【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#37】「CHIMP」(チンプー)

仕事で地方へ行く機会が増えてきました。というよりは今まで県をまたぐ移動がはばかられていたのが緊急事態宣言解除となり、延期となっていた仕事がどんどん入って来たという方が正しいかもしれません。今週は沖縄県の石垣島へ仕事で行った際に見つけた最高のカレースパゲティをご紹介しましょう。「CHIMP」というお店です。

仕事を終え、宿をチェックアウトして飛行機に乗るまでの時間、ふらふらと歩いていると、裏通りに「CURRY COFFEE」という看板を見つけました。どうやら喫茶店というかカフェのようなお店。店内に入ってみるとブロックの壁、木を活かしたカウンターと、非常にシンプルなのが心地よい空間。

BGMはHIP HOPで、リズムに身体を揺らしたくなるような気持ちになりました。HIP HOPの言葉で言うならCHILL OUT。直訳すると「冷静になる」となりますが、HIP HOPのスラング的には「リラックスする、まったりする」という意味となります。そんな雰囲気のお店なのです。マスターはスキンヘッドで一見コワモテですが、にこやかで話も楽しい方。

フードメニューはチキンカリー、インデアンスパゲティ(カレースパ)、ナポリタンとありました。喫茶店だと普通のカレーライスよりドライカレーやカレースパを頼むことが多い僕ですが、この雰囲気からするときっとカレーライスもおいしいはず。悩みに悩んだ末「インデアンスパゲティ」800円と、トッピングに「目玉焼き」100円をオーダーしました。

「インデアンスパゲティ」に「目玉焼き」をトッピング

カレーとコーヒーのお店ですからコーヒーも忘れずに。フードメニューにプラス300円で自家焙煎コーヒーをセットにできるということで、セットで。石垣島はまだまだ暑かったのでアイスコーヒーでお願いしました。

カレースパが完成するとマスターは「最初に少し食べていただいて、良きタイミングで声をかけてください。途中からカレーをかけますから」と。言われるがままにまずはそのまま食べてみました。見た目はカレースパイス炒めのカレースパ。しかしカレー粉とはまた違うスパイス感。辛さもそれなりにあったのですが、一緒に出してくれたスパイスオイルを少しかけてみるとまた少し違う香りと辛さが追加されて良い感じです。

途中でチキンカレーをとろり

1/3ほど食べたところでカレーをかけてもらいました。かかったカレーは鶏挽肉のカレー。食べてみると衝撃が走りました。ほのかに甘味のあるカレー。後から追いかけてくる辛さ。しかしこの辛さが唐辛子系ではなく、胡椒系の辛味。それがスパイスで炒めたパスタと良く合う。絡み合い、混ざり合うことによってスパイス感もおいしさも深まるという、おいしさの掛け算が生まれたのです。思わず「これ、めっちゃおいしいですね!」とマスターに話しかけると、色々なことを教えてくれました。

「本当は最初からこのカレーかけて出すんです。でもね、お客さん着てるTシャツにCURRYって書いてあるじゃないですか(笑)。きっとガチ勢の方だと思って、僕自身がこうやって食べるのが一番おいしいと思う食べ方でお出ししたんです」と。カレーのTシャツを着ていて良かった!(笑)ここからは僕とマスターの会話形式でお伝えします。

カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):この辛さって何ですか?

マスター(以下、マ):ヒバーチ(石垣島の島胡椒)をたっぷり使っているんですよ。

カ:あぁ! なるほど。それでこの独特の辛さなんですね。最初に甘味を感じてその後辛さが来るので大阪カレーっぽいなと思ったんですが、唐辛子的な辛さではないなと思って。

マ:僕、10年以上前までは大阪でカレー屋やってたんですよ。

カ:おお! だからこういうカレーなんだ! でもパスタ自体もカレースパイスで炒めてるって面白いですね。

マ:そこがこだわりなんです。カレーってね、カレーとライスって基本別物だと思ってるんですよ。違うものを足している料理だなって。でもその境目を無くしたらもっとおいしくなるんじゃないかって思っててね、カレーをご飯に寄せる為に米麹を使ってるんです。甘酒みたいな甘さでしょ。それがうちのカレーの甘味なんです。だからこのカレーはご飯に合う。そのカレーをパスタと合わせるにはね、今度はパスタをカレーに寄せれば良いと考えて、パスタ自体にスパイスで味付けしてあるんです。大阪の有名店でもカレースパあるじゃないですか。でもあれって普通に茹でたスパゲティなんですよ。僕もあれ好きでよく食べてたんですが、その度にスパにも味つけたらええのにと思ってたんです。それでできたのがこれ。ライスにしても、スパにしても、シームレスなカレーを目指してるんです。

最高です。まさにカレーとライス、カレーとパスタの継ぎ目がない。グラデーションを感じるシームレスなカレー。喫茶店のカレースパの究極の形だと思いました。食べ終わった後にアイスコーヒーをいただいてまたびっくり。めちゃくちゃおいしいんです。というか、このカレーにぴったり合う味なんです。

「アイスコーヒー」

カ:うわ! コーヒーも凄いおいしいじゃないですか!

マ:ありがとうございます。うちのコーヒーはね、うちのカレーに合わせて作ってあるんですよ。カレーに合うコーヒーを作るには、市販のものではダメで、焙煎の方法を変えないといけないんです。だから自家焙煎なんですよ。

徹頭徹尾こだわりまくったカレーとコーヒー。最高のひと時を過ごすことができました。それなりの広さがあるのですが、ワンオペなので時間があるときにゆっくり行くべきお店です。そしてたまたま僕が行ったときは他にお客さんがいなかったのでこのような形でカレースパを出してくれたのですが、会話の中にもあったとおり通常は最初からカレーがかかって出てくるそうなので、かかっていない部分を食べてから、一緒に食べてみてください。

食後のコーヒーも忘れずに。そうすれば確実に幸せな気持ちになれます。せっかくの石垣島ですから、時間を気にせずにゆっくり楽しみたいお店です。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年11月10日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/