【TOKYOオシャレ業界人の食図鑑】
「美味しい店を知らないと、真のオシャレ人にあらず」
東京のファッション業界ではそんな通説があるとかないとか。そこで、ファッション業界歴ン十年の筆者が、独断と偏見を交えながら、東京のオシャレ業界人たちの食事情を考察していく本連載。初回は、BEAMS(ビームス)のコミュニケーションディレクターの土井地 博さん。ファッションのみならずカルチャーシーンまで牽引する、業界のアニキ的存在である彼の食のルールとは!?
FILE No.001
BEAMS コミュニケーションディレクター
土井地 博さん
Hiroshi Doiji
油のハネなんか気にしない!
ジャケットと白Tシャツで楽しむ麻婆豆腐
こちらが土井地さんの“麻婆豆腐スタイル”。白Tに合わせたのは腰丈のロングジャケット。ショールカラーでガウン風のシルエットがモード感あっていかしている。腕回りには、こだわりのブレスレットと時計。パンツはシルエットのきれいなトラウザーパンツ、靴は「NIKE AIR JORDAN 1がまたまたマイブーム」だとか。
【人物プロファイル】
ビームスの顔として社内外から
頼られるアニキ的存在
ほぼ毎日が会食という生活を送る。ファッション業界の有名人のみならず、アート・カルチャー、音楽、芸能などあらゆるジャンルの人たちとも親交が厚い。ビームスの顔として、社外の人たちとネットワークをつなげ、面白いイベントやコラボ企画を次々と仕掛けている。誰とでもオープンに話せる社交力の高さはピカイチ。後輩たちの面倒見も良く、誰もがついつい頼み事をしてしまう。目上の人にもフラットな接し方で、それが失礼のないなれなれしさだからすごい。ビームス社長の設楽さんのことを「タラちゃん」と呼ぶなんて、カッコいいではないか。
【ファッションテイスト】
ファッションのプロならではの
着こなしで“こなれ感”を演出
Tシャツ×パンツ、パーカー×デニムといった、一見「ゆるい」のが特徴なのだが、全身から放たれる「こなれ感」は玄人だからなせる技か。いつもオシャレだが、全身をブランドもので固めているわけではない。ストリートブランドとラグジュアリーブランドのミックス具合も気が利いている。新しいガジェットを真っ先に取り入れるミーハーな姿勢も、とても良い。エルメスのアップルウォッチを発売すぐに購入したり、最新のスキンケア器具も取り入れたり、流行りの低酸素トレーニングに打ち込んだり…と新しいモノには目がない。
【食の傾向】
好みはあっさり系にシフトしつつも
仲間と楽しむこってり系も外せない
昔は濃いめの味が好きだったが、40代となった現在はあっさり系を主流にしつつもいろいろなジャンルに挑戦。新店や趣味の合う友人に聞いた気になる店はくまなくチェック! その結果、毎日のように「なんかいい店ない?」と周りに聞かれている。メンバーやシーンに合わせたレストラン選びができる土井地さんだが、プライベートな店選びで大切にしているのは「仲間感」とのこと。「仲間うちと、男子学生みたいなノリで食べるのが好きなので、仕事仲間も同僚も交えて行くことが多い」とのことで、気が置けない男同士でワイワイと食事とお酒を楽しんでいる。どんなにオシャレな店に行っても、2軒目は赤ちょうちん的な大衆居酒屋に流れるのがお決まりスタイルだ。
ジャケット×あえて白Tで挑む
大好きな麻婆豆腐
仲間メシを大事にする土井地さんのお気に入りメニューは麻婆豆腐。中でも、富麗華の姉妹店「紫玉蘭」の五色麻婆豆腐がお気に入りだ。5種の麻婆豆腐(赤、黒、白、緑、黄)が選べるので、大人数で全種類頼んで食べ比べすると盛り上がるとか。
食べる時は、辛くて汗だくになるのでTシャツスタイルで参戦。シミは怖いが、Tシャツはスタイル的に絶対白。白Tの上にはショールカラーのガウン風ジャケット(ネイビー)、プリーツ入りのきれいめな黒のトラウザーパンツ、足元にはナイキのエアジョーダン1の黒で引き締めて。長めのジャケットが、適度な抜け感と都会感を出していて憎い。おなかいっぱい食べた後も、はためくドレープが全身をスマートな印象に仕上げてくれそうだ。
油染みなんか気にせず、男らしく白Tで行こう。
大人なら、ジャケットはお忘れなく。
土井地さんのお気に入り!
「仲間でワイワイ麻婆豆腐」ならこの3店!
紫玉蘭
麻布十番のカジュアルな本格中華店。高級感ある佇まいながら、価格はリーズナブルで大人数にも対応。有名人御用達である富麗華のセカンドバージョンとあって、その美味しさはお墨付き。
龍の子
竹下口交差点近くのこの店は、BEAMS本社からも近いファッション関係者の定番的存在。行けばきっとどこかのブランドのあの人やこの人に会えるはず。
神田 雲林
老舗が軒を連ねる通りにある、モダン中華。山椒が効いて、深くコクのある麻婆豆腐は店の看板メニュー。
イラスト:Sho Miyata