【第3週のカレーとスパイス】個性的なスパイス料理が楽しめる! カレーおじさんが注目する名古屋のカレー2店

名古屋のカレー界がここのところ面白い動きを見せつつあります。それは日本人シェフによるインド料理をベースとしつつ個性あるスパイスおつまみやカレーでお酒を飲めるお店が増えてきているということ。

今回はその中でも僕が注目している2つのお店をご紹介しましょう。

【名古屋カレーその1】「スパイスアワー」

間借りカレー店として人気を集めていた「スパイスアワー」が2025年6月8日に独立オープン!

間借りカレー店としてスタートし各地で人気となっていたのですが、浅間町駅から徒歩5分少々の場所に2025年6月8日、独立店舗をオープンしました。

店内の様子

古民家カフェを思わせるリラックスした雰囲気のお店でカレーをはじめさまざまなスパイス料理をいただけるのは、名古屋の人気カフェ複数でそれぞれ3年勤務した方と「エリックサウス」で2年勤務した方のタッグならではでしょう。

「CHILL GREEN」

まずはマーガオ焼酎「CHILL GREEN」600円で乾杯。おつまみに「前菜3種」700円。

「前菜3種」

たけのこマスタードオイル煮、枝豆の花椒マサラ 甘唐辛子のあみえびオイル、ごぼうのクミンきんぴらという組み合わせ。どれもシンプルにひとつのスパイスの個性を味わえる楽しいものでお酒もすすみます。

「スリランカのカツオじゃがいも黒胡椒煮」

一人客用にハーフサイズで注文可能なメニューが多いのもうれしいポイント。「スリランカのカツオじゃがいも黒胡椒煮」400円(ハーフ)はスリランカ料理のアンブルティヤル(魚をゴラカなどのスパイスで煮込んだもの)にじゃがいもを合わせ、アンブルティヤルならではの酸っぱ辛さにじゃがいもの優しさが寄り添う良いおつまみです。

「茶碗カレーライス」

〆にはこちらも一人客のみ注文できる「茶碗カレーライス」650円に「花椒オイルのコリアンダーポークカレー」500円を合わせて。

「花椒オイルのコリアンダーポークカレー」

茶碗カレーは同店の定番「シャバいチキンカレー」をご飯にお茶漬け感覚でかけたもの。シンプルなチキンカレーなのですが奥深いうまみを感じ、何かだしを使っているのか聞いてみると「だしやうま味調味料は使用していないです。ただこちらは長年作り続けているのですが、いつの間にか謎の深みが出てきました(笑)」とのこと。洗練されたメニューということでしょう。コリアンダーポークもわかりやすく食べやすいテイストに花椒の程よい刺激が良いです。

近くにあったら確実に通いたくなるお店。一人でも複数でもそれぞれの楽しみ方ができ、名古屋スパイス飲みの新たな名店候補と言えるでしょう。

【名古屋カレーその2】「spice&cafe imairo.」

外観からしてスタイリッシュな雰囲気の「spice&cafe imairo.」

2020年に名古屋市天白区塩釜口で開業し、2024年3月に現在の名古屋市千種区今池に移転したお店。カフェのような雰囲気で実際にコーヒーやチーズケーキも名物なのですが、料理のメインはインド料理という個性派です。お酒はワインなどが充実しており、メニューは日替わりでさまざまなインド料理を味わえます。

「スパイスオムレツ」

まずは「スパイスオムレツ」750円からスタート。ブラックペッパーの刺激とカシアの香りがガツンとくるオムレツなのですが、このスタイルのオムレツが日本の卵で半熟状態の火入れで食べられるのは貴重です。

「わかさぎのスパイス焼き」

続いて「わかさぎのスパイス焼き」1,000円を食べてみるとこれが絶品! チリの程よい辛みとレモン汁のしっかりした酸味にわかさぎ自体のほのかな苦みも加わって最高です。

「青パパイヤのダルカレー」と「ポンニライス」

メインは「青パパイヤのダルカレー」900円に「ポンニライス」450円(Sサイズ)。味の強いおかずに合わせて優しいダルとポロポロとした食感が軽やかなポンニライスの組み合わせにしたのですが、ちょうど良い塩梅となりました。

単品注文したスパイスオムレツとわかさぎのスパイス焼きも一緒にいただきます!

