【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2021年11月を振り返る

11月は地方仕事が多く、日本中を飛び回っていました。9つの都府県を巡って色々な街でカレーを食べてきたのですが、その中で特に印象に残ったカレー、スパイス料理をご紹介しました。

神奈川県屈指のカレー激戦区武蔵小杉を代表するお店。沖縄・石垣島で見つけた最高のカレースパ。東京一のカレー激戦区神保町エリアにできた華麗なネパール料理店。群馬・前橋にあるゴージャスなインド料理店。

久しぶりに地方を巡ってみて、全国的にカレーレベルが高まっていることを確信しました。様々な街の様々なカレーをどうぞ!

【第1週のカレーとスパイス】迷ったらここ! カレー激戦区・武蔵小杉で味わう、チーズたっぷりカレーライス「コスギカレー」

神奈川・川崎にある武蔵小杉駅周辺エリアは知る人ぞ知るカレー激戦区で、カレーフェスも開催されているくらいに様々なカレーのお店が集まっているのですが、そんな武蔵小杉のカレー文化を牽引してきたお店があります。その名も「コスギカレー」。

今年の夏で10周年を迎えたお店です。元々は音楽教室とカレー専門店という非常に珍しい形のお店でした。開店当時は近隣への移動販売も行い、テイクアウトに力を入れていたのですが、僕はその頃からのファン。

コスギカレーの中心人物である奥村さんは非常にパワフルで行動力のある方なのですが、近くのお店とも仲良くなっていく中でコスギカレーフェスというカレーイベントを立ち上げ、近年では3万人を動員する大きなイベントに育てました。そんなこともあってコスギカレーは名実共に武蔵小杉を代表するお店のひとつと言えるでしょう。

「コスギチキンカレーDX」

おすすめは店名を冠した「コスギチキンカレーDX」1,000円。濃厚かつ程よいスパイス感で重すぎない絶妙なバランスのコスギチキンカレーは、ほろほろに煮くずれる直前までしっかり煮込んだ鶏肉のうま味と、トマトの爽やかな酸味が合わさって凝縮したものに、温玉、焼きチーズ、チェダーチーズソースがかかっているという豪華版。

スパイス感の強いものが苦手な方にも、スパイシーなものが好きな方にも、どちらにもおいしく感じられるという、完成されたカレーだなと食べる度に思います。何度食べても飽きないカレーなのです。

昼はカレーライスのお店ですが、夜にはおつまみメニューも充実しており、ハイボールも200円から飲めるという激安価格。「3種カレーのおつまみセット」680円はお店のカレーの中から好きなカレーを3つ選べ、パロタも付いてくるお得すぎるセットです。

「3種カレーのおつまみセット」

写真左から、ベーコンとにんにくの芽が具の和ジアンカレー、ツナと大根ときのこを具にしたヨーロピアンカレー、週替わり創作カレーであるほくほくカボチャのミルクキーマカレーを選んでオーダー。

ヨーロピアンと和ジアンは、ベースは変わらず具が定期的に変わっていくシステム。創作カレーはベースから変化していきます。元々創作カレーのお店であり、お店をスタートしてから今までに出したカレーの種類を数えると300を超えるという柔軟な発想で作られたカレーなのですが、それぞれ味の決め方がツボを押さえており、多くの方がおいしいと思える着地点にまとまっているのが素晴らしいです。

今年と昨年はコロナ禍で、そして一昨年は水害でコスギカレーフェスを開催できず、スタンプラリーのみという状況だったのですが、来年こそはという思いをポジティブに語ってくれました。カレーフェスも色々とありますが、コスギカレーフェスはファミリー層に愛されているイベントです。

コスギカレー自体も老若男女問わず楽しめるようなお店であり、おいしいと感じられるカレーがある上に、カレーライスを食べるも良し、カレーをつまみに飲むも良し、テイクアウトで楽しむも良しと、楽しみ方も多種多様なお店なので、誰にでもおすすめできます。武蔵小杉が気になった方は、まずこちらのお店に行って色々と街について聞いてみてください。きっと元気な笑顔で色々なことを教えてくれることでしょう。

【第2週のカレーとスパイス】カレーガチ勢ならブックマーク推奨! カレーマニアが石垣島で出合った最高のカレースパゲティ 「CHIMP」(チンプー)

仕事で地方へ行く機会が増えてきました。というよりは今まで県をまたぐ移動がはばかられていたのが緊急事態宣言解除となり、延期となっていた仕事がどんどん入って来たという方が正しいかもしれません。今週は沖縄県の石垣島へ仕事で行った際に見つけた最高のカレースパゲティをご紹介しましょう。「CHIMP」というお店です。

仕事を終え、宿をチェックアウトして飛行機に乗るまでの時間、ふらふらと歩いていると、裏通りに「CURRY COFFEE」という看板を見つけました。どうやら喫茶店というかカフェのようなお店。店内に入ってみるとブロックの壁、木を活かしたカウンターと、非常にシンプルなのが心地よい空間。

