食通が見いだした、今月の新店

新しいお店がどんどん出店し、ますますの盛り上がりを見せる飲食業界。「気になる店が多すぎてどこの店に行ったらいいかわからない!」という人も多いのではないでしょうか。そこで、グルメ情報に精通している方々に、最近訪れた新店に関するアンケートを実施。特に注目している「今月の新店」について教えていただきました。

今回は、令和のグルメ王、浜崎龍さんが推薦する、「Romphon(ロムポーン)」を紹介します。

今月のベストワン

Q. 直近で行った新店の中で、特におすすめしたいお店を教えてください

A. 「Romphon(ロムポーン)」です

タイ語で「菩提樹(ぼだいじゅ)の木陰」または「菩提樹の保護・庇護」を意味する
 

浜崎さん

六本木駅から徒歩3分。雑居ビルの地下へ下りていくと、そこはちょっとした秘密基地。2026年7月にオープンしたばかりのこの店、実は「タイ料理人が独立して開いた店」ではありません。オーナーの清水さんは、もともと恐ろしいほど食べ歩いてきた生粋のフーディー。その清水さんが心底惚れ込んだのが、かつて浅草で食通たちに知られた伝説のタイ料理店「ソンポーン」の味でした。現在タイ在住のその作り手のもとへ、清水さんは何度も足を運びます。昼は厨房に立って教わり、夜は現地の店を何軒も食べ歩く。そうして受け継いだレシピは、なんと約45種類。この執念、これは行かねば!と思わせてくれるじゃないですか。

内観
 

浜崎さん

しかしRomphonは、昔の味をそのままコピーする店ではない。基本は日本で手に入る食材を使い、そこにタイの調味料とタレを合わせて料理を組み立てていく。清水さんのこの一言に、僕は膝を打ちました。 ココナッツの香りがふわりと立ち上るトムカーガイ。コブクロを使ったパンチのあるサラダ。そして牛ハラミ。肉だけで食べれば、これはよく知るハラミなんです。ところがタイのタレをまとった瞬間、料理の景色が一変する。酸味と辛みと発酵の旨みが幾重にも折り重なり、脂の甘みを一気に立体的に押し上げてくる。これぞRomphonらしさ、と断言できます。

Q. 「Romphon」でおすすめしたいメニューを教えてください

A. 「ソムタム・トート」です

「ソムタム・トート」
 

浜崎さん

圧巻だったのが、この一皿。青パパイヤをカリカリに揚げ、辛みと酸味の利いたタレを自分でかけながら食べる。歯を入れた瞬間のパリッという音、次に来る青パパイヤのみずみずしさ、追いかけてくる酸味と辛み。よく知るソムタムとはまったく別の食べもので、思わず笑みがこぼれました。清水さん自身、日本ではほぼ見たことがなく、バンコクでもソムタム専門店で一度出会ったきりだそう。

オリジナルのタレ
 

浜崎さん

ソムタム・トートは揚げたてを少しずつ供してくれるので、来た端から迷わず食べること。タレは自分でかけながら、辛みと酸味の着地点を探るのも楽しい。支払いはクレジットカードのみ、現金不可なのでご注意を。予約は公式InstagramのDMから。貸切ではプーパッポンカリーのようなスペシャリテを出す構想もあるそうで、これは仲間を集めて行く価値ありです。 そしてこの店の最大の魅力は、まだ「完成しました」という顔をしていないこと。衣をどうすればもっとパリッとするか、鶏をどう火入れすればもっとしっとりするか、辛みと塩味のバランスをどこに置くか。毎日少しずつ手を入れ、細かくブラッシュアップし続けている。半年後、1年後にどこまで進化しているのか——追いかけたくなるお店です。

文・写真:浜崎龍