ファッション誌『mina』や『SPRiNG』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールする連載。「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする連載21回目は、東京・中野にある人気ベトナム料理店「ビア ホイ チョップ」をパトロール。
呑み屋パトロール vol.21「本場さながらのベトナム料理にビールが止まらない! の巻」
あぁ、ものすごく、エスニック料理が恋しい……。2、3カ月に一度、前触れもなくやってくるアジアンフード欲。癖になる魚醤の香り、たまらない風味の香草、ごくごく飲めちゃうライトなビール。想像するだけで喉が鳴る。
そんな欲を満たすべく訪れたのは、中野にある人気ベトナム料理店「ビア ホイ チョップ」。
ビアホイとは、ベトナムのビアホール、大衆酒場のこと。ここでは夜だけでなく、お昼は食堂としても利用できる。子供から大人まで、ベトナムの日常を体感できる場所だ。カラフルな店内は、足を踏み入れただけでもう楽しい。
ビア ホイ チョップでは、ハノイのビアホイの名物料理(スペアリブ・揚げ海老料理)のほか、屋台料理や家庭料理など、現地の人たちが普段食べているおかずとおつまみ、そしてそれに合うお酒が揃っている。
ベトナムビールだけでも、十分なラインアップ。他にもカクテル、ハイボール、ワインまで幅広いドリンクの数々。
まずは定番「ビア ハノイ」600円にて乾杯。つまみには、私が大好きなベトナムのサラダ「ゴイドゥドゥ」680円。
シャキッと瑞々しい青パパイヤと蒸し鶏のサラダ。ガツンとパンチがあるわけではないのに、不思議と後を引く味。日本の酢の物に近いようで、遠い。絶妙な酸味、甘み、ハーブの香り。ベトナムフレーバーは、少しエキゾチックでわくわくするのだ。
湯気を纏いながら、運ばれてきたのは「バインクォン」500円。これはベトナムの蒸し春巻き。生春巻きは日本でも、スーパーのお惣菜コーナーに並ぶほど市民権を得ているが、蒸しバージョンは珍しい。(はじめまして)
口中を包み込むかのようにもっちりとした温かな皮の感触、ぷちんと皮を弾いて飛びこんでくる旨みの爆弾……。予想を超えた威力にくらっとする。
米粉の生地に油を混ぜ、1時間くらい寝かせた後に、豚ひき肉とキクラゲと干し椎茸を巻き込み丁寧に蒸されたバインクォン。シンプルでありながら、印象的な風味なのはなぜだろう。
圧倒的な「蒸し」の威力……。さて、「揚げ」はどうだろう?
「ネムザン」600円。野菜と香草で巻き、ヌクチャム(ベトナムの万能ダレ)につけて食べる揚げ春巻きだ。
サムギョプサルスタイルの春巻き。豚ひき肉、キクラゲ、人参、玉ねぎ、春雨、たまご、青ネギが練りこまれた餡、パリっと香ばしい皮……。一緒に包んだパクチーや、なますが味に深みをプラスする。
この複雑で完璧な方程式がたまらない。
なにやら、はじめましてのビジュアル。これは「ムオットダンティット」680円。ゴーヤの肉詰めスープだ。
豚ひき肉と玉ねぎの餡を包むほろ苦いゴーヤ。優しさと苦さが口の中で溶けて合わさる。鶏ガラとゲンコツとパクチーの根でだしをとったスープ(フォーのスープ)にゴーヤの苦みが滲み出て……ほっと肩の力が抜ける。
はじめてのベトナムの味。なのに不思議と実家の味を思い出すなぁ。
さてさて、お待ちかねの「バインミー 焼き豚&レバーパテ」650円のご登場。ボリューミーな風貌に生唾を飲む。実はわたし、バインミーが大好きで、1人で食べ歩くほど……。お昼どきにふらっと立ち寄れるスタンドはよく見かけるが、店内でお酒とともにじっくり味わえるなんて、なんて贅沢!(ビールに合うんだなあ……これが)
パリっと香ばしい食べ応えのあるバゲット。ベトナム仕込みのレバーペースト、豚焼肉、チリソース、パクチー、なます……色々な食感と味と香りが、噛みしめる度に重なり「おいしい」が相乗する。
このバインミー、テイクアウトができるらしい。レバーの他にも「オムレツ」「レバーとオムレツ」などもチョイスできる。あぁ、近所の人が羨ましい。
オーナーが大事にしているのは、「気取らないベトナム料理」の世界。本物の味は、日常に根づいている。今まで知ってたベトナムは、まだほんの序章だったのかもしれない。
今宵は、ベトナムがより近く、より恋しくなった日。
※価格はすべて税抜