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相手の喜ぶ顔が見たい!夏ならではの手土産
家族に、友達に、あるいは仕事相手に贈るため……「気の利いた手土産」はいつだって知りたいもの。特に、夏場は冷たいものやさっぱりとしたものが好まれがちなので選択肢が狭まり、選ぶのがちょっと難しいかもしれません。
前回に引き続き、「手土産」をライフワークとするフードスタイリストの肱岡香子さんに、夏ならではの手土産のおすすめをうかがいました。今回のテーマは、「ビジネスにも使える夏ギフト」。「わざわざ買いにいった」感じが伝わる、スペシャルなお菓子を紹介します。
老舗ホテルと「とらや」がコラボ!
「帝国ホテル 特製あんぱん-夏-」
「ビジネスシーンの手土産は、『ネームバリュー』も大事。そこでおすすめしたいのが『帝国ホテル』と『とらや』がコラボしたあんぱんです。だれでもきいたことのあるビッグネームが2つも並んでいますから、話題性は抜群。それに、期間限定の商品なので、食べたことのある人が少なそうなのもポイントです」(肱岡さん)
「帝国ホテル 特製あんぱん -夏-」。夏らしく、貝殻がモチーフになっています
伝統の技術で作りあげられたとらやの餡と、帝国ホテルのパン職人が作った生地が共演する「帝国ホテル 特製あんぱん –夏-」。サクッとしたフランスパン生地の「白餡」と、牛乳入りの生地をふんわり焼き上げた「御膳餡(こし餡)」の2種類がセットになっています。餡にはそれぞれ、レモンピール、日本酒で香りをつけて夏仕様に。おなじみの菓子パンとは一味違う、高級感あふれるデザートのようなあんぱんです。
「白餡」はレモンピール入り。「御膳餡」はこし餡と日本酒を合わせています
「帝国ホテル 特製あんぱん -夏-」
1,080円。御膳餡、白餡、各1個入り。正午より販売。8月31日まで。
レトロな菓子店の、夏限定とっておき。
巴裡 小川軒 新橋「ももパイ」
「『巴裡 小川軒』は大好きなお店です。ていねいに作られたお菓子が並ぶ老舗ですが、値段が買いやすいところも素敵。小川軒のなかでも新橋店が特に好きで、昔ながらの駅前ビルに入っているのが落ち着きます。新橋なら、ビジネスマンの皆さんも立ち寄りやすい場所なのでは?」(肱岡さん)
「ももパイ」。ころんとしたかわいいフォルムが崩れないよう、大事に持ち運んで
「元祖レイズン・ウィッチ」で有名な巴裡 小川軒ですが、お店を訪れると、ショートケーキ、ロールケーキなどの生ケーキも並んでいます。なかでも肱岡さんが「マイブーム」だというのが、夏季限定の「ももパイ」。
「まず『ももパイ』っていう名前がいい! 小川軒らしいレトロさが感じられます。気取ったパティスリーなら『ショーソン オー ペッシェ』なんて名前がついているところです(笑)。上等な桃半分が、やさしいカスタードとパイで包まれていて、冷やして食べるとたまらないおいしさ。648円は小川軒の商品にしてはお高めですが、それに見合う、期待を裏切らないお菓子です!」
「ももパイ」
一個648円。桃の季節が終わり次第終了。桃の品種は時期により異なります。
由緒正しい和菓子で、涼を感じる。
菓匠 菊家「季節の上生菓子」
「ビジネス用途ならば、『老舗の和菓子』は間違いがない選択だと思います。特に季節感が演出できる上生菓子は、『この人、できる!』と思わせられる手土産ではないでしょうか。私がよく和菓子を買いに行くお店の一つが、青山の菊家。若いころはちょっとハードルが高く、『このお店の常連になれたら格好いいなあ』なんて憧れていたくらい、粋なお店なんです。支店が一切ないのも、希少性があって手土産むき」(肱岡さん)
東京・青山にある「菓匠 菊家」は、故・向田邦子さんに愛されたことでも知られています。特に「水ようかん」は、題材にして一本のエッセイが書かれたほど。
「季節の上生菓子」。写真は10個入りの箱詰め
「箱を開けたときに『わー、きれい』『どれにしよう?』と盛り上がってほしいので、何種類も詰めてもらうのが、断然、正しい上生菓子の買いかたです!」(肱岡さん)
左から、「水ようかん」「渓流」「露草」「花火」「涼風入青簾」
「上生菓子って、関東、関西、それから金沢……と、地域によってちょっとずつ、味、柔らかさ、色あいなどが違いますよね。菊家のお菓子は『東京の青山の和菓子』という感じがするのも気に入っています」(肱岡さん)
「季節の上生菓子」
1個378円~。種類は時期によって変わるので、店頭でお確かめください。
菓匠 菊家
住所 東京都港区南青山5-13-2
TEL 03-3400-3856
営業時間 [月~金]9:30~17:00 [土]9:30~15:00 ※売り切れ早仕舞いあり
定休日 日曜日、祝日(時季により変更あり)
ホテルならではの高級マンゴースイーツ。
ザ・ペニンシュラ東京「マンゴープリン」
「ザ・ペニンシュラ ブティック&カフェ」のマンゴープリンは、「プリン、ソース、フレッシュ」と3つのタイプのマンゴーが楽しめるぜいたくな一品。プリンには香りのしっかりしたアルフォンソマンゴーを使用し、カットしたフレッシュマンゴーはその時期一番状態のいい品種を選んで使っているそう。
「マンゴープリン」。プリンの中にはココナッツソース入りで、トロピカル気分
「ザ・ペニンシュラ東京のスイーツといえばマンゴープリン! 通年商品ですが、せっかくなら南国のフルーツがおいしく感じられる夏にもらうと特にうれしいかな、と思いセレクトしました。マンゴープリン部分はもちろん、上にのったフレッシュなマンゴーと、濃厚なマンゴーソースがおいしい! 『ホテルで買った手土産』というだけできちんとした感じがするし、それにこのマンゴープリンは『ホテルだからこそ作れる高級マンゴースイーツ』という感じがします」(肱岡さん)
「マンゴープリン」
1個670円。
※価格はすべて税込み
監修/肱岡香子
料理本の撮影に使用する器や小物を選び、空間を演出するフードスタイリスト。日々撮影現場に差し入れのお菓子を持っていくうち、そのセレクトの妙が評判になり、「手土産の肱岡」の異名を持つまでに。手土産を買いすぎて、税理士に「これは一体何に使ったお金?」と指摘された経験あり。おいしいお菓子を求めて歩き回り、今日も「肱岡お菓子リスト」を更新中。
撮影/三好宣弘(RELATION)
取材・文/斎藤涼子(食べログマガジン編集部)