東北にある伝統的クラフトビアバーの英国人オーナーは、元五つ星ホテルのシェフ!
2015年に岩手県南西部にある北上市にオープンした「エールハウス ロビンフッド」。新幹線も通る北上駅から7分ほど歩くと、穏やかな東北の街の一角に、伝統的なイングリッシュパブが現れます。
このお店のオーナーは、イギリス出身のスティーブン・マイケル・バットランドさん。イギリスで空手の選手だったことから来日。北上には、もう20年以上住んでいます。
イギリスでは五つ星ホテルのシェフだったというスティーブンさんは、ビールが大好き。好きが高じてクラフトビール醸造所「さくらブルワリー」を立ち上げ、その後、そこで造ったクラフトビールを提供できるロビンフッドをオープンしました。
定番のビール3種類に加えて、入れ替わりの限定クラフトビールが楽しめるロビンフッド。
「ここで提供するクラフトビールは、すべてさくらブルワリーで造っています。醸造のレシピは全部自分で考えて、定番銘柄以外にも季節に合わせた限定のビールを製造。毎週違うものを楽しんでもらえるようにしています」と胸を張るスティーブンさん。
さくらブルワリーのクラフトビールはお客さんのリクエストを反映させてレシピを決めることも多いそう。このお店でクラフトビールのおいしさに目覚める人も多いのだとか。
おいしいのはクラフトビールだけではありません。元シェフだったスティーブンさん考案のフードメニューも粒ぞろい。地元の素材をていねいに仕込んで、ビールがぐいぐい進んでしまう料理を提供してくれます。
人気メニューの「まきさわ工房ドイツソーセージ盛り合わせ」(税抜1,480円)。ロビンフッドとおなじく北上市にある、北上まきさわ工房で一貫飼育された四元豚を主原料とし、最新の設備と本場ドイツの香辛料、調味料を使って作られたソーセージを使っています。
ひと口噛むとジューシーな肉汁が口のなかに溢れるアッツアツのソーセージには、フルーティーでしっかりとした味が特徴の「東北魂ビールプロジェクト 春霞IPA(NEIPA)」(税抜780円)がぴったり! 「通常の10倍以上のホップを使っています」(スティーブンさん)
東日本大震災を奇跡的に乗り越えた桜の酵母を、極上のクラフトビールに
北上のクラフトビール好きが詰め寄せるロビンフッド。その中でも大人気なのが「展勝地さくらエール」(税抜580円)。このクラフトビールには、東日本大震災を奇跡的に生き延びた“桜の酵母”が使われています。
この桜の酵母の名は「北上展勝地桜酵母」。みちのく三大桜名所のひとつ北上展勝地の桜の花びらから採取したものでしたが、開発元の北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所が被災。失われてしまったと思われていたなか、奇跡的に瓦礫の下から発見されました。
展勝地さくらエールは、桜の香りがほのかに香る極上のクラフトビールです。
「毎年、寄席で北上市を訪れる落語家の立川志の輔さんもたいへん気に入ってくれて、ビンの題字は志の輔さんに書いてもらったんですよ」とスティーブンさんが教えてくれました。
お店を訪れるお客さんに、このお店でしか飲めないクラフトビールを造り続けるスティーブンさん。「次はどんなビールを造ってみたいですか?」と尋ねると「展勝地さくらエールの別バージョンのビールにチャレンジしたいですね」とワクワクした表情。
桜の優しい風味がするクラフトビールで、素敵な東北の夜をお過ごしください。