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【後編】ポテサラ界のキングオブキングス
本連載〈至高の名脇役〉にふさわしい一品料理の定番、ポテトサラダ。近年さまざまなアレンジや解釈が加わり、見た目も味も華やかな進化系が、ポテサラブームを盛り上げています。
一方で、じゃがいも、たまご、玉ねぎ、ハム、きゅうり、マヨネーズといった基本のレシピに忠実な王道のポテサラスタイルも、お店ごとに味に磨きがかけられて、さらに奥深いものになってきています。
前編の進化系に続いて後編で取り上げるのは、ポテサラの味を追求し続ける匠による、究極のポテサラたち。日本酒やビールに合う、居酒屋の名脇役として不動の地位を築く王道のポテトサラダを紹介します。
1. 日本酒に合うポテトサラダへの飽くなき追求
「おでん玉子のポテトサラダ」日和(神泉)
おでんと自然派ワインを提供する居酒屋として、昨年神泉にオープンした「日和」。もともと同じ場所でおでん居酒屋を営んでいた料理長の望月さんが、近所の飲み友だちだったイタリア料理「AURELIO」のオーナー大本さんとコラボしてはじめたのがきっかけ。おでん屋さんだけに、出汁を生かした創作和食が自慢のお店です。今回紹介するのは、望月さんが目指している「日本酒に合うポテトサラダ」。
ポテサラに欠かせない具材として、じゃがいもの次に上げられるのが「たまご」。半熟卵をのせたスタイルや、自分でゆで卵を潰して作るひと手間足すスタイルなど、たまごのアレンジ方法は千差万別。望月さんも今のスタイルに行き着くまでは、色々な試行錯誤があったそう。現在は、2日間しっかりと出汁が染み込んだ「おでんのたまご」を使用。敢えて細かく潰さずに、その食感やおでんの出汁を染み込ませたたまごの味わいを楽しめるように形を残しています。
当然じゃがいもにもこだわります。時期によって銘柄は変わることもありますが、現在使っているのは、長野県東御市の「白土芋」。男爵いもの一種ですが、関東に流通することは滅多にないブランド品種で、滑らかな肌質と白い身、独特の旨味が特徴です。アクセントには、無添加の柴漬けときゅうりのピクルスを。同じ漬物としていぶりがっこを使うお店は増えていますが、柴漬けの赤とピクルスの緑で彩りも華やかに。仕上げの調味料は、定番のマヨネーズと塩胡椒、そして和がらしを少々。
奇をてらった斬新さはありませんが、望月さんの飽くなき追求が随所に見られる逸品。日本酒とぜひ味わってほしい。