握りは赤と白を使い分けたシャリに、珍しいネタも織り交ぜて
ここから握りをいくつか。アジは山口より、寝かせて3日目だそうです。脂がのっているのにしつこくなく、青背特有の香りが鼻に抜け、「オレ、いま旬!」と全身で主張しているような生命力のあるブリブリ感。
猫田さん
上にのっているのはワサビではなく「あたり葱」と言って、アサツキをすり潰して生姜汁と和えたもの。青背の魚などに合わせる伝統的な薬味だそうです。
これは何の魚ですかね……としげしげ見ていましたが、「銀ダラです」の種明かしにビックリ。銀ダラは西京焼きぐらいのイメージしかなかったのですが、最近は寿司ネタとして使う店も増えているのだとか。
焼いた身とは全く違う、ムチッとしたみずみずしい弾力が斬新です。淡泊ながら脂がのっていて、さすが銀ダラ!と感心しました。
赤貝はシャリが見えないほど大きいですねえ。一口では収まりきらないほど。噛むとコリッと音が出るぐらいのエネルギー溢れる食感で、磯の香りがしっかり濃厚です。ヒモも添えてくれるのがうれしい。
自慢のマグロは乾燥熟成で旨みを凝縮
得意のマグロをお披露目! コースの目玉でもあるマグロ3種食べ比べでは、赤身・トロ・中トロを連打。インドマグロを0℃の冷蔵庫で冷気を当てながら熟成させる「乾燥熟成」を施し、水分を飛ばすことで味を凝縮させるのだとか。今日で5日目だそうです。
猫田さん
周りはカチカチに乾燥してしまうので、使えるのは中の一部だけなのだとか。「え~捨てるの! 欲しい」と言ったら「生臭くてとても食べられないんですよ」とやんわり諭されました。
食べ比べのうち、中トロをご紹介。後光が差すぐらい美しいですねえ。脂の多いトロのようなネタには、キリッと酸味が立つ赤酢のシャリを使います。
味が凝縮されているだけあって、旨みは濃厚、かつ脂も大トロほどではないので程よく赤身の鉄分感もあり、舌触りもなめらか。
鱧かな?と思ったら「四国の穴子です。煮穴子で出す時もありますが、今日は大きかったので蒸しで」とのこと。煮穴子だと甘じょっぱい煮ツメの味だけになってしまいますが、これだと穴子の身の甘みを感じられます。
そうそう、寿司屋さんはだいたい独自の醤油を作っているのですが、上邑さんも然り。自家製の土佐醤油をこしらえています。まずみりんのアルコールを飛ばしてから、昆布を入れた醤油に加えて軽く沸かして、アクを取ってから鰹を入れて……と、大変な手間をかけて作っています。
写真で紹介したのはコースのほんの一部分で、何度も言いますが料理が12品、握りが10カンぐらい、怒濤のように出てきます(もちろんペースは食べる人に合わせます)。そういえば以前に比べてシャリが小さくなったような。「シャリも大きかったので、途中でお腹いっぱいって方が多くて……。あ、シャリ小さくすれば良いのかって気付いたんです」って今ごろかい(笑)!
猫田さん
さらに驚くのは、「子連れ大歓迎」ということ。「都島はファミリー層が多いので、どのお店も家族連れに優しいと思います。ウチも出産祝いなんかでご利用いただくことが多いです。お子様用のお弁当持ち込みOKなんです」。高級寿司店ではなかなかないサービスですねえ。