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リッチなオールドファッション
「ドーナツもり」のオールドファッションを食べた時の衝撃は忘れられない。まるでフィナンシェやマドレーヌなどの焼き菓子のような、洋菓子の奥行きを感じるものだ。
その衝撃のオールドファッションは「YOU AND」にも継承され、さらに磨きがかけられている。
オールドファッションアーモンド

表面はサクッと、中はしっとりして、リッチな焼き菓子の風味を持つオールドファッションにアーモンドのグレーズと、ローストしたアーモンドスライスをたっぷりと。パリパリとアーモンドが弾ける食感も楽しく、アーモンドのコクを堪能できる。
カルダモンファッション

カルダモンはフィンランドのパンやお菓子によく使われるスパイスとして知られる。そのカルダモンを練り込んだ生地を揚げたオールドファッションだ。
白い砂糖が映えて美しい。
サクッと一口頬張れば、スッと爽やかなカルダモンの甘い風味が口いっぱいに広がる。

シャリシャリとした砂糖との相性が抜群にいい。
大石さん曰く、この砂糖がカルダモンの風味をグッと引き立てるのだとか。スパイスの楽しさを感じる名作が誕生していた。
私のお気に入りをもう一つ紹介しよう。
チーズくるみボール

イースト生地にチーズとくるみ、さらにミニソーセージを包んで揚げている。塩気のある具材によって、イースト生地が持つ甘みが際立つ。
食べる手が止まらなくなる逸品だ。
挑戦を続け、歩みを止めない人

大石さんは、“情熱の人”だ。
他の仕事をしながら、神楽坂の「ドーナツもり」で3年半修業したという。
元々コーヒーの勉強をしていて、カフェを開きたかった大石さんは、コーヒーのお供にドーナツを提供したいと考えた。そして「ドーナツもり」のドーナツの味に感動し、ちょうど求人募集していたので応募したのだとか。
修業をスタートした年齢は、決して若くはなかった。食パン1斤を、ちゃんと焼けるようになる、というのが最初の課題だったそう。はじめのうちはレジ業務などをしながら、毎日食パンを焼いていた。
独立後、師匠である森さんが「YOU AND」を訪れ、涙ぐんだという。師匠から弟子へ、マインドが完璧に引き継がれたことを確認しての、安堵の涙だったのかもしれない。
街や人に愛され、いつか商店街の新たな“顔”へ

大石さんの周囲、つまり堀之内周辺は賑やかだ。お店同士の交流もあり、周辺のカフェに「YOU AND」のドーナツを持ち込んで食べることができたりする。
妙法寺商店街には歴史を重ねた老舗とモダンな感性が光る新しい店舗が共存し、互いに影響しあい独自の心地よい活気が生まれている。
今街に新鮮な彩りを添えている「YOU AND」は、名店「ドーナツもり」から技術と精神のバトンを受け継いだ。
「YOU AND」もまた、地域に深く根を下ろし、いつかこの街の新たな歴史を担う老舗となり、誰かにバトンを渡す未来を想像する。
「ドーナツ作るのがすごく好きなんです」

大石さんの夢は、たくさんありそうだ。
冷凍解凍しても味が損なわれないドーナツを目指し、試作を重ねて理想のドーナツを作り上げ、冷凍オールドファッションの通販も始めた。
コーヒーショップなどへドーナツを卸すことも可能だそうだ。
将来、たまたま入ったコーヒーショップで、思いがけず「YOU AND」のドーナツを食べる機会があるかもしれない。

ひたすらドーナツを作り続けたいと、大石さんが話してくれた。
おじいさんになったら厨房にこもり、ひたすら生地を捏ね、ドーナツを揚げる。一日中ドーナツを作っているのが理想なのだとか。
誰にも邪魔されずに厨房で一心不乱にドーナツを作る大石おじいさんを、ドーナツ好きおばあさんとして、カウンターの向こうから覗き見したいなぁ。
※価格はすべて税込



