【噂の新店】のら寿司

路地奥にあるリーズナブルな寿司店

京都・二条通高倉近くに「のら寿司」が今年3月オープン。店は細い路地を進んだ先にあり、静穏な空気感が漂っている。ガラス扉を開けると、ゆったり造られたカウンターが広がっている。

「のら」の文字を首から掲げた犬のオブジェが目印
カウンター8席のみ。隠れ家的な一軒だ

店主は中西巧さん。割烹、立ち飲み、居酒屋、バル、立ち食い寿司などさまざまなジャンルの飲食店で経験を重ねるなか、「お客様から寿司へよい反応をいただいたので」と寿司へ傾倒。宮川町で寿司店を限定営業したり、ホームパーティーや記念の会に出張して寿司を握ったりなどする間に、自然とファンが増えていったという。「特に寿司の修業をしたわけではないので、形にとらわれない“のら”を名乗っています」と笑う。

店主の中西巧さん。「料理も盛り付けもインスピレーションを大切にしています」

中西さんは丹後出身。「京都のものを使っていきたいですね。関わりの持てた方とずっと関わり続けたいです」と素材を厳選。寿司飯には、京丹後・野間の農家から仕入れた米、宮津・飯尾醸造の、うまみが強く酸味が程よい赤酢プレミアムと富士酢プレミアム、琴引の塩を使用し、砂糖は一切使用していないとのこと。「食べ飽きないように、砂糖を使わず、塩分も控えめにしています」

「ご縁があって使うことができています」と中西さんが話す素材

いただけるお料理はこちら!

料理は13,200円のおまかせコースのみ。完全予約制で18時から一斉スタートだ。今回はなんと約20皿からなるコースの中から紹介していく。一品料理や握り、巻物、デザートなどが流れよく提供される。

まずは一品から。

久御山・西村農園のふわとろのなす、おくらを胡麻酢で
下茹でした市川蓮根には辛子酢味噌を添えて。蓮根の甘みにぴりりとした酢味噌が好相性
本マグロのツナ。マグロの赤身を、白絞油を使ってコンフィのように低温で火入れ。実山椒と山椒オイルで爽やかに仕立てた
寿司のお供のガリも個性的。ショウガのほかにゴボウを合わせ、土もの同士よい香りと食感が魅力。一品料理としても優秀

次は寿司をご紹介。

生の鱧を炒り酒で。「鱧の握りは炙りが多いですが、焼いた香りが邪魔と感じ、あえて生で」とのこと。清水焼TOKINOHAの器も素敵
鳥取産白バイ貝。檜の薪で燻し、軽く燻製に。噛みしめるほどに貝のうまみと燻香が感じられる
長崎県産本マグロ。ひねた玉ねぎをすりおろし、小野甚味噌醤油醸造の醤油と合わせ、ネタの下にしのばせた。「マグロの脂で次が食べにくいことがあるのを軽減し、香り良くさっぱりとさせますよ」。コース内でマグロの握りが4種供され、食べ比べできることも
人気の、鯖寿司。〆鯖、大葉、ごま、ガリ、干瓢など、たっぷりの薬味を巻いた、ツマミとしても最適な巻物。「実はコースの〆には“エンドロール”と名付けた、その日の残りのネタをすべて使った巻寿司もあり、喜んでいただいています」

ワクワクする寿司をコースで

「飲んで食べて2万円まで。肩肘張らず、おいしいものをワイワイ言いながらいただきたい……いわゆる寿司屋ではないけれども、こんな店があればいいな、という自分が行きたい店を目指しています」と中西さん。一工夫ある寿司と選び抜いた素材を活かした一品で構成された「次は何が出てくるのかな?」とワクワク感が止まらないコースを味わいに、ぜひ訪れてみて。

「毎日が実験です」と話す中西さん。秋からは20時半スタートの2回転目も営業するかも、といううれしい情報も

※価格は税込です。

文:木佐貫久代
撮影:福森公博