こちらのお店はこれだけでは終われません。先述したようにコーヒーとスイーツもレベルが高いのです。

「チーズケーキ」と「エチオピア GUJI MASINA WASHED」

「チーズケーキ」900円(Sサイズ)に「エチオピア GUJI MASINA WASHED」900円を合わせて。とろける食感のバスクチーズケーキは程よい甘み。華やかな香りのコーヒーも素晴らしい食事の良い締めくくりとなりました。

なめらかな食感のバスクチーズケーキはスパイス料理の〆に最適

どれもレベルが高く、一体どんな経歴なのかとシェフに聞いてみると驚くことにすべて独学なのだそうです。そしてこのインド料理とスイーツの組み合わせは何故かと聞いてみると「自分が知らない領域の食べ物に触れる機会はなかなかないんじゃないかと思っています。特にインド料理はフランス菓子と比べてもマイナーな印象を受けます。お菓子目当てでいらっしゃったお客さまが『今度はカレーも食べに来ようかな』となってくれたり、カレー目当てのお客さまが『フランス菓子も面白いな』と感じてくれたりするといいなと思っています」とのこと。

僕は年間1,000食以上のペースで何年もカレーを食べ続けているのですが、実はチーズケーキも大好きでやはり何年も年間200個近く食べています。そんな僕からしたらどちらとも魅力的な料理なのは当然なのですが、確かに両者が合わさる機会は稀。そしてどちらのレベルも高いとなるとさらに貴重。

今後はインド料理のみならず新たな料理にも挑戦するそうで、さらに楽しみ。食の新たな扉を開くきっかけとなるお店だと言えるでしょう。

【第4週のカレーとスパイス】店舗限定メニューも! 秋葉原の人気カレー店が東京駅ヤエチカに登場「秋葉原カリガリ 八重洲店」

東京駅ヤエチカのTOKYO CURRY QUARTET内にオープンした「秋葉原カリガリ 八重洲店」

渋谷の小さなお店からスタートし、秋葉原に移転してからは「神田カレーグランプリ」優勝、「吉野家」とのコラボ、有名芸人と間借りカレー事業の展開や人気アイドルとのレトルトコラボなどさまざまな文化と融合した楽しく精力的な活動を見せ、カレー好きなら誰もが知る人気のお店となっている「カリガリ」が2025年10月16日、東京駅ヤエチカのTOKYO CURRY QUARTET内に「秋葉原カリガリ 八重洲店」をオープンさせました。

楽しい雰囲気の内装にも注目

店内は秋葉原の本店を感じさせる内装で、ひねりのきいたサブカル感もある雰囲気が楽しい空間。カウンターもテーブル席もあるので一人でもグループでも利用しやすいです。

メニュー構成も看板メニューの「アキバ盛りカレー」をはじめ、お酒とおつまみにミニカレーがつくセットなど、さまざまなニーズに対応。

「おつまみ煮豚」

まずは個人的にお気に入りの「おつまみ煮豚」600円で乾杯。単体でおいしく、カレーのトッピングともなっている煮豚なのですが、お酒も進みますしカレーに加えてもしつこくならないほどよい塩梅です。

「アキバ盛りカレー1」

アキバ盛りカレーには1から3まであるのですが、創業時からの定番は1の方というわけで、カリガリカレーとインドカレーのあいがけが楽しめる「アキバ盛りカレー1」ランチ1,280円/ディナー1,510円を。

店名を冠したカリガリカレーは濃厚でチーズのような風味も感じるココナッツカレー。タイカレーとはまた違う着地でわかりやすく個性あるテイスト。

もうひとつのインドカレーはココナッツカレーをベースにインド的スパイスを加えたスパイシーなものですが、やはり他店のインドカレーとも違う着地となっていて面白いです。これにさまざまなトッピングがのって満足度も抜群の一皿。

「八重洲盛りカレー」

「八重洲盛りカレー」1,800円は、カリガリカレーと先述したインドカレーのあいがけに見えて実はインドとはまた違うカレーとなっています。

「八重洲盛りカレー」が食べられるのは八重洲店だけ!

