〈ニュースなランチ〉

毎日食べる「ランチ」にどれだけ情熱を注げるか。それが人生の幸福度を左右すると信じて疑わない、編集部員や食いしん坊ライターによるランチ連載。話題の新店から老舗の新メニューまで、おすすめのランチ情報をお届け!

「falò+(ピュウファロ)」

オープンから1年を迎え、待望のランチを開始!

発酵と炭火焼き料理をテーマに、昨年の1月、虎ノ門にオープンした焚き火イタリアンの「falò+」。オリジナルの発酵料理やダイナミックな炭火料理で人気の同店が、この3月から新たにランチを開始。気軽な「パスタセット」1,800円と、前菜・パスタ・メインとしっかり食べられるコース4,800円の2本立てでもてなしてくれる。

江口拓哉シェフ

「1年経ってお店も落ち着いてきたし、お客様からのランチの要望も多かったので、思い切って始めてみました」とシェフの江口拓哉さん。また、短時間で数をこなさなくてはならないランチならではのスピード感などさまざまな経験をすることが、若いスタッフらの修練に繋がると考えてのことなのだそうだ。

▼オープン時の取材記事はこちら

4,800円のショートコースは盛りだくさんの前菜からスタート

ランチのコースはプリフィクス。それぞれ2種類用意されたパスタとメインから好みを選ぶスタイルだ。取材日は、パスタが「リングイネ お日さま農園の菜の花ペーストと海老のソース」と「トンナレッリ ピリ辛サルシッチャとしいたけ」。メインは「天然ブリの燻製カルパッチョ 柚子の香り」と「『日山』さんの豚ロース炭火焼き」の2種がオンメニュー。今回、パスタは前者、メインは後者を選ぶことにした。

「前菜盛り合わせ」

まず、運ばれてきたのは「前菜盛り合わせ」。これが、なかなか楽しい。“カボチャのマリネ”や“イタリア風オムレツ”“モルタデッラ”(イタリア風ハムソーセージ)などなどバラエティ豊かな7種類が所狭しと並んでいるのだ。

「falò+」ならではの発酵のうまみが利いた前菜の数々は思わずワインが進みそう

中でも、同店らしい一品といえば“フジッリのマカロニサラダ”。なんと鮎の熟鮓(なれずし)入りマヨネーズであえてあるのだ。岐阜の「泉屋」さんの熟鮓を使用しているそうで、具に混ぜたパンチェッタの薫香が熟鮓の風味と絶妙に呼応。思わずワインを頼みたくなること請け合い。ちなみに、ワインはラツィオ州のプロカニコがおすすめとか。フレッシュな味わいが発酵のうまみをスッキリときってくれそうだ。

また、「パーラー江古田」のパンを使った“きのこのクロスティーニ”には、豚の熟鮓を混ぜた熟れバターを用いる等々、ランチでも発酵アイテムがさりげない存在感を示している。

「冨士麺ず工房」の生麺を使用した、なめらかな喉越しを楽しめるパスタ

「リングイネ お日さま農園の菜の花ペーストと海老のソース」

続いてパスタは、岡山県「冨士麺ず工房」の生麺を使った喉越しなめらかな一皿。初夏を思わせる淡い緑の菜の花ペーストは、菜の花に松の実やエシャロット等を合わせてジェノヴェーゼ風に仕立ててあり、ぷりぷりの海老との相性も上々。軽やかな中にもうまみとコクを感じさせる。

ぷりっとしたエビの食感が、なめらかな食感のパスタと好相性

ショートコースでのパスタの量は70g。だが、パスタセットでは100gとボリュームも申し分ない。ちなみに、メニュー内容は週替わりとなっている。

パスタは週替わりのため、行くたびにワクワクできそうだ

2種類あるメインから選んだのは「『日山』さんの豚ロース炭火焼き」

そして、いよいよ発酵と並ぶ「falò+」の看板でもある炭火焼料理の登場である。豚肉の仕入れは人形町の精肉店「日山」から。肉と脂のバランスや厚みを、その都度確かめながら選んでもらっているため、豚の銘柄は度々変わるそうだ。ちなみに、取材日は鹿児島県産ナチュラルポーク。

「『日山』さんの豚ロース炭火焼き」

江口シェフによれば「脂がしつこくなく、クリアでいてうまみがあるところが気に入っています」とのこと。これを、近火の炭火で周りをしっかり焼き固め、休ませながら焼くこと約20分。周りはカリッ、中はしっとりと焼き上げていく。

炭火でじっくり、20分ほどかけて焼き上げていく

僅かにピンク色を残した豚ロースは見るからに艶やか。優しい甘みとジューシーな肉汁が、噛み締めるほどに口中に広がる。

付け合わせは「お日さま農園」から届いた新鮮な野菜たち

付け合わせは紅芯大根やかぶなど山形県「お日さま農園」の元気な野菜たち。有機で育てた力強い味わいが、豚肉の佳味を一層引き立てる。

コースの後は、アラカルトから気になるデザートを選びたい

さて、ランチのコースはここまでだが、お腹に余裕があればデザートもぜひ。「ティラミス」「香ばしいブラマンジェ」「ナポリ風ババ」各800円など5種類がそろう。

「大人のプリン」

今回チョイスしたのは「大人のプリン」で、その名の通り、ラム酒を利かせた硬めのプリン。ほろ苦いカラメルと控えた甘さが食後の満足度を高めてくれるに違いない。

※価格はすべて税込

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撮影:外山温子

文:森脇慶子、食べログマガジン編集部