BGMはHIP HOPで、リズムに身体を揺らしたくなるような気持ちになりました。HIP HOPの言葉で言うならCHILL OUT。直訳すると「冷静になる」となりますが、HIP HOPのスラング的には「リラックスする、まったりする」という意味となります。そんな雰囲気のお店なのです。マスターはスキンヘッドで一見コワモテですが、にこやかで話も楽しい方。

フードメニューはチキンカリー、インデアンスパゲティ(カレースパ)、ナポリタンとありました。喫茶店だと普通のカレーライスよりドライカレーやカレースパを頼むことが多い僕ですが、この雰囲気からするときっとカレーライスもおいしいはず。悩みに悩んだ末「インデアンスパゲティ」800円と、トッピングに「目玉焼き」100円をオーダーしました。

「インデアンスパゲティ」に「目玉焼き」をトッピング

カレーとコーヒーのお店ですからコーヒーも忘れずに。フードメニューにプラス300円で自家焙煎コーヒーをセットにできるということで、セットで。石垣島はまだまだ暑かったのでアイスコーヒーでお願いしました。

カレースパが完成するとマスターは「最初に少し食べていただいて、良きタイミングで声をかけてください。途中からカレーをかけますから」と。言われるがままにまずはそのまま食べてみました。見た目はカレースパイス炒めのカレースパ。しかしカレー粉とはまた違うスパイス感。辛さもそれなりにあったのですが、一緒に出してくれたスパイスオイルを少しかけてみるとまた少し違う香りと辛さが追加されて良い感じです。

途中でチキンカレーをとろり

1/3ほど食べたところでカレーをかけてもらいました。かかったカレーは鶏挽肉のカレー。食べてみると衝撃が走りました。ほのかに甘味のあるカレー。後から追いかけてくる辛さ。しかしこの辛さが唐辛子系ではなく、胡椒系の辛味。それがスパイスで炒めたパスタと良く合う。絡み合い、混ざり合うことによってスパイス感もおいしさも深まるという、おいしさの掛け算が生まれたのです。思わず「これ、めっちゃおいしいですね!」とマスターに話しかけると、色々なことを教えてくれました。

「本当は最初からこのカレーかけて出すんです。でもね、お客さん着てるTシャツにCURRYって書いてあるじゃないですか(笑)。きっとガチ勢の方だと思って、僕自身がこうやって食べるのが一番おいしいと思う食べ方でお出ししたんです」と。カレーのTシャツを着ていて良かった!(笑)ここからは僕とマスターの会話形式でお伝えします。

カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):この辛さって何ですか?

マスター(以下、マ):ヒバーチ(石垣島の島胡椒)をたっぷり使っているんですよ。

カ:あぁ! なるほど。それでこの独特の辛さなんですね。最初に甘味を感じてその後辛さが来るので大阪カレーっぽいなと思ったんですが、唐辛子的な辛さではないなと思って。

マ:僕、10年以上前までは大阪でカレー屋やってたんですよ。

カ:おお! だからこういうカレーなんだ! でもパスタ自体もカレースパイスで炒めてるって面白いですね。

マ:そこがこだわりなんです。カレーってね、カレーとライスって基本別物だと思ってるんですよ。違うものを足している料理だなって。でもその境目を無くしたらもっとおいしくなるんじゃないかって思っててね、カレーをご飯に寄せる為に米麹を使ってるんです。甘酒みたいな甘さでしょ。それがうちのカレーの甘味なんです。だからこのカレーはご飯に合う。そのカレーをパスタと合わせるにはね、今度はパスタをカレーに寄せれば良いと考えて、パスタ自体にスパイスで味付けしてあるんです。大阪の有名店でもカレースパあるじゃないですか。でもあれって普通に茹でたスパゲティなんですよ。僕もあれ好きでよく食べてたんですが、その度にスパにも味つけたらええのにと思ってたんです。それでできたのがこれ。ライスにしても、スパにしても、シームレスなカレーを目指してるんです。

最高です。まさにカレーとライス、カレーとパスタの継ぎ目がない。グラデーションを感じるシームレスなカレー。喫茶店のカレースパの究極の形だと思いました。食べ終わった後にアイスコーヒーをいただいてまたびっくり。めちゃくちゃおいしいんです。というか、このカレーにぴったり合う味なんです。

「アイスコーヒー」

カ:うわ! コーヒーも凄いおいしいじゃないですか!

マ:ありがとうございます。うちのコーヒーはね、うちのカレーに合わせて作ってあるんですよ。カレーに合うコーヒーを作るには、市販のものではダメで、焙煎の方法を変えないといけないんです。だから自家焙煎なんですよ。

徹頭徹尾こだわりまくったカレーとコーヒー。最高のひと時を過ごすことができました。それなりの広さがあるのですが、ワンオペなので時間があるときにゆっくり行くべきお店です。そしてたまたま僕が行ったときは他にお客さんがいなかったのでこのような形でカレースパを出してくれたのですが、会話の中にもあったとおり通常は最初からカレーがかかって出てくるそうなので、かかっていない部分を食べてから、一緒に食べてみてください。

食後のコーヒーも忘れずに。そうすれば確実に幸せな気持ちになれます。せっかくの石垣島ですから、時間を気にせずにゆっくり楽しみたいお店です。