発表!食べログ お好み焼き 百名店 2018

まず食べに行くべきお店をプロが教えます!

この秋、食べログ百名店の新たなジャンルとして発表された「食べログ お好み焼き 百名店 2018」。日本全国のお好み焼きの人気店が100店まとめられています。お好み焼きはどのようにして生まれて、どう広がったのか? 今行くべき人気店はどこなのか? お好み焼きのプロでもある「日本コナモン協会」会長の熊谷真菜さんに聞きました。

お好み焼きの始まりとその進化を知ろう!

「美津の」 写真:お店から

 

お好み焼きの歴史は、千利休の「フノヤキ」に由来するといわれています。小麦粉を水で溶いて、薄く円くのばして焼いたもので、小麦粉のふんわり食感は珍しく、利休も好んで茶会に出していました。小麦粉の普及とともに、うどんなど庶民のコナモン文化が定着しますが、江戸期から明治期にかけて鉄板コナモンは文字焼、どんどん焼き、たらし焼きなどさまざまな名称で広まります。明治期には洋食焼きも登場し、具材も豚肉などバリエーションもふえました。

 

大阪の難波一帯は葱畑で「なんば」は葱の代名詞となり、青ネギを山盛りのせたねぎの洋食焼は「ねぎ焼」として愛されています。自分で焼くスタイルから、だしを利かせた生地の混ぜ焼きが誕生し、好きな具材を好きなように焼く「お好み焼き」が一般名詞に。戦後は濃厚ソースが生まれ、広島では中華麺を重ねたお好み焼きが誕生しました。

今回選ばれた百店にはこんな傾向が!

「比較的、行きやすい場所にある老舗、有名店が多く、味、居心地はもちろん、店主が個性的だったり、メニューに物語があるお店が多いです。お好み焼きカテゴリーは、広島風の重ね焼き、関西風の混ぜ焼きに大別され、各地のご当地お好み焼きも種々あるなか、やはり関西風、広島風のお店が目立っています」(熊谷さん)

日本コナモン協会会長・熊谷さんが推薦!まず行くべき5店はここ

1. お好み焼 美津のの「洋食焼シーフードMIX」

創業は昭和20年10月、まだまだ物資が少ない時代に闇市で揃えた食材で、初代が当時主流だったこの「洋食焼」を出すと、たちまち大行列ができたという、「美津の」原点の味です。もっちり食感の生地を引いて具材をのせていくタイプで、鮮度のいいシーフードが満載。タコ、イカ、貝柱、エビのうま味が口の中で次々と広がります。冬はタコを広島の濃厚な牡蠣に替えたものが提供されます。ソースの味で生地と具材を一つにまとめた贅沢な洋食焼です。

2. ねぎ焼やまもと 本店の「すじねぎ焼」

写真:お店から

 

もともと学校帰りの子供たちへのおやつとして焼いていた青ネギたっぷりの洋食焼。お客さんから「それおいしそう、焼いてくれへん?」ということで、「ねぎ焼」というカテゴリーがお好み焼きの定番になりました。生地を薄く引いて手早くネギをのせて作ります。牛スジとコンニャクを煮込んだすじコンが青ネギと出会い、生地の蓋の下でじっくり蒸し焼きされていきます。仕上げの醤油だれでまとめた一枚は、一口食べると心までほっこりするおいしさです。

3. きじ 本店の「豚玉」

写真:お店から

 

「豚のお好み焼き、玉子入り」略して豚玉、関西のお好み焼きの代表格です。豚の脂身が沸点を上げて、豚玉のふちをこんがり焼き上げます。キャベツと生地をほどよく混ぜて、ふわっとおいて、大葉をのせてから豚バラを並べます。この段階から期待は膨らみますが、さくっとふんわり、コテを入れたときの感覚で食感の良さを確信できます。豚のうま味が生地と一体となり、混ぜ焼きの王道の味わいです。

4. 浪花の「ミックス玉」

東京にも関西風の混ぜ焼きの人気店が続々と増えています。こちらは創業34年、自分で焼けるたこ焼きともんじゃ焼きもおいしいのですが、お店の人に焼いてもらう混ぜ焼きは、昔ながらの大阪のお好み焼きを感じさせる丁寧な焼き方。イカ、エビを生地に混ぜて、豚を並べたミックス焼は、どこを食べても具材とキャベツの食感が楽しめる一枚。ソース、青のり、粉がつおのバランスもよく、安定のおいしさです。

5. めっせ熊 新大阪店の「3種チーズのネギおこ」

ねぎ焼と混ぜ焼きを生んだ大阪ならではの進化系がこの「ネギおこ」。混ぜ焼きに九条ねぎをトッピングして、チーズ、すじコンと卵をのせた、かなりのボリュームです。チェダー、スモーク、パルメザンの3種のチーズとネギは相性が抜群で、すじコンの甘辛味がいいアクセントに。新大阪だけでなく、東京店でも味わえるのがうれしい、大人気の一枚です。

教えてくれたのは

一般社団法人日本コナモン協会会長

熊谷真菜さん

 

2003年5月7日“コナモンの日”に「日本コナモン協会」を設立、今年15周年を迎える。「コナモンはだしが命!」を掲げ、コナモン文化の普及と継承を目的に、日本や海外で活動を展開。30年間で、たこ焼、お好み焼教室で2万人においしい焼き方を伝授。大阪の人気店店主らと考案した「道頓堀やきそば」「道頓堀だしマヨ」で「だしツッコミ!」の重要性を説き、日々試食をこなす。