食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第20回は、高級割烹の味を立ち飲みスタイルで味わえることで酒好きからの熱い支持を集める「銀座 しまだ」のおいしいポイントを教えてもらいます。

【東京メシうま酒場 vol.20】「銀座 しまだ」

まだ立ち飲み自体が今ほど浸透していなかった2012年、高級店がひしめく銀座で「立ち飲み割烹」という新しいスタイルを打ち出したのが「銀座 しまだ」。

コロナ禍を経て、立ち飲みや居酒屋の世界も、各店舗が新たな方向性を模索している今だからこそ、改めて立ち飲み割烹スタイルで不動の人気を得ているしまだに訪れてみてほしいものです。

その日のメニューは黒板に記載。立ち飲みにしては高級、割烹にしては気軽に頼めそうという、絶妙なメニューの数々が酒飲み心をくすぐります!

場所が銀座だけに「値段表記がない……」と不安に思う方は、卓上のメニューにはちゃんと値段も書いてありますから、ご安心を!

取材に訪れたのは夏真っ只中。ということで1品目に頼んだのは、これこそ普通の立ち飲み屋ではなかなかお目にかからない「夏野菜のゼリー寄せ」800円。

枝豆、トウモロコシ、アスパラ、ミニトマトなど、色とりどりの夏野菜がとにかく映えてる一皿。酸味のあるジュレと新鮮な野菜の組み合わせで、暑い時期のおつまみとして、1品目に最適!

この一皿だけで「今日は銀座の割烹で飲んでんだかんね!」というちょっとした優越感を味わえます。

続いて頼んだのは「タコと水茄子の辛子和え」800円。

これまた季節を感じる一皿。そのままでもさっぱりおいしい水茄子ですが、丁寧に皮を剥いてくれているので、より新鮮味を味わえます。こういう一仕事がさすがの割烹スタイル。タコもプリプリでおいしい!

そしてお店の人気メニュー「とうもろこしのかきあげ」800円。 見た目にも可愛い一品です。

一粒一粒ばらしたトウモロコシの粒を、まん丸に集めてかきあげに。

居酒屋でよく見かける、トウモロコシの身を切ってそのまま天ぷらにしたものと比べ、衣と粒のバランスが絶妙で、噛むと口の中でほろほろと粒が崩れていく食感も楽しいです。こんなところにも割烹らしい一仕事が光っています。

揚げ物を続けて「子持ちシャコと加茂茄子の天プラ」1,400円。

シャコの力強い味が油と相まって実においしい! 加茂茄子は先ほどの水茄子と打って変わって、皮ごと油でしっかり揚げることで、茄子の風味をしっかり出した一品。

これに合わせるのは、ほどよく冷えたグラスの白ワイン(800円)。シャコの天ぷらに白ワインなんて、これぞ立ち飲み割烹ならではのオシャレな組み合わせでしょう。

暑い時期の割烹らしい食材「鱧と順才(じゅんさい)の小鍋」1,800円。葉っぱの周りのヌメりが多い方が高級とされるじゅんさいですが、こちらは見事なヌメりっぷり!

骨切りがしっかりされた鱧との組み合わせは、まさに旬を感じる一品です。

そして締めは、やっぱりこちらのシグネチャーとなる「からすみソバ」1,600円を。

水でキリッと締めた日本そばにこれでもかとかかったからすみ。締めと言いましたが、これは実につまみになるそばなんです。

おろしたからすみがそばにしっかり絡んで、極上の味に! がっつり食べるもよし、2〜3本をつまんで日本酒に合わせるもよし。

食べるごとにお酒が欲しくなる「日本一締まらない、締めのそば」とは、こちらのからすみソバのこと(笑)。 いやー、大満足!

高級割烹を気軽に、でもちょっと背伸びして。立ち飲みと割烹のいいとこ取りの名店は、オープンから10年以上経っても変わらず酒好きグルメを魅了する素敵なお店でした。

※価格はすべて税込

撮影:GENIUS AT WORK

取材:小宮山雄飛

文:小宮山雄飛、食べログマガジン編集部