カレーマニアに向けて新たに開発したというこちらのカレーは八重洲盛り専用となっており、カリガリのインドカレーをベースにしつつクミンやフェンネルといった香り系スパイスがより前面に感じられる仕上がり。ほどよい酸味もあいまって確かにマニア受けしそう。ラム串がトッピングされるのですが、このラム肉との相性がとても良いです。

ラム串がいい仕事をしています

カレー初心者にはわかりやすく、カレーマニアにも楽しさを感じられるカリガリ。だからこその人気であり、そんなお店が東京駅直結の場所にできたのはとても素晴らしいこと。

2025年10月現在のTOKYO CURRY QUARTETは、スープカレー、欧風カレー、インドカレーの人気店がそれぞれ入っており、そこに加えて独自性を持つカリガリが入ったことにより、以前とはまた違う楽しさとなっていて、盛り上がりを見せていきそうな空気を感じます。カリガリがその台風の目となりそうな予感ですよ。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込です

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

撮影:カレーおじさん

【第5週のカレーとスパイス】南インド料理好きに朗報! 元住吉の百名店の姉妹店が新橋に誕生「マリニ南インド 新橋店」

2025年9月2日、汐留にオープンした「マリニ南インド 新橋店」

神奈川のカレー激戦区武蔵小杉エリアにある「食べログ アジア・エスニック EAST 百名店」に選出された名店「マリニ 南インド&フュージョン」が、2025年9月2日、汐留に姉妹店「マリニ南インド 新橋店」をオープンしました。

細い廊下を進んで行くと突き当たりに扉が現れます

新橋駅からも徒歩圏内。ビルの地下にお店はあるのですが、階段を下りても本当にここに飲食店があるのかと不安になるようなくらいに細い廊下。その突き当たりの扉を開けてみると、予想外なほど広く明るい空間が広がっていました。

広々とした店内

まずは「チーズオニオンドーサ」1,650円と「マトンチュッカ」1,500円からスタート。

「チーズオニオンドーサ」

ドーサとは南インドの甘くないクレープ的な料理なのですが、具材に玉ねぎとたっぷりのとろけるチーズでかなりのボリューム。

とろ〜りチーズと玉ねぎ

ドーサのパリッとした食感の中に玉ねぎのシャキとチーズのトロ、上から振り掛けられたポディ(南インドのふりかけ)のクリスピーな食感も加わり、食べるのが楽しいです。サンバルやココナッツチャトニをつけながら味変。マトンチュッカもかけてみたりとさまざまな楽しみ方ができます。

「マトンチュッカ」

そのマトンチュッカとは南インドのドライなマトンカレー的な料理。お酒のおつまみに良し、ミールスやドーサの追加アイテムとして良いの逸品です。玉ねぎやピーマンも良いアクセントとなっていました。

「ミールス」

メインの「マリニミールス」2,400円。この日のカレーはホワイトボードでお知らせ。チキンカレー、マトンたまごカレー、カブマサラ、オクラヨーグルトカレー、サカナティッカー‼︎

口に出して読みたくなるメニュー表

インド人スタッフによる手書きのメニューがほっこりとした気持ちにさせてくれます。他にもラッサム、サラダ、チキンティッカ、ワダ(南インドの甘くないドーナツ)、パヤサム(南インドのデザート)、そしてプーリ(南インドの揚げパン)も後から別提供され、品数の多さに圧倒される豪華なミールスとなっています。

「プーリ」

どれもオーセンティックな味わいでそれぞれの素材の持ち味がスパイスによって引き立てられている仕上がり。

色々混ぜて楽しめるのがミールスの醍醐味

ホワイトボードに書いてあるカレーは単体でおいしく、混ぜでも濃すぎない絶妙なバランス感。流石マリニです。

「チャイ」

食後には「チャイ」400円を。目の前で仕上げのエアブレンドを見せてくれるパフォーマンスも良し。量が多めなのもうれしいです。

チャイはエアブレンドして提供されます

南インド料理にも色々ありますが、こちらのお店は味が薄すぎないわかりやすいテイスト。

店内も南インド出身と思しきお客さんや近隣で働いているであろう女性客の姿も少なからず見え、本格的でありつつ一般層にも受ける南インド料理なのだということを再確認させてくれました。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格はすべて税込です

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

撮影:カレーおじさん