出世ごはん

デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!

No.2 叱られてナンボ!女将の喝で5月病を吹き飛ばせ!

みな美

銀座で、和食で、食事だけで5千円。それでいて客層が抜群にいいという貴重な一軒であり、わたくしがホステス時代に同伴、アフターでさんざんお世話になったお店でもあります。

出典:にやさんさん

 

お刺身食べても煮物食べてもおいしいですし、夏は冬瓜のとろろかけごはん、秋は松茸と松阪牛の松松チャーハンなんて、スペシャルな一品もありますが、こちらの名物をひとつだけ挙げろと言われたら、いやおうなしに誰もが「女将」と答えてしまう。そんなところもいかにも銀座な小料理屋が「みな美」さんなのです。

出典:ミトミえもんさん

出典:aiboonさん

 

女将、砥上親美(とがみ ちかみ)さんは、なぜか関わったひとがどんどん出世していくという伝説の女性。そのすごいエピソードをかいつまんで紹介すると……。

 

1. あの人気作家のエッセイにも度々、登場。

大河ドラマ『西郷どん』の原作者、林真理子さんと大学の同級生だとかで、当時のエピソードが林先生のデビュー作にして売れに売れた出世作『ルンルンを買っておうちに帰ろう』をはじめ、先生のエッセイに度々、登場しているのです。書かずにはいられない魅力ある女将の存在が、先生の人気を押し上げる力の一部になっている。もちろん、先生の才能あってのことですが、女将の力のおかげもある! 少なくともわたくしの中ではそういうことになっております。

 

2. 母は元芸者、父は開業医。

元芸者で、某有名企業のオーナーのお妾さんとして囲われていたお母さまを当時、医学生だったお父さまが見初めてデキ婚して、生まれたというといいます。人生の始まりから、非常にパンチの効いたストーリーを背負っていらっしゃいます。その後、お母さまは向島で「みな美」という料亭を営み、お父さまは開業医になり、一家はかなりの財産を築かれた模様。女将は開運チャイルドだったのです。

 

3. 倒産&自己破産から復活!

実は銀座で名店として評価されていたフレンチレストランのマダムだった女将。10年ちょい前に店を潰し、自己破産をし、一時はどん底生活を送っていたのですが、小料理屋「みな美」で銀座に復活。たちまち店は予約困難な人気店に。ネバーギブアップの精神でコツコツがんばれば、一度落ちてもはい上がれる。そんな敗者復活の生きざまで、周囲に希望を与えています。なので「負けてる」と感じている人はぜひ、こちらへ!

 

4. 国内外の大物シェフの御用達!

夜遅くまで営業していることもあり、顧客には和洋中のビッグシェフが名を連ねます。中には海外からのカリスマシェフも。家庭料理でありながら、シャープで洗練されている女将の味にみなさん魅了されているんですよね。飲食店はおいしくなければ、功成り名遂げたお歴々の支持を得られませんから。

 

5. 叱れば叱るほど、お客が通ってくる。

普通に行儀が悪いプラス、女将の流儀に合わないゲストは容赦なく叱られます。ある有名企業の方の「社長が来ているんだから早く料理持ってきてよ」の声に「うちのお客さまはすべて平等。いらした順、できた順からお持ちします! それに私はお宅さまの従業員じゃありませんから、社長だろうがなんだろうが関係ありません!」とか。こんな調子でバンバン叱り飛ばしているのに、いえ、むしろ、叱れば叱るほど、叱られたゲストがリピートするというループができあがっているのがこの店の最大の特徴かも。顧客は各界で活躍する著名人がたくさん! ま、「偉くないひとには、徹底的に下から目線で敬意を表し、偉いひとには上から目線のオラオラ営業」というホステスの接客セオリーからすると、偉くなるほど誰かに叱られるのが嬉しくなっちゃうわけですから、女将が女王さまよろしくS化するほど、社会的地位の高いドMもしくはママに叱られたいマザコンどもが寄ってくるようになるのも道理なわけです。

 

ま、5月病なんて言葉もある時節柄、ダウン気味な気分に喝を入れるつもりで、女将に叱られに行くのもいいかもしれません。お食事もおいしいですし。シャンシャン見る代わりに、夜の銀座名物を見学するイベントとして、いっちょ伺ってみてはいかがでしょう。