食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第13回は、神楽坂の路地裏にある人気居酒屋「カド」のおいしいポイントを教えてもらいます。

【東京メシうま酒場 vol.13】「カド」

神楽坂の路地裏の、文字通り“角”にある人気の古民家居酒屋「カド」。入口が2つに分かれていて、右から入れば土間での立ち飲み、左から入ればお座敷でゆっくりコース料理を楽しめるという、ハイブリットな居酒屋さん。

立ち飲みサイドは古民家の土間を使った、実に味のある空間!

年季の入った黒板に書かれたおつまみメニューは、なんと全品300円! 神楽坂のおしゃれな古民家居酒屋にしてこの値段はあまりに良心的。

立ち飲みに特化した幅の無いカウンターがこれまた味があって、テンション上がります。

「サバスモーク」

まずは「サバスモーク」300円から。

身がしっとりしていて、思っていた以上にあっさりと上品な味。スモーク具合もバランス良く、これは本当のお酒好きが好むであろう、通な一皿です。

「牛すじ煮込み」

居酒屋の定番といえば「牛すじ煮込み」300円。

味は濃いめか薄めか、甘めか塩っぱめか、肉の存在感はどうか? そのお店の味の方向性がはっきり分かる一皿と言えます。

七味をかけて一口。これまた見た目の色の濃さに反して、あっさり上品な味付けでおいしい!

なるほど、立ち飲みの300円のおつまみとはいえ、調理場は隣のお座敷と一緒。当然、料理はしっかり割烹並みのクオリティ! という訳。なんか、ものすごく得してる気分です。

瓶ビール、ホッピーなどはレジ下の冷蔵庫から自分で出します。こういうのむしろワクワクしますね!

「串カツ」

立ち飲み再度での最後は「串カツ」。こちらも2本で300円と超お得! ホッピー白セットによく合います。

このまま立ち飲みでもっと色々食べていたい気持ちをぐっと抑えて、今日は隣のお座敷とダブル制覇です!

うって変わって、ゆったりと落ち着いた雰囲気のお座敷。

この場面転換は、もはやエンターテインメント! 高級お座敷のようでもあり、田舎の古民家のようでもあり、これまた最高のシチュエーションです。

「季節のコース」3,500円。まずは前菜盛り合わせ。写真左から、わらびお浸し・山椒昆布・ふきのとう味噌。

わらびはねっとりしたとろみがあり上品な味 ふきのとうの苦味がまた食欲をそそります。

新筍と昆布の若竹にゅうめん。

昆布のだしが上品で、山椒の葉の香りが爽やか。立ち飲みもいいけど、やっぱりお座敷でゆっくり味わう和食はまた格別です。

〆用に名物の釜飯を追加したところ、この段階でお釜ごとテーブル横に持ってきてくれて、真横でこれから炊いてくれるという、こういうプレゼンテーションがまた遊び心をくすぐります。

メインはお肉とお魚の2種類から選べます。合鴨山椒焼きは、食べる前から山椒の香りが鮮烈。合鴨のワイルドな味わいを山椒が引き立てます。

金目鯛の吟醸味噌焼きは、皮はしっかり香ばしく焼かれていて、身はしっとりほろほろ食感。

どのお料理も一貫して上品で優しい味付けは変わらず、だからこそあれこれ沢山、ゆっくりとお酒と一緒に楽しめるのです。

そして最後のお料理は、蛍烏賊磯辺揚げと凍豆腐の揚げ出し。

季節の蛍烏賊は揚げても身はぷりぷり。凍豆腐は天つゆにつけると、いい具合に天つゆを吸って、じわりとおいしい。

「ずわい蟹の釜飯」2,200円

ちょうどコースが食べ終わる、絶妙なタイミングで釜飯が炊き上がりです!

蟹の身の風味はもちろん、蟹味噌の濃厚な味も加わり、そこにバターを加えているそうで、ちょっぴり洋風な感じもする、〆にぴったりの絶品釜飯。

すっかりお腹も一杯になって、ご馳走様! 神楽坂の古民家のお座敷で、時間を忘れてくつろげる素敵なお店でした。

ちなみに、通常はみなさん立ち飲みだけ、あるいはお座敷だけといった感じで利用する人が多いそうですが、今回のように立ち飲み→お座敷のハシゴはもちろん、お座敷で食事した後に、2次会として立ち飲みでもう少し飲んでいくなんていう使い方も魅力的です。

あ!!

立ち飲み→お座敷→立ち飲み

っていうフルコースはどうだろう。さすがにやり過ぎか!(笑)

※価格はすべて税込

撮影:GENIUS AT WORK

取材:小宮山雄飛

文:小宮山雄飛、食べログマガジン編集部