【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#175】「CURRYFORNICATION」

大阪カレー界のレジェンドシェフの一人である黒田さん。まだ大阪スパイスカレー文化が花開く前から心斎橋のバー「アノニマス」で本格的なスパイスカレーを提供し話題となり、同時に間借り形式で「カレー週イチ」を展開してこちらも行列店となり、大阪のみならず東京にも店舗を増やした「ポンガラカレー」に監修という形で携わった方で、大阪カレー界に大きな影響を与えたシェフだと言えるでしょう。

「CURRYFORNICATION」があるのは、ウエスト梅新ビルの2F

そんな黒田さんが2024年4月28日、大阪・曽根崎の地で「CURRYFORNICATION」をスタートさせました。以前別の場所でも動いていた店名となりますが、現在はこちらの店舗で基本的に日曜昼のみ営業中です(不定休)。営業日数も時間も少ないので予約推奨。予約の方法や営業日はお店のSNSをご覧ください。

音楽ファンもワクワクするHOT!なロゴが目印

いざ行ってみるとビルの1階には、音楽ファンならニヤリとするようなお店の印象的なロゴがあり安心します。店内に入れば喫茶店のような雰囲気ですが、スパイスの香りが食欲に火をつけます。

この日のメニューは「猪肉のランプライス」1,500円。これに「ミントコリアンダー鹿肉カリー」200円も追加して注文しました。ランプライスとはスリランカ料理で、バナナリーフにご飯もカレーもおかずも一緒に詰め込んで蒸し焼きにしたもの。

「猪肉のランプライス」(写真手前)と「ミントコリアンダー鹿肉カリー」(写真奥)

この日の内容も豪華で、猪肉のカレー、バスマティイエローライス、揚げ玉子、チャナダルカレー、小海老のチリ、ナスのモジュ、フリッカデルズ(メンチカツ)、キャッサバのカレー、そしてラッサムが別皿でつくというもの。

バナナリーフを開くと豪華な中身がお目見え

食べてみると猪は驚くほど軟らかく、ジビエですが臭みは感じさせず素材のうまみを引き立てるブラッドシュガースパイスマジック。フリッカデルズも猪肉を使用していて実に贅沢です。揚げ玉子もスリランカ料理店だとハードボイルドでパサつきのあるものが多い中、こちらは黄身がとろりとした仕上げなのも日本人シェフならでは。

ランプライスになるとの組み合わせが斬新!

追加の鹿カレーもミントとコリアンダーで爽やかに仕上げたカレー。器に遊び心があるのがまた楽しいですし、ランプライスに盛りつけられたなるとも同様で、自由にカレー作りを楽しんでいることが感じられるのがとても良いです。どれもオーセンティックなスリランカ料理をベースとしながらも独自の工夫や心遣いを感じられる仕上がり。

食器にも遊び心を感じる

そして鹿カレーは黒田さんによると「『ダバインディア』オマージュです!」とのこと。ダバインディアと言えば、東京・京橋で連日大行列の人気店だった今はなき南インド料理の名店。大阪のシェフですが、東京のお店の名前が出てくるあたりも、シェフご本人がカレーが大好きで各地で食べ歩いてきているからこそでしょう。そしてダバインディアの味を知る者からしても、その言葉に納得のクオリティの高さでした。

現在黒田さんは京都・福知山に引っ越し、山の中で生活を送っているそうです。自宅の畑で採れた野菜を使い、それをカレーにしていると聞いて尊さを感じました。今まで黒田さんが携わったお店はどれもおいしかったのですが、そこに自身で育てた野菜が加わるという尊さ。レジェンドシェフは今も一歩先を行くのです。

大阪のスパイスカレーはスリランカカレーに大きな影響を受けたと言われていますが、横のつながりを大事にし、そのレシピを多くのシェフに伝えて広めた黒田さん。だからこそ大阪スパイスカレー文化が花開いたと言える部分もあります。

店内飲食のみならずテイクアウト(こちらも要予約)のお客さんもひっきりなしに来店していて相変わらずの人気ぶり。週に一度の贅沢として、レジェンドシェフの尊いカレーにありつけるのは幸せなことであり、夢のような経験。

まさに「Dream of CURRYFORNICATION」なのです。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部