〈New Open News〉

毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。早くもお店に訪問した食べログレビュアーのコメントも掲載!

Sillage(東京・白金高輪)

鴨のロースト
鴨のロースト   写真:お店から

2025年10月、白金高輪駅から徒歩1分ほどの好立地に、南仏と日本の旬が響き合う、新しいモダン・ビストロノミー「Sillage(シヤージュ)」がオープンしました。店名の「Sillage」はフランス語で「香りの余韻」。皿の料理は消えても香りや味わい、楽しい時間の記憶が長く残ってほしいという願いが込められているそう。(※「ビストロノミー」とはガストロノミーの「完成度」とビストロの「親しみやすさ」を融合したもの)

外観 写真:お店から

シェフを務める宗定和輝氏は、岡山県出身。調理師学校を卒業後「ウェスティンホテル淡路」(現グランドニッコー淡路)で料理人としてのキャリアをスタートしました。その後「神戸北野ホテル」で伝説的な料理人ベルナール・ロワゾー氏の哲学に触れ、フランス料理の奥深さに魅せられます。

シェフの宗定和輝氏 写真:お店から

さらなる研鑽を求め渡仏し、南仏ニームの一つ星店「Jérôme Nutile」でM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)シェフのもと修業。最後の1年には日本人初のスーシェフに抜擢されました。帰国後は、東京「L’ARGENT」で加藤順一シェフのもと経験を重ね「料理に向き合う真摯さ」を学びます。

サーモンの前菜 写真:お店から

そして「Sillage」という新たなステージでは、南仏で培った繊細な技法と日本の感性、そして発酵というアプローチを融合。野菜や果実、穀物が時間をかけて生み出す酸味・うまみ・香りを“第二の調理”と捉え、素材の生命力を最大限に引き出しています。一皿ごとに奥行きと余韻が感じられる、新しいガストロノミーです。

自然を感じる居心地の良い店内 写真:お店から

緑に囲まれたエントランスを抜けると、白金高輪の中心とは思えない静謐な空気。南仏の乾いた大地に咲く草花をテーマにした店内は、古材の柱を飾る植物や、テラコッタの鉢が自然な彩りを添えます。木の温もりが心地よい30席ほどのダイニングには、最大6名まで利用できる個室(利用料2,200円)も完備。やわらかな光が差し込み、時間の流れがゆるやかに感じられる空間です。

エディブルフラワーをふんだんにあしらったデザート 写真:お店から

ディナーは2つのコースを用意。全7皿のフラッグシップコース「Sillage」12,100円と、軽やかに味わう5皿「Saison」7,700円。どちらも季節の食材と発酵のニュアンスが美しく重なり、香りのグラデーションが印象に残ります。5種のキノコを使った一皿は、シェフが自家発酵させた舞茸を使用し、深いうまみとほのかな酸味を料理に落とし込んだ逸品。デセールのエディブルフラワーをふんだんにあしらった華やかな一品も秀逸です。岡山の契約農家から届く無農薬野菜やエディブルフラワーをふんだんに使用し、色鮮やかな花びらが織りなす美しいコントラストと繊細な味わいは、まさに季節を映すデザートです。

また、アラカルトでの利用も可能。ワイン1杯だけでも気軽に立ち寄れ、前菜やチーズをつまみながら語らう、そんな自由な時間も歓迎とのこと。

イタリア産栗のヴルーテ 塩レモンとリコッタチーズのラヴィオリとセロリの泡
イタリア産栗のヴルーテ 塩レモンとリコッタチーズのラヴィオリとセロリの泡   写真:お店から

ランチは、本場フランスのスタイルを再現。アミューズとパンを添え、2皿(3,300円)または3皿(4,400円)の構成から選べます。ランチコースの一皿、「イタリア産栗のヴルーテ 塩レモンとリコッタチーズのラヴィオリとセロリの泡」は、栗のまろやかさに、自家製の塩レモンとリコッタチーズのラヴィオリ、栗と相性の良いセロリの泡、そしてローストしたヘーゼルナッツを重ねて香ばしさと奥行きを加えています。栗とセロリは、ヨーロッパでも愛される組み合わせ。味の変化と立体感を大切に、秋の余韻を存分に楽しめるスープ仕立ての一皿です。また、高知県宿毛市より直送される戻り鰹を玉ねぎやケッパー、シブレットと共に胡麻油で風味付けしタルタルに仕立てた「戻り鰹のタルタル/生姜のエスプーマ」などを用意。肩肘張らずに、上質なフランス料理の世界を体験できます。

ナチュラルワイン
ナチュラルワイン   写真:お店から

ワインは自然派を中心に、シェフが南仏で出会った生産者の銘柄を含む世界各地のボトルを厳選。料理の香りや余韻と美しく響き合います。

自家製カンパーニュと野菜のペースト 写真:お店から

自家製カンパーニュは北海道産「キタノカオリ」とルヴァン種を使用し、外は香ばしく中はしっとり。添えられるペーストは、規格外野菜を発酵させてうまみを凝縮させたサステナブルな一品。一さじごとに、自然への敬意と循環の物語が感じられます。

南仏の太陽、日本の四季、そして香りの余韻が溶け合う「Sillage」。白金高輪に、新しい“感性のビストロノミー”が誕生しました。

食べログレビュアーのコメント

the azabu
宿毛産鮮魚のポワレ サフランクリームソース   出典:the azabuさん

『メインは「宿毛産鮮魚のポワレ サフランクリームソース」。皮は香ばしく、身はふっくらと火入れされ、魚の風味とソースの香りが絶妙に調和していた。

デセールは「梨のコンポートと抹茶のアイス クリームチーズのエスプーマ」。抹茶の苦味、梨の瑞々しさ、エスプーマの軽やかさが見事に溶け合い、食後の余韻も上品であった。

料理はいずれも素材の旬を大切にし、時宜を得た構成。派手さを求めず、自然体で美味しさを追求する姿勢が印象的である。白金高輪の落ち着いた街並みに相応しい今後注目の新店である』(the azabuさん)

parisjunko
高知県宿毛の吉村さんから届いた戻りガツオのタルタルと生姜のエスプーマ   出典:parisjunkoさん

『【パン】
「自家製カンパーニュ」
焼きたてのカンパーニュ。
北海道産「キタノカオリ」とルヴァン種を使用し、皮香ばしく中はもちもちしっとり。。
毎日厨房で焼き上げていらっしゃいます。

【パンのお供】
「オリーブオイル」。
シェフの修業した地、南仏ニームの「オリーブオイル」。

もう一つは
「人参のペースト」
規格外野菜の人参のペーストと規格外野菜の人参を発酵させたペーストとを合わせた旨味と香りを引き出して作るペースト。サステイナブルを意識したもの。

シェフの地元のお野菜などをはじめ食材にこだわって丁寧に作られたモダンガストロノミー、どれも美味しかったです。

気持ちよく楽しく食事ができるよう、気配りがされていて、満足感の高い食事ができ、おすすめします』(parisjunkoさん)

※価格は税込。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

文:佐藤明日香