【噂の新店】ラオス料理 タマサート

全国的にもレアな、ラオス料理店誕生!

京都・五条に2026年2月、「ラオス料理 タマサート」がオープン。店主の小松聖児さんは、これまでもイベントやポップアップなどでラオス料理やレシピを提供してきたが、満を持して、地元京都で店を持つことに。店内はガラス張りで、ラオス国旗の青・白・赤を基調にしたポップで親しみやすい雰囲気が漂う。

あえて“丸見え”の、入りやすい雰囲気に
メコン川の赤土をイメージしたというカウンターが印象的

小松さんのこれまでのストーリーはユニークで心引かれるものだ。父親はホテルの和食料理人、家には北大路魯山人の本があったという環境で育ち、幼い頃から料理と魚が身近だったという。京都にはかつて川魚屋が多く並び、淡水魚文化が息づいていたが、時代とともに衰退していく。「どうして川魚屋さんはなくなったのだろう?」と小学生のときに抱いた疑問、その理由を知りたくて、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科へ進学。海がないラオスで淡水魚の流通を研究することとなった。現地での1年足らずのフィールドワークで、メコン川が育む淡水魚文化に深く魅了される。帰国後は市場の卸売会社で8年間働き、魚の扱いをさらに究めた。「研究者になるより、料理として届けたほうが広がりやすいと思ったんです」。その言葉どおり、ラオスの食文化を京都で再現しているのだ。

小松さんはラオスの友人からラオス料理の基礎を学び、その後独学で習得

ラオス料理とはどんな料理なのだろう。「簡単にわかりやすく言うなら“ハーブを使った和食”です」と小松さん。ラオス料理は油をほとんど使わず、主食はもち米。肉料理や魚料理にはたっぷりの生または蒸し野菜やハーブが添えられている。辛みと香りを持ちながらも、新鮮な食材を使うというのは和食と共通で、日本人に受け入れられやすい、とのこと。日本と同じく発酵調味料も多用している。料理の熱源は薪火、炭火かガス火。今、ハイエンドなレストランで薪火による火入れや自然派がもてはやされている状況に「ラオス料理は、周回遅れで先頭を走っているイメージ。スーパーオーガニックですし」と小松さんは笑う。

自家製ラオスの魚醤・パデーク。淡水魚のニゴロブナ、無農薬無施肥の米糠、天然塩を使用。味噌のような風味もあり、煮込みやディップなど多くの料理に使われる

いただけるお料理はこちら!

メニューは手書きで、お肉、お魚、ご飯、小皿などに分かれて記され、ラオス語と日本語、唐辛子マークやイラストがあり、見ているだけでも「何を頼もうかな」と期待が高まる。

まずは淡水魚の料理から。琵琶湖の大ぶりのウグイを使い、レモングラスやコブミカンの葉を口から腹に串刺しにして焼き上げる。そうすることで、魚の中にも驚くほどしっかり香りが移っている。「ラオスの方々の、香りづけの技と炭火焼きの技はスゴイです」と小松さん。

今回は400gと巨大なウグイを使用
「天然淡水魚のレモングラス詰め塩焼き(ピンパー)」2,200円

現地では腸詰めに豚肉を使うことが多いが、ここではジビエ、今回はイノシシ肉100%。ジビエは小松さんのパートナーがハンターを務める美山町にある「田歌舎」からの仕入れ。力強いイノシシの味とヤナギタデ、ドクダミなどハーブの香りがクセになる。

すべて手作り。店ではサラマンダーで焼き上げる
「自家製ジビエ腸詰め(サイウア)」2,970円

炊いたもち米と豚肉を2日常温で発酵させた熟鮓。噛むほどの豚肉のうまみが広がり、ビールが進む味わい。

「乳酸発酵豚肉熟鮓のグリル(ピンムーソム)」1,980円

蒸しもち米はすべての料理のお供。京都美山町のもち米をラオスの蒸籠で蒸し上げ、絶妙な水分調整で手にくっつかない仕上がりに。一口サイズに手で丸めて食べるのが本場流。

もち米をラオスの蒸籠で蒸し上げる
蒸し上がったもち米をすばやく混ぜ、余分な水分を飛ばす
「蒸しもち米(カオニャオ)」550円は、ティップカオという小さな竹かごに入れて供される

ラオスの食文化を体感

「まずは店ができたので、うちに来てラオス料理を食べてみてください」と話す小松さん。そしてゆくゆくは麺やご飯のセットランチで、平日の仕事の人ももっと気軽に立ち寄れるようにしたいという。「店名のタマサートは、ラオス語で天然、自然を意味します。ラオスでは何より天然や自然に価値があるとされているんですよ」。その自然への思いを感じつつ、ラオスの食文化を体感してみたいものだ。

料理を受け止めるお酒は、ラオスビールのビアラオやラオスの焼酎ラオラーオなども揃う

※価格はすべて税込です。

文:木佐貫久代
撮影:福森公博