定食王が今日も行く!Vol.32
鬼も逃げる!?魔除けフード!大崎で30年の老舗「味楽」のいわしフライ
地元で30年!大崎駅ほぼ直結
いわし専門店は常に行列!
大崎駅というと、あまり降りることがない縁遠い駅ではあったが、定食屋や大衆食堂、居酒屋に関していえば、隠れた名店が多い駅だ。そんな名店の代表格と言えるのが、いわし料理の専門店「味楽」だ。会社の研修で近くに立ち寄る機会があったので、ランチのため訪れた。
いわしというと昔は大量に取れるうえ、タンパク質たっぷりの大衆魚というイメージが強いが、最近ではグッと消費量が減っており、食べられることが少なくなってきているそうだ。
この記事が公開されるときにはすでに終わっているが、昔から新春を迎える節分の日には柊の木にいわしを刺して飾り、いわしを食べる習慣があるというのを知っているだろうか? 鬼は煙が苦手と言われており、いわしを調理する時の煙が邪気を払うと信じられていたそうだ。
今や高級魚!?いわしの概念を変える
フライはカリッ!トロッ!じゅわっ!
もともと鮮魚を扱う割烹としてスタートし、いわし料理のうまさが評判になり今に至るそう。いわし以外にもカキフライやミックスフライも人気のランチメニューだ。もちろん、看板メニューは「いわしフライ定食」だ。
魚のフライというと、アジフライ定食という人が多いだろう。アジフライに対しては自分の中の基準値があり、いろんな流派を楽しんだりするのだが、いわしフライに対しての経験値は浅い。棒状のまま衣をつけたフライが4本ほど焚き木のように積み重なって提供される。パリパリのサラダと、冷奴、お新香と、定食の小鉢自体も豪華だ。
いわしに対しての期待値があまりないまま、いわしフライを口にすると、そのまろやかさに衝撃を受けた! 脂がのったいわしはもちろん、外はカリカリだが、中は脂が溶けてトロットロになる。いわしが舌の上にとろけて消える。
生臭さはあまりないので、ひと口めはそのまま食べてとろける食感を感じるのもおすすめだ。醤油派かソース派かでも好みが分かれるところだが、個人的にはソースがおすすめだ。トロットロの食感に甘いソースがよく絡み、ご飯が進んで仕方がない!
刺身からうどんまで!
24種類のいわし料理が揃う
昼はいわしフライのみだが、夜は新鮮ないわしを使った料理が20種類以上揃う。また季節によっては築地から仕入れたトビウオ、秋刀魚や鰤、牡蠣など旬の魚介類が揃う。
出典:urya-momenさん
新鮮だからできるいわしの刺身のほか、「いわしの味噌たたき」は、いわしにネギ、生姜に味噌を細かく包丁で叩いた、いわゆる「なめろう」。白いご飯にも酒のつまみにもぴったりの一品だ。
出典:urya-momenさん
飲みのシメにぴったりの「いわし茶漬け」! お茶を注ぐことで、刺身に熱が入り半生になり、絶妙な歯ごたえが生まれる。いわしの油が溶け出して、旨味が倍増!
写真:urya-momenさん
そしていわしの粉末を練りこんだ、いわしうどん!いわしの香りはないが、少し黒っぽい麺は喉越しがよくツルツル食べられる。
とにかくいわし三昧を味わうことができるのが、専門店ならではだ。実は下町にはいわし料理の老舗はまだまだ残っている。なかなか料理の選択肢として浮かぶことが少ないいわし。「今日は、いわしを食べたい!」と指名して食べたくなるような、いわしフライをぜひ食してほしい!