎さんの3名によってオープンされた、5,000冊の写真集に囲まれた図書館のような空間だ。

席に着くとカラーシートを渡される。これは好きな写真集を見つけて、席に持ち帰り閲覧するときに、返却場所がわかるよう本棚に差し込んで目印にするためのものだ。

壁一面の本棚に加え、本をモチーフにしたランプシェードにも、とてもほっこりさせられる。図書館と実家を合わせたような癒やしの空間だ。

がっつり!なのに罪悪感ゼロ

豪華「一汁五菜」定食のなせる技!

 

そしてランチメニューのお気に入りは、季節によって変わる「季節の一汁五菜」だ。もちろん、「一汁三菜」の定食もあるが、一度でたくさんの品目が食べられるのも定食の醍醐味だ!

これがある日の「一汁五菜」定食。

そしてこれが別日だ。お刺身、ヅケマグロと肉料理(ヒレカツやフライドチキンなど)、野菜の煮物に、サラダ、お新香、ほうれん草など葉野菜のおひたし。ご飯は白米の混ぜご飯、黒米入り玄米から選ぶことができる。自家製の味噌を使用した味噌汁には、まるでおばあちゃんのような包容力を感じる。

 

とにかく実家ご飯の豪華版という、お盆にぎっしり詰まった小皿に気分も上がる。高級料理よりも、30代独身、地方出身者には、本当に心にしみるご馳走だ。

「健康」を追求したメニューと

絶品のソフトクリーム

 

このお店に定食を食べに来たら、必ずといっていいほどその後に食べるのが、「みるくの黄金律のソフトクリーム」。世界一小さなヨーグルト工房で知られる「磯沼牧場」の、週2回・200本しか出荷されないという牛乳を使い、丁寧に作っているそう。ミルクの味が強すぎず、口溶けも柔らかすぎず、硬すぎず、まさに全てがちょうどいい! 黄金律を体現したソフトクリームだ。

季節の限定メニューとして、旬な果物を使って作った濃厚なイチゴなどのソースをかけて、ますます美味しくいただくことができる。

いわゆるお袋の味、かなり繊細に健康に気を使った究極の「健康食」が食べられる。メニューには明治時代の人気作家・村井弦斎の『食道楽』に登場するレシピを復元した「泣きご飯」や「糠(ぬか)ケーキ」など、とことん健康を意識したメニューもある。

 

THEお袋の味といえば、生姜焼きや、肉じゃが、ハンバーグなど、大味のものが多く、もちろん大好物だ。しかし健康や栄養バランスを気遣ってくれる人がいない独り身としては、いろんな料理を少しずつ、バランスよく食べられる定食は贅沢の極みでもある。ちょっと仕事で疲れたり、胃が疲れたときには、体にも心にも優しい味を食べに訪れてみては?