食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第12回は、クラフトビールの聖地としてビール好きから愛される両国のビアレストラン「麦酒倶楽部 ポパイ」のおいしいポイントを教えてもらいます。

【東京メシうま酒場 vol.12】「麦酒倶楽部 ポパイ」

すっかり日本でも人気が定着したクラフトビール。クラフトビールマニアの間でも聖地と呼ばれるお店が両国の「麦酒倶楽部 ポパイ」です。 なんと、あのマイケル・ジャクソンも訪れた(!)という人気店でクラフトビールの奥深い世界と、おいしいツマミを堪能してきました。

クラフトビールの聖地ポパイ

月〜金曜は15時、土曜は14時オープンのポパイ。開店と同時にこちらを目指してやってきたお客さんでお店はすぐいっぱいに。

若者のカップルに女子会グループ、仲の良さそうな夫婦におじさんのお一人飲みなど、とにかくお客さんの幅が広い。ビール好きにいかに愛されているお店か見て取れます。

名物のバーカウンター内のタップ

タップの数は驚くなかれ、なんと100以上! 常時70種類以上のクラフトビールが楽しめるというから、マニアから聖地と呼ばれるのも分かります。そしてうれしいのは、ビールだけでなく、お料理もおいしいものがしっかりそろっているという点。

「晴々 ベルジャンヘイジーIPA」9oz 1,078円

さっそく1杯目はポパイの自社工場で造っているベルジャンヘイジー。

そうなのです、こちらのお店がすごいのは、クラフトビールを扱うビアバーから始まり、今では自社工場でクラフトビールを醸造するビールメーカーでもあるのです。ということで今回は、地元両国の醸造所で造られたクラフトビールの世界を堪能したいと思います。

ベルジャンヘイジーは酸味のあるすっきりした味わいながら、アルコール度数は7.5%とちょい高め。フルーティーながらもしっかりとした飲み応えがあります。

「豆腐とトマトのカプレーゼ」(ハーフサイズ)

うれしいのはオープンから20時までをハッピーアワーとして、メニューに王冠マークが付いているビールには、ハーフサイズのお料理がなんと無料で付いてくる! こういうサービスの良さも多くの常連さんに愛されている理由でしょう。

ということで、豆腐とトマトのカプレーゼのハーフをいただきました。豆腐を使っているので、通常のカプレーゼより軽い味わいで、前菜にぴったり。これはビールがすすみます。

「アップタイトエール」9oz 803円

続くアップタイトエールは、イギリスのパブなどでも人気があるタイプで、ビターな奥深さがあるエールビール。芳醇で濃厚な味わいがあり、ゆっくりと楽しみたい味です。

「ソーセージとザワークラウト」(ハーフサイズ)

こちらに合わせるのはソーセージとザワークラウト。

サービスのハーフサイズなのに3本あって、ツマミとして十分すぎです。 中でもちょっぴり辛いチョリソはビールにめちゃ合う! 酸味があとひくザワークラウトも口の中をさっとリセットしてくれます。

「白猫 ヘーフェヴァイツェン」9oz 836円

続いてドイツで愛される白ビール。

甘味と酸味が特徴。それぞれのビールに合わせてグラスも変わりますが、こちらはグラスの見た目どおり、キリッとしたスタイリッシュな味。ビール飲み比べの中盤におすすめです。

「大根サラダ」(ハーフサイズ)

折り返しのツマミはさっぱりと大根サラダ。ビアバーなので洋風のメニューが多い中で、ちょっぴり和風のおツマミも箸休め的にうれしいです。

「両国IPA」9oz 851円

地元の名前が冠についた両国IPAはアルコール度数7.0%とちょい高め。ホップの香りと苦味をしっかり感じるIPA。

IPAとは、インディアペールエールの略で、イギリスから当時統治下にあったインドにビールを輸送する際に、腐らないようにとホップとアルコールを多めにしたのが始まり。 ホップの味わいを知る上で、クラフトビール初心者にもおすすめの一杯です。

「焼きそば風スパゲッティー」(ハーフサイズ)

サービスのハーフシリーズ、最後は名物の焼きそば風のスパゲッティ。

ポパイに来たらこれを食べないと!というファンも多い一皿。パスタを使っているので、いわゆる焼きそばよりもパツンとした歯ごたえがあり、ツマミにピッタリ。〆の麺ではなく、あくまでビールのツマミとして成立する焼きそばです。

「技-WAZA-インペリアルスタウト」150ml 933円

ポパイの自社醸造所産クラフトビール、最後はその名も「技」。

ダークな色合いでアルコール度数も9%と高め。ブランデーグラスのようなグラスで提供されるのは、手の温もりによって微妙に変化していく味を楽しむため。

一口飲むと、まるでチョコレートのようなまろやかなコクと香り。苦味が強いかなと思いきや、むしろまったりとした優しい甘みを感じる、めちゃくちゃ味わい深い一杯。いやー、クラフトビールの世界ほんとに奥深いです!

そして今回は特別にお店の中、タップの裏側を見学させてもらいました。

これが100タップの裏側!

タップの先には常時70種類以上のビア樽がこのように繋がっていて、この部屋自体が冷蔵庫になっています。専属のセラーマンが日々徹底的にホースの洗浄やガス圧の調整を行っているから、おいしいビールを提供できるんです。

これだけの種類の樽とホースがどのタップに繋がっているかが分かるのは専属セラーマンだけだそうで、だからこそすべての種類のクラフトビールがベストな状態で注がれるんですね。

いつもおいしいビールを、ありがとうございます!

壁にはあの方の写真が!

さて、冒頭で「あのマイケル・ジャクソンも訪れた!」と書きましたが、この写真の外国人男性を見てください。誰だか分かりますか? 右のサインを読めば、分かるでしょうか。そうです、クラフトビール界の巨匠マイケル・ジャクソンさんです!

ドテー!

となったでしょうけど(笑)、正真正銘、本名がマイケル・ジャクソンなんだから、嘘ではありません。この方、クラフトビール界では超有名なジャーナリスト、KING OF POPならぬKING OF HOPと呼ばれ、クラフトビールのおいしさを世界に広めた功績でベルギー王室から勲章ももらっているすごい人なんです! そんなMJも認める麦酒倶楽部 ポパイ、世界に誇る日本のビアバーの超名店です。

両国産のクラフトビール

お店でタップから注がれるクラフトビールはもちろん最高ですが、両国まで行けないという方はネットでボトル入りのクラフトビールも購入できます。

おうちでクラフトビール、ちょっと贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょう。

※価格はすべて税込

撮影:GENIUS AT WORK

取材:小宮山雄飛

文:小宮山雄飛、食べログマガジン